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連載
王冠山へ②
オシリスは順調に土石流跡を飛び越える。風がビュンビュン言ってるけど、ワイバーンのマントと、オシリスの風の結界、そして多分時空神様のブーストのおかげか、体感的に問題はない。何度も訓練で飛行しているし、安心安全のホークさんが私を餃子の具材の様に包んでくれているから、落ち着いていられる。
土石流跡は上から見るとかなりの範囲で広がっている。これだけ広範囲に発生した土石流の原因となったあのゲリラ豪雨。降らせたのは、ヤマタノオロチだけど、どんだけの力があるんやろう? イシスとアレスでも、そっぽ向く強さだけど。始祖神様がブーストを授けてくれるって言ってくれたが、それだけでどうにかなるんかな? うーん、今から心配や。私達でどうにかならなかったら、例の皇帝竜(カイザードラゴン)に神託を下すって言っていたけど、絶対とんでもないことになるはず。以前、ヤマタノオロチと皇帝竜(カイザードラゴン)がぶつかった時に、反動で王冠山が出来たんやから。どんな大怪獣合戦やったんやろ。
もう少しで1時間と言う所で、オシリスが徐々にスピードを落としていく。着陸かな? この着陸が怖いんだよねえ。
急に、真っ直ぐに正面を向いていたオシリスの目がぶれる。私を包んでいたホークさんの腕に力が入った。
景色が傾く、違う、オシリスが旋回した。
ひーっ。ジェットコースターやぁーっ。ぶれぶれの視界の中で、光のリンゴがものすごい勢いで動き回る。そして、小さな黒い塊を撃ち落としていく。なんやあれ、サイズ的に、小さ、ギャーッ、旋回ーっ。オシリス君やっ、いくら色々ブーストやらなんやらあっても、私にはきつかーっ。いかんっ、目を閉じようっ。ひーっ、体を硬くしていると、バチバチッ、という音が響く。何かを撃ち落としているんやろうけどっ。
ふいに、ホークさんの右腕から力が抜ける。代わりに左腕に力が入り私の胴体を巻き込む。ふわあっ、とマントが翻る。なんやなんやっ。結局刮目。視界の真横で、ホークさんの手が伸びる。手には弓。え? 弓って? こんな不安定な場所で弓? その間にも光のリンゴが何やら撃ち落しているけど。鳥にしたら、なんや、おかしかフォルム。
オシリスはそれでも着陸態勢に入る。おそらく魔力が底を尽き始めたんやろう。いきなり墜落は勘弁。
ギリリッ、と音がすると、なんとホークさん口で矢をつがえている。え? 口で? 確かにヘルメットのシールド部分は、上に上げられる構造になっているけどっ。認識した瞬間、矢が放たれ、オシリスの着陸軌道上、とても迷惑な位置にいた鳥、違う、あれ蝙蝠や、でっかい蝙蝠の片羽を撃ち抜いた。流石っ。だけど、ホークさんは納得できなかったのか、舌打ち。いやいや、当たるだけでも凄かですよっ。でっかい蝙蝠はバランスを崩して墜落していく。光のリンゴ達は、私達に向かってくる蝙蝠達を撃ち落とすのに忙しく、軌道上にいるので手が回らないみたいや。だから、ホークさんはこんな不安定な中で弓を使ったんや。凄い判断力と行動力。オシリスはスピードを落としながら、木々のすき間を縫うようにして着陸。着陸は無事に済んだけど、着陸するまでの間にも、サイズが異なる蝙蝠達がバサバサ羽音を立てながら飛び交ってる。う、あまりの多さに、気持ち悪か。一斉にこちらに蝙蝠達が向かって来るが、凄まじい勢いで光のリンゴが飛び回り、サイズが小さくなっていく。オシリスの風の結界もあり、防げているけど。ひーっ、蝙蝠ーっ。
「ユイさんっ」
「はいっ」
私は着陸と同時にルームを開ける。
真っ先に飛び出して来たのは元気だ。そして、コハクと追加で出してくれた光のリンゴ達が続く。
「ワンワンッ」
元気が雷を景気よく放ち、蝙蝠達はパタパタ落ちていく。ホルスとアリス、ノワール、三人娘、ケルンさん達も飛び出してきた。
「ホークさん、オシリスをルームにっ」
オシリスは疲労困憊のはず、休ませんと。ホークさんはオシリスの手綱を掴み、私までがっちりホールドしたままルームに。私、歩けますよっ。私がルームに入っている間も、イシスとルージュは光のリンゴを景気よくどんどん出してる。
『ユイ、キズはないのですか?』
ビアンカが前肢でアレスを踏みつけながら聞いてくる。………………アレス、ちょっとにやけてない?
