もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
479 / 876
連載

行動計画②

 本日は寒さが身に染みて来たので、温かいシチューだ。冷蔵庫ダンジョンの貝柱、レーヌサーモンをたっぷり使ったシチュー。身体が資本の冒険者の皆さんもいるので、大型の鍋3つに作ってある。後はパンね。こちらはご飯よりパンが主食。どちらにせよシチューはご飯より、パンよね。私のイメージだけど。麦美ちゃんからたくさんのパンをゲットしてある。うん、コーンとマヨネーズのパンが美味しそうや。シチューだけじゃ足りないだろうからと、冷蔵庫ダンジョンの21階のフィレと野菜で、オイスター炒めを作ってくれていた。追加分で麦美ちゃんでエマちゃんとお買い物。たくさんあるから、大皿に乗せて、好きなのを取ってもらおう。
 買い物から帰ってきて、夕御飯の準備を進める。食事に関しては、各パーティーから毎日下拵えのお手伝いメンバーがきてくれている。これ、本当に助かる。
 準備の間、父はじっと窓からヤマタノオロチを見ていたが、流石に日が落ちてしまい、終了している。
「お父さん、どう?」
 やっとこちらに来た父に、イシスとアレスが張り付いている。私も心配だったしね。後ろで鷹の目の皆さんの緊張が走る。
「うん、そうやな。まずは現状の戦力では勝ち目はなか」
 はっきり言う父。ビアンカとルージュが言ってたからね。
「あ、やっぱり」
 サイズ的にもそうやないかなって思ってたけど。
「でも、アルコールには弱か」
「どれくらい?」
 そこそこ、あれだけのサイズのヤマタノオロチにどれだけ呑ませたらいいかって事。
「体質的にはかなりアルコールに対して弱か。ほら、ウイスキーボンボンあるやん」
「あるね」
 あれ、母が大好きで、バレンタインの時に家族チョコであげてた。
「あれで酩酊状態になるくらいやな」
「やけど、サイズ明らかにでかかやん。ウイスキーボンボンいくつ必要になるん?」
 と、晃太。
 確かに、あの小さなウイスキーボンボンで足りるわけない。
 父の説明はこうだ。
「例えばや、優衣の体格でウイスキーボンボン1個で酩酊状態になるとして」
 なんで私やねん。
「ヤマタノオロチと比較対象するのに、ちょうどよか」
 なんや、納得できんのやけど。
「向こうの体重は、約2万トン越え。優衣の約40万倍」
 私の体重バレバレやんっ。きぃーっ。
「ウイスキーボンボンに含まれるアルコールは約2ミリリットル。必要とされる量は約800リットル。今、準備している度数の高い焼酎なら、この半分以下でも十分やな。ただし、向こうはこの量で酩酊状態なるとしても、解毒能力が高いけん、アルコール中毒死するくらいの量が必要やろう、約この3、いや5倍やな」
 と、父が計算して必要な量を弾き出す。
「で、問題はどうやって飲ませるん?」
 花を抱えた晃太が更に肝心な事を聞く。確かに、量は分かっても、飲ませる方法や。
「まあ、妥当な方法としては桶やな。それにアルコールだけよりは、誤魔化す為に、甘いジュースをかなりの量を混ぜた方がよさそうや」
「つまり、カクテルみたいにするって事?」
 ロックや水割りではないのね。比率としてお酒1に対してジュースが9。焼酎で準備するとして、単純計算で2万リットル。
「それに関しては準備する分は問題はなかけど」
 異世界への扉があるから、アルコールやジュースの入手には問題はない。ないけど、それをどうやって飲ませるか、だ。なんとなくだけど、ビニールプールとか駄目かな、なんて思っていたけど。あのサイズみて、あ、無理って直感。絶対牙があるはずだから、突き破るわな。ルーティのダンジョンで出たワインの樽でも使えんかな? 上蓋をこじ開けて、さ。
「あのルーティで出たワイン樽、使えん? 晃太、お父さんに見せて」
「ん」
 晃太がアイテムボックスから250リットルと500リットルのワイン樽を出す。
 じっと、それを眺める父。
「駄目や、強度が足りん。それにヤマタノオロチの口、横のサイズが一番大きいのは7メートルはある。この小さいのなら丸飲みするかもしれんけど」
 使えないことはないか。
「なら、それより大きなサイズの桶が必要?」
「そうやな、1つとかじゃ、足りないやろうから。何個も必要やし」
 頭の中でイメージする。あの小山サイズのヤマタノオロチが首を突っ込む桶。普通の桶なら直ぐに粉砕するやろうなあ。絶対溢れそうやし。運良く250リットルのワイン樽を丸飲みするかどうかなんて、分からないし。ジュースをかなりの量を混ぜないといけないのには、理由があるはず。きっとアルコール特有の匂いを誤魔化すためやろうし。もし、ワイン樽のアルコールの匂いに気がついて、そっぽ向かれたら元も子もない。それに溢れたりするだろうから、必要量以上準備しないと。
 頭を寄せあって考える。ジュースたっぷりのカクテル桶を並べて、間にワイン樽をさりげなく並べてみる。ワイン樽の中身も半分は抜いて、ジュースを入れておこう。それでいけるやろうけど、問題は。
「桶、どうする?」
 アルコールやジュースの入手経路はある。問題は7メートルの口が入る桶。作ってもらうとしても、さてはて、誰に頼むか。作る口実として、仔達の夏のプールって事にして。
「なあ、優衣」
 うーん、と考えていると、父が気まずそうに告げる。
「問題はな、ヤマタノオロチだけやないみたいなんよ」
「え? まだ、あるん?」
 やだ、ヤマタノオロチだけでも手一杯なのに。
「あの王冠山の内部な」
「うん」
 魔境みたいな緑の絨毯が広がっていたけど。
「フィールド型ダンジョンや」
感想 851

あなたにおすすめの小説

「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました

歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜 

なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。 家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。 向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。 一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!

山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。

「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった

歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。

元の世界に帰らせていただきます!

にゃみ3
恋愛
淡い夢物語のように、望む全てが叶うとは限らない。 そう分かっていたとしても、私は敵ばかりの世界で妬まれ、嫌われ、疎まれることに、耐えられなかったの。 「ごめんね、バイバイ……」 限界なので、元いた世界に帰らせていただきます。 ・・・ 数話で完結します、ハピエン!

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※