文字の大きさ
大
中
小
461 / 877
連載
変わらないもの⑪
次の日。
ノワールに騎乗して、私は具材に徹する。
今回のゴブリン、Gの巣はかなり奥地にある。ビアンカやルージュ、アレス、アリス達にがっちり守られて、ノワールは順調に進む。
『ユイ、この先の地面に亀裂があるのです』
『ノワールなら問題なく跳べるわ』
わあ、怖かっ。
「ホークさん、先に亀裂がありますっ」
「はいっ」
「ノワールなら問題ありませんっ」
「はいっ。ユイさん、喋らないようにっ」
「はいっ」
私は口にチャック。
『続くのだっ』
アレスが先頭を走り、加速していく。ひーっ、ノワールとそして並走している仔達も加速している。だ、大丈夫よねっ。
そして、僅かに森の切れ目が見えた瞬間、ノワールが飛ぶ。
亀裂は約2メートル。ノワールは軽く跳躍。幅的には、そうはなくても、深いっ。軽い衝撃が走る。ノワールは無事に着地。ふうっ、怖かっ。心配だった仔達も問題なく飛び越えて来た。
こんな亀裂を越えた先にあるGの巣って、どんな規模何だろう。しかも警戒する兵がいるなんて。
『今日はこの辺りで止めるのです』
昼過ぎになり、ビアンカがストップをかける。
『もっと走りたいのだっ』
『止めなさい。見つかると、厄介よ』
ルージュがまだまだ走りたいアレスを止める。
私はホークさんに抱えられて、ノワールから降りる。ふうっ、何にもしてないけど、疲れた。オシリスとホルスも上空から降りてくる。
「アレス。ルームで我慢して」
『ぶーっ』
私はゴーグルを外して、ルームを開ける。
「ほら、入って」
私はルームに入ると、花がぽちゃぽちゃボディでお出迎えしてくれる。そしてシルフィ達もだ。あははん、かわいか。
従魔の足拭きをタップして、と。
『走り足りないのだっ』
アレスはそのまま中庭に走り出す。仔達も続く。アリスはシルフィ達にお乳を上げている。ホークさんはノワールを厩舎に誘導して、そのまま鞍やレッサードラゴンの装備品をはずしていく。
ビアンカとルージュは水分補給してから、ゴロリ。
「姉ちゃん、どうな?」
「問題はなかよ」
私はぽちゃぽちゃボディを撫で回す。晃太がお茶を持ってきてくれて水分補給して、と。
「実はさっきな、姉ちゃんにお客さん来たんやけど、お袋が断ったよ」
「誰? あ、パーヴェルさん?」
レディ・ロストークの事かな。
「違う。ほら、あの荷物の護衛していた冒険者のリーダー」
「ああ、あの」
無事に釈放されたのかな。
「姉ちゃんにお礼ば言いたかったみたいで、改めて来るって」
「そうな」
あの護衛した冒険者パーティー、気になっていたしね。だって、鷹の目の皆さんみたいに、被害者のように思えたからね。
あの子供達はどうなったんやろう? カルーラに帰ったら聞かんといかんなあ。特にケガが酷かった男の子は、どうなったかなあ? トラウマとかになっていなければ、いいけど。
シスター・アモルとの面会を済ませたチュアンさんも帰って来ていたので、話を聞く。いつ子供達が修道院に移動するかは、教えてもらえなかったが、必要なものは聞いてくれていた。
やはり日用品や薪等だ。後は食費ね。一気に14人も増えるからね。
私には、お金がある。どやっ。ビアンカやルージュ達のお陰なんやけどね。
「チュアンさん、もへじ生活に行くのでお願いできます?」
「お供します」
さ、お買い物だ。
端的に言うと、Gの巣はあっという間に壊滅した。
警戒のGは、走り抜けながら、ビアンカとルージュが鼻息を放って始末していき、巣に到着。
確かにかなり大規模の巣で、今までで最高に大きな巣だった。だったけど、うちの従魔ズにかかれば、あっという間だ。Gは臭いから嫌な顔をするビアンカとルージュに代わり、嬉々として突っ込んだのは、厄災クラスのアレスだ。撃ち漏らしたらいけないから、オシリスとホルス、ルージュが周囲を警戒してくれる。
アレスは奥方面で暴走戦車のように、走り回る。
ビアンカとノワールは中間地点。私達は後方だ。
既に全員の武装は完備、準備運動、晃太の支援もばっちり。チュアンさんとマデリーンさんも、サブ・ドアからこちらに来てくれた。
私はフライパンを握り締める。
少し離れた場所で開けたルームにはシルフィ達を残してきた。今日は両親がいるしね。