「大丈夫よ」
うん、アレスは触れないでおこう。
『ならいいのです。あの蝙蝠の牙や爪は厄介なのです』
そうなんや。向こうでもそんなこと聞いた。聞いたけど。私はいつまでホークさんにホールドされとるんやろう? もう、大丈夫なんやけど。不謹慎だけど、今さらドキドキや。
窓から見ると、まあ元気がワンワンッ雷連発。よく見ると皆発現系の魔法で戦闘している。いつもならブヒヒンッ、と走り回るノワールでも発現系で撃ち落としている。
光のリンゴ達が忙しなく動き回ってる。遠距離攻撃ができる魔法職であるマデリーンさんとフリンダさんも参戦。弓が使えるリィマさん、そして私をホールドしていたホークさん、火魔法が使えるシュタインさんに土魔法が使えるチュアンさんも参加。弓士のハジェル君も行こうとしたけど、リィマさんに、
「あんたの腕じゃ当たらないから邪魔だよ」
と一喝されて、そこで沈没している。
程なくして、蝙蝠達は撤退し、あんなにうるさかった羽音が止む。
ルームの扉は光のリンゴを出すために、開けっ放しにしていたが、無事に全員帰還。怪我はなし。水分補給して、と。
「やはり、土石流の影響、ですね」
「確かに、こんな昼間にあれが出てくるなら」
フェリクスさんとケルンさんがお話している。
なんやろ、気になる。それは他の皆さんもみたいだ。中には察している人もいるみたいだけど。
「あれはキジィアバットと言って、本来は洞窟や日が当たらない崖の下とかを住み処にする魔物なんです」
と、フェリクスさんが教えてくれる。
あのキジィアバットは基本的には夜行性。バットだもんね。で、固まって生活している。あんまり強くはないけど、集団、つまり大群でいる。そしてビアンカが言った厄介な爪と牙に引っ掛かれたら熱病になるし、傷は膿むし、最悪死ぬ。傷を負ってすぐに綺麗な水で洗ったり、浄化魔法使えば防げたり、予後は全然違うけど、戦闘中にそんな悠長なことはしていられない。
「おそらく、あの土石流で住み処を追われ、今も寝床が見つからず木々に隠れていたんでしょう」
フェリクスさんが鎧をアンドレアスさんに手伝って貰いながら外す。
「魔物の分布が変わり、獲物も思うように獲れずにいた時、単騎のグリフォンが人を乗せていた。獲物だと思い襲った。上位魔物であるグリフォンを狙ったのは、よほど切羽詰まっていたのでしょう」
とケルンさんが続く。リンゴジュースのピッチャーを持ったエマちゃんに、グラスを差し出してる。
キジィアバットは肉食。私とホークさん狙いだったのね。いややあ。
「ねえビアンカ、蝙蝠達おらんよね?」
『逃げたのですね。何匹か息があるのですが、放っておいてもそのうち死ぬのですよ』
う、それはそれで、なんだかな。
『ヌシヨ、今日ハモウ少シ、移動スル事ヲ提案スル。キジィアバットノ死体目当テニ別ノ魔物ガ集マルハズ』
「それはいかんね」
少し休んでノワールに騎乗して移動となった。
「「「「「バランスが悪い」」」」」
「うっ」
その日、ルームの中庭で弓を使える皆さんによるハジェル君のチェックが行われる。ロッシュさんからお願いもあったみたい。ハジェル君はギルドで無料の基礎講座を受けたのみで後は独学。孤児院でも体術は習ってはいた。弓士になった理由はやはり人族では珍しいスコープのスキルがあったからだ。ハジェル君もスコープがあると分かって嬉しかったので弓士を選んだって。
「俺が教えられたら一番なんですけど、弓はからきしなんですよ」
と、ロッシュさん。フェリクスさんの元で新人時代を過ごした時に、一通りの戦闘術には触れて、最後に選んだのは盾を持ち剣を振るうことだった。
仔達が走り回っているから、実際に矢を放てないので、とりあえず弓を引く姿をみて貰っている。私も野次馬で見物。
で、一度見ただけで、その一言が飛び出した。
弓を使えるのはケルンさん、エリアンさん、リィマさん、ホークさん。そして万能型のフェリクスさんだ。
「腕の力だけで引いてる」
ケルンさんが細い腕を掴む。
「顎を引きなさい」
エリアンさんが頭を動かす。
「肘を上げすぎです、肩に変な力を入れない」
フェリクスさんが肘の位置を調整し、肩をポンポン。
「弓を持つ手もおかしい。これでは手首に負担がかかりすぎる」
ホークさんが持ち手を修正。
「腹に力を入れなっ」
リィマさんが腹パン。