『では、行くぞーっ』
と、アレスが弾丸の様に飛び出していく。そして、白い毛並みが美しく輝く。
『戦闘モード 魔狼の牙(ナダジオン)』
あの口上がない、我は、みたいなやつ。
『アレスのレベルなら、すっ飛ばしてもしっかり発動するのです』
ビアンカが納得出来ないって顔で、生き生きとしたノワールと共に続く。
『元気、勝手な事をしないのですよっ』
「わんっ」
大丈夫よね? へっへっと言って尻尾ぷりぷり振る元気。
私達にはアリスも付いてくれる。
奥方面、色んなGが跳んどるー。
「さて、行きますかね」
さすがSランク冒険者のケルンさんが、落ち着いて弓を構えている。ヒェリさんは両手に小型の斧、ツヴァイクさんは盾と大型の斧、エドワルドさんはロングソード。不謹慎かも知れないが、近隣諸国でも最強クラスの冒険者パーティーの戦闘って気になる。晃太の支援は断っていた。私や見習い達に使ってって、格好いい。
ルージュがたくさん光のリンゴを出してくれているから、ある程度は大丈夫かな。
金の虎、山風の皆さんも準備万端。私は鷹の目の皆さんの金魚のふんね。
アレス、ビアンカ、ノワールの突然の突進に、汚い悲鳴を上げて逃げ惑うG。
こちらも初撃は遠近攻撃だ。
初めてSランク冒険者の戦闘を間近に見たけど、まさに圧巻だった。
ケルンさんは矢を3本つがえて放つと、矢はまるで意志があるように軌道をずらして、森に逃げ込もうとするGを次々に射ぬく。しかも貫通して、後ろのGまで巻き込んでいる。どんだけの威力やねん。ヒェリさんは炎の矢を連発、そしてエドワルドさんは、不可視の矢だから、風の矢だね。ツヴァイクさんはなにやらしっかり集中している。
でもって接近戦が凄かった。
ケルンさんは剣を片手にスパスパとGを斬り、突き刺さっていた矢を回収したかと思うと、剣をGに突き立て蹴り倒し弓を引く、次の瞬間には剣を回収しスパスパ。魔法も使い、流れるような動作や。
ヒェリさんはしなやかに動いて、Gを小型の斧で斬りつけ、がっちりとした装具の着いた足で、蹴り跳ばす。蹴られたGは、めきぃっ、音を立て、白目剥いてぶっ飛んでいる。魔法も併用しているから、こちらも全く無駄がない。
ツヴァイクさんは、斧が火を吹いてた。確か、セーシャさんは斧が赤くなっていたけど、こちらはまさしく火を吹いていた。まあ、G達が小枝の様に斬り倒されていく。そして、盾士の戦い。まとめてGが来ても、力強く踏み込み、盾を突き出すと、走って来たGを逆方面に吹き飛ばす。後で聞いたら、盾士特有の技でシールドバッシュって言うんだって。吹き飛ばされたGの顔が物理的に変形したようになってるから、相当な威力なんやろう。
で、ユリアレーナ最強の冒険者と詠われるエドワルドさん。一体いつ足を地面に付けているんやろう。速い、とにかく速い。回りのGがあっという間にバラバラ。あの長身が、戦闘モードのアルスさんでも付いていけなそうな動きでアクロバティックに動く。こっちに向かって来たジェネラルなんて、一撃だよ。エドワルドさんが横を駆け抜けると、スパーンッ、って、上半身と下半身がさよなら。凄かっ。そう言えば、オスヴァルドさんもブラックツナの頭、スパーンッ、だったなあ。
勿論、鷹の目や、山風、金の虎の皆さんだって各個撃破している。仔達だって、なかなか元気とコハクが恐ろしい威力で魔法使っている。三人娘だって負けてないよ。
私はと言うと、フライパン持ったが、全くの出番なし。ルージュの光のリンゴ、アリスが守ってくれたので、突っ立っているだけ。未成年のみんなが頑張っているのに、ああ、情けない。晃太だって、せっせとデバフの為に走り回っているのに。今日に限って、神への祈りも発動しないし。本当に、私、役に立っとらん。
奥方面でアレスがちゅどん、ドカン。
中間地点ではビアンカとノワールがちゅどん、ドカン、バキバキ。
時折、オシリスとホルスが急下降と急上昇して姿が見える。オシリスが捕まえているの、ジェネラルやないよね? そのまま固まっている他のG達に向かって、叩き付けてる。
我ながら、恐ろしい魔物を。止めよう。皆もふもふでかわいかもん。
最後まで私は何の役にも立たずに、ものの数分で、Gの巣は壊滅した。