「ぐへぇっ」
ハジェル君がうめき声。リィマさん、容赦ないなあ。そしてハジェル君、言われ放題や。指導やから仕方ないやろうけど。
「大体君は細すぎ」
「確かに、筋肉が少ない」
ケルンさんとエリアンさんが、ペタペタとハジェル君のボディチェック。変な意味じゃないけどね。てか、ほっそりなエルフのケルンさんとエリアンさんが言うのもあんまり説得力がない。
土石流跡は上から見るとかなりの範囲で広がっている。これだけ広範囲に発生した土石流の原因となったあのゲリラ豪雨。降らせたのは、ヤマタノオロチだけど、どんだけの力があるんやろう? イシスとアレスでも、そっぽ向く強さだけど。始祖神様がブーストを授けてくれるって言ってくれたが、それだけでどうにかなるんかな? うーん、今から心配や。私達でどうにかならなかったら、例の皇帝竜(カイザードラゴン)に神託を下すって言っていたけど、絶対とんでもないことになるはず。以前、ヤマタノオロチと皇帝竜(カイザードラゴン)がぶつかった時に、反動で王冠山が出来たんやから。どんな大怪獣合戦やったんやろ。
もう少しで1時間と言う所で、オシリスが徐々にスピードを落としていく。着陸かな? この着陸が怖いんだよねえ。
急に、真っ直ぐに正面を向いていたオシリスの目がぶれる。私を包んでいたホークさんの腕に力が入った。
景色が傾く、違う、オシリスが旋回した。
ひーっ。ジェットコースターやぁーっ。ぶれぶれの視界の中で、光のリンゴがものすごい勢いで動き回る。そして、小さな黒い塊を撃ち落としていく。なんやあれ、サイズ的に、小さ、ギャーッ、旋回ーっ。オシリス君やっ、いくら色々ブーストやらなんやらあっても、私にはきつかーっ。いかんっ、目を閉じようっ。ひーっ、体を硬くしていると、バチバチッ、という音が響く。何かを撃ち落としているんやろうけどっ。
ふいに、ホークさんの右腕から力が抜ける。代わりに左腕に力が入り私の胴体を巻き込む。ふわあっ、とマントが翻る。なんやなんやっ。結局刮目。視界の真横で、ホークさんの手が伸びる。手には弓。え? 弓って? こんな不安定な場所で弓? その間にも光のリンゴが何やら撃ち落しているけど。鳥にしたら、なんや、おかしかフォルム。
オシリスはそれでも着陸態勢に入る。おそらく魔力が底を尽き始めたんやろう。いきなり墜落は勘弁。
ギリリッ、と音がすると、なんとホークさん口で矢をつがえている。え? 口で? 確かにヘルメットのシールド部分は、上に上げられる構造になっているけどっ。認識した瞬間、矢が放たれ、オシリスの着陸軌道上、とても迷惑な位置にいた鳥、違う、あれ蝙蝠や、でっかい蝙蝠の片羽を撃ち抜いた。流石っ。だけど、ホークさんは納得できなかったのか、舌打ち。いやいや、当たるだけでも凄かですよっ。でっかい蝙蝠はバランスを崩して墜落していく。光のリンゴ達は、私達に向かってくる蝙蝠達を撃ち落とすのに忙しく、軌道上にいるので手が回らないみたいや。だから、ホークさんはこんな不安定な中で弓を使ったんや。凄い判断力と行動力。オシリスはスピードを落としながら、木々のすき間を縫うようにして着陸。着陸は無事に済んだけど、着陸するまでの間にも、サイズが異なる蝙蝠達がバサバサ羽音を立てながら飛び交ってる。う、あまりの多さに、気持ち悪か。一斉にこちらに蝙蝠達が向かって来るが、凄まじい勢いで光のリンゴが飛び回り、サイズが小さくなっていく。オシリスの風の結界もあり、防げているけど。ひーっ、蝙蝠ーっ。
「ユイさんっ」
「はいっ」
私は着陸と同時にルームを開ける。
真っ先に飛び出して来たのは元気だ。そして、コハクと追加で出してくれた光のリンゴ達が続く。
「ワンワンッ」
元気が雷を景気よく放ち、蝙蝠達はパタパタ落ちていく。ホルスとアリス、ノワール、三人娘、ケルンさん達も飛び出してきた。
「ホークさん、オシリスをルームにっ」
オシリスは疲労困憊のはず、休ませんと。ホークさんはオシリスの手綱を掴み、私までがっちりホールドしたままルームに。私、歩けますよっ。私がルームに入っている間も、イシスとルージュは光のリンゴを景気よくどんどん出してる。
『ユイ、キズはないのですか?』
ビアンカが前肢でアレスを踏みつけながら聞いてくる。………………アレス、ちょっとにやけてない?