ノワールに騎乗して、私は具材に徹する。
今回のゴブリン、Gの巣はかなり奥地にある。ビアンカやルージュ、アレス、アリス達にがっちり守られて、ノワールは順調に進む。
『ユイ、この先の地面に亀裂があるのです』
『ノワールなら問題なく跳べるわ』
わあ、怖かっ。
「ホークさん、先に亀裂がありますっ」
「はいっ」
「ノワールなら問題ありませんっ」
「はいっ。ユイさん、喋らないようにっ」
「はいっ」
私は口にチャック。
『続くのだっ』
アレスが先頭を走り、加速していく。ひーっ、ノワールとそして並走している仔達も加速している。だ、大丈夫よねっ。
そして、僅かに森の切れ目が見えた瞬間、ノワールが飛ぶ。
亀裂は約2メートル。ノワールは軽く跳躍。幅的には、そうはなくても、深いっ。軽い衝撃が走る。ノワールは無事に着地。ふうっ、怖かっ。心配だった仔達も問題なく飛び越えて来た。
こんな亀裂を越えた先にあるGの巣って、どんな規模何だろう。しかも警戒する兵がいるなんて。
『今日はこの辺りで止めるのです』
昼過ぎになり、ビアンカがストップをかける。
『もっと走りたいのだっ』
『止めなさい。見つかると、厄介よ』
ルージュがまだまだ走りたいアレスを止める。
私はホークさんに抱えられて、ノワールから降りる。ふうっ、何にもしてないけど、疲れた。オシリスとホルスも上空から降りてくる。
「アレス。ルームで我慢して」
『ぶーっ』
私はゴーグルを外して、ルームを開ける。
「ほら、入って」
私はルームに入ると、花がぽちゃぽちゃボディでお出迎えしてくれる。そしてシルフィ達もだ。あははん、かわいか。
従魔の足拭きをタップして、と。
『走り足りないのだっ』
アレスはそのまま中庭に走り出す。仔達も続く。アリスはシルフィ達にお乳を上げている。ホークさんはノワールを厩舎に誘導して、そのまま鞍やレッサードラゴンの装備品をはずしていく。
ビアンカとルージュは水分補給してから、ゴロリ。
「姉ちゃん、どうな?」
「問題はなかよ」
私はぽちゃぽちゃボディを撫で回す。晃太がお茶を持ってきてくれて水分補給して、と。
「実はさっきな、姉ちゃんにお客さん来たんやけど、お袋が断ったよ」
「誰? あ、パーヴェルさん?」
レディ・ロストークの事かな。
「違う。ほら、あの荷物の護衛していた冒険者のリーダー」
「ああ、あの」
無事に釈放されたのかな。
「姉ちゃんにお礼ば言いたかったみたいで、改めて来るって」
「そうな」
あの護衛した冒険者パーティー、気になっていたしね。だって、鷹の目の皆さんみたいに、被害者のように思えたからね。
あの子供達はどうなったんやろう? カルーラに帰ったら聞かんといかんなあ。特にケガが酷かった男の子は、どうなったかなあ? トラウマとかになっていなければ、いいけど。
シスター・アモルとの面会を済ませたチュアンさんも帰って来ていたので、話を聞く。いつ子供達が修道院に移動するかは、教えてもらえなかったが、必要なものは聞いてくれていた。
やはり日用品や薪等だ。後は食費ね。一気に14人も増えるからね。
私には、お金がある。どやっ。ビアンカやルージュ達のお陰なんやけどね。
「チュアンさん、もへじ生活に行くのでお願いできます?」
「お供します」
さ、お買い物だ。
端的に言うと、Gの巣はあっという間に壊滅した。
警戒のGは、走り抜けながら、ビアンカとルージュが鼻息を放って始末していき、巣に到着。
確かにかなり大規模の巣で、今までで最高に大きな巣だった。だったけど、うちの従魔ズにかかれば、あっという間だ。Gは臭いから嫌な顔をするビアンカとルージュに代わり、嬉々として突っ込んだのは、厄災クラスのアレスだ。撃ち漏らしたらいけないから、オシリスとホルス、ルージュが周囲を警戒してくれる。
アレスは奥方面で暴走戦車のように、走り回る。
ビアンカとノワールは中間地点。私達は後方だ。
既に全員の武装は完備、準備運動、晃太の支援もばっちり。チュアンさんとマデリーンさんも、サブ・ドアからこちらに来てくれた。
私はフライパンを握り締める。
少し離れた場所で開けたルームにはシルフィ達を残してきた。今日は両親がいるしね。
『では、行くぞーっ』
と、アレスが弾丸の様に飛び出していく。そして、白い毛並みが美しく輝く。
『戦闘モード 魔狼の牙(ナダジオン)』
あの口上がない、我は、みたいなやつ。
『アレスのレベルなら、すっ飛ばしてもしっかり発動するのです』
ビアンカが納得出来ないって顔で、生き生きとしたノワールと共に続く。
『元気、勝手な事をしないのですよっ』
「わんっ」
大丈夫よね? へっへっと言って尻尾ぷりぷり振る元気。
私達にはアリスも付いてくれる。
奥方面、色んなGが跳んどるー。
「さて、行きますかね」
さすがSランク冒険者のケルンさんが、落ち着いて弓を構えている。ヒェリさんは両手に小型の斧、ツヴァイクさんは盾と大型の斧、エドワルドさんはロングソード。不謹慎かも知れないが、近隣諸国でも最強クラスの冒険者パーティーの戦闘って気になる。晃太の支援は断っていた。私や見習い達に使ってって、格好いい。
ルージュがたくさん光のリンゴを出してくれているから、ある程度は大丈夫かな。
金の虎、山風の皆さんも準備万端。私は鷹の目の皆さんの金魚のふんね。
アレス、ビアンカ、ノワールの突然の突進に、汚い悲鳴を上げて逃げ惑うG。
こちらも初撃は遠近攻撃だ。
初めてSランク冒険者の戦闘を間近に見たけど、まさに圧巻だった。
ケルンさんは矢を3本つがえて放つと、矢はまるで意志があるように軌道をずらして、森に逃げ込もうとするGを次々に射ぬく。しかも貫通して、後ろのGまで巻き込んでいる。どんだけの威力やねん。ヒェリさんは炎の矢を連発、そしてエドワルドさんは、不可視の矢だから、風の矢だね。ツヴァイクさんはなにやらしっかり集中している。
でもって接近戦が凄かった。
ケルンさんは剣を片手にスパスパとGを斬り、突き刺さっていた矢を回収したかと思うと、剣をGに突き立て蹴り倒し弓を引く、次の瞬間には剣を回収しスパスパ。魔法も使い、流れるような動作や。
ヒェリさんはしなやかに動いて、Gを小型の斧で斬りつけ、がっちりとした装具の着いた足で、蹴り跳ばす。蹴られたGは、めきぃっ、音を立て、白目剥いてぶっ飛んでいる。魔法も併用しているから、こちらも全く無駄がない。
ツヴァイクさんは、斧が火を吹いてた。確か、セーシャさんは斧が赤くなっていたけど、こちらはまさしく火を吹いていた。まあ、G達が小枝の様に斬り倒されていく。そして、盾士の戦い。まとめてGが来ても、力強く踏み込み、盾を突き出すと、走って来たGを逆方面に吹き飛ばす。後で聞いたら、盾士特有の技でシールドバッシュって言うんだって。吹き飛ばされたGの顔が物理的に変形したようになってるから、相当な威力なんやろう。
で、ユリアレーナ最強の冒険者と詠われるエドワルドさん。一体いつ足を地面に付けているんやろう。速い、とにかく速い。回りのGがあっという間にバラバラ。あの長身が、戦闘モードのアルスさんでも付いていけなそうな動きでアクロバティックに動く。こっちに向かって来たジェネラルなんて、一撃だよ。エドワルドさんが横を駆け抜けると、スパーンッ、って、上半身と下半身がさよなら。凄かっ。そう言えば、オスヴァルドさんもブラックツナの頭、スパーンッ、だったなあ。
勿論、鷹の目や、山風、金の虎の皆さんだって各個撃破している。仔達だって、なかなか元気とコハクが恐ろしい威力で魔法使っている。三人娘だって負けてないよ。
私はと言うと、フライパン持ったが、全くの出番なし。ルージュの光のリンゴ、アリスが守ってくれたので、突っ立っているだけ。未成年のみんなが頑張っているのに、ああ、情けない。晃太だって、せっせとデバフの為に走り回っているのに。今日に限って、神への祈りも発動しないし。本当に、私、役に立っとらん。
奥方面でアレスがちゅどん、ドカン。
中間地点ではビアンカとノワールがちゅどん、ドカン、バキバキ。
時折、オシリスとホルスが急下降と急上昇して姿が見える。オシリスが捕まえているの、ジェネラルやないよね? そのまま固まっている他のG達に向かって、叩き付けてる。
我ながら、恐ろしい魔物を。止めよう。皆もふもふでかわいかもん。
最後まで私は何の役にも立たずに、ものの数分で、Gの巣は壊滅した。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!