「大丈夫よ」
うん、アレスは触れないでおこう。
『ならいいのです。あの蝙蝠の牙や爪は厄介なのです』
そうなんや。向こうでもそんなこと聞いた。聞いたけど。私はいつまでホークさんにホールドされとるんやろう? もう、大丈夫なんやけど。不謹慎だけど、今さらドキドキや。
窓から見ると、まあ元気がワンワンッ雷連発。よく見ると皆発現系の魔法で戦闘している。いつもならブヒヒンッ、と走り回るノワールでも発現系で撃ち落としている。
光のリンゴ達が忙しなく動き回ってる。遠距離攻撃ができる魔法職であるマデリーンさんとフリンダさんも参戦。弓が使えるリィマさん、そして私をホールドしていたホークさん、火魔法が使えるシュタインさんに土魔法が使えるチュアンさんも参加。弓士のハジェル君も行こうとしたけど、リィマさんに、
「あんたの腕じゃ当たらないから邪魔だよ」
と一喝されて、そこで沈没している。
程なくして、蝙蝠達は撤退し、あんなにうるさかった羽音が止む。
ルームの扉は光のリンゴを出すために、開けっ放しにしていたが、無事に全員帰還。怪我はなし。水分補給して、と。
「やはり、土石流の影響、ですね」
「確かに、こんな昼間にあれが出てくるなら」
フェリクスさんとケルンさんがお話している。
なんやろ、気になる。それは他の皆さんもみたいだ。中には察している人もいるみたいだけど。
「あれはキジィアバットと言って、本来は洞窟や日が当たらない崖の下とかを住み処にする魔物なんです」
と、フェリクスさんが教えてくれる。
あのキジィアバットは基本的には夜行性。バットだもんね。で、固まって生活している。あんまり強くはないけど、集団、つまり大群でいる。そしてビアンカが言った厄介な爪と牙に引っ掛かれたら熱病になるし、傷は膿むし、最悪死ぬ。傷を負ってすぐに綺麗な水で洗ったり、浄化魔法使えば防げたり、予後は全然違うけど、戦闘中にそんな悠長なことはしていられない。
「おそらく、あの土石流で住み処を追われ、今も寝床が見つからず木々に隠れていたんでしょう」
フェリクスさんが鎧をアンドレアスさんに手伝って貰いながら外す。
「魔物の分布が変わり、獲物も思うように獲れずにいた時、単騎のグリフォンが人を乗せていた。獲物だと思い襲った。上位魔物であるグリフォンを狙ったのは、よほど切羽詰まっていたのでしょう」
とケルンさんが続く。リンゴジュースのピッチャーを持ったエマちゃんに、グラスを差し出してる。
キジィアバットは肉食。私とホークさん狙いだったのね。いややあ。
「ねえビアンカ、蝙蝠達おらんよね?」
『逃げたのですね。何匹か息があるのですが、放っておいてもそのうち死ぬのですよ』
う、それはそれで、なんだかな。
『ヌシヨ、今日ハモウ少シ、移動スル事ヲ提案スル。キジィアバットノ死体目当テニ別ノ魔物ガ集マルハズ』
「それはいかんね」
少し休んでノワールに騎乗して移動となった。
「「「「「バランスが悪い」」」」」
「うっ」
その日、ルームの中庭で弓を使える皆さんによるハジェル君のチェックが行われる。ロッシュさんからお願いもあったみたい。ハジェル君はギルドで無料の基礎講座を受けたのみで後は独学。孤児院でも体術は習ってはいた。弓士になった理由はやはり人族では珍しいスコープのスキルがあったからだ。ハジェル君もスコープがあると分かって嬉しかったので弓士を選んだって。
「俺が教えられたら一番なんですけど、弓はからきしなんですよ」
と、ロッシュさん。フェリクスさんの元で新人時代を過ごした時に、一通りの戦闘術には触れて、最後に選んだのは盾を持ち剣を振るうことだった。
仔達が走り回っているから、実際に矢を放てないので、とりあえず弓を引く姿をみて貰っている。私も野次馬で見物。
で、一度見ただけで、その一言が飛び出した。
弓を使えるのはケルンさん、エリアンさん、リィマさん、ホークさん。そして万能型のフェリクスさんだ。
「腕の力だけで引いてる」
ケルンさんが細い腕を掴む。
「顎を引きなさい」
エリアンさんが頭を動かす。
「肘を上げすぎです、肩に変な力を入れない」
フェリクスさんが肘の位置を調整し、肩をポンポン。
「弓を持つ手もおかしい。これでは手首に負担がかかりすぎる」
ホークさんが持ち手を修正。
「腹に力を入れなっ」
リィマさんが腹パン。
「ぐへぇっ」
ハジェル君がうめき声。リィマさん、容赦ないなあ。そしてハジェル君、言われ放題や。指導やから仕方ないやろうけど。
「大体君は細すぎ」
「確かに、筋肉が少ない」
ケルンさんとエリアンさんが、ペタペタとハジェル君のボディチェック。変な意味じゃないけどね。てか、ほっそりなエルフのケルンさんとエリアンさんが言うのもあんまり説得力がない。
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