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木材確認⑤
私はセーフティゾーンで、空を見上げる。ダンジョンなのに空がある。改めてファンタジー。
オシリスがゆっくり旋回。旋回しながら、スピードが上がっていく。羽に、緑のラインが浮かぶ。きっと戦闘モードやね。
タイミングを見てアレスが前肢で木製の扉を押し開ける。私はひーこら言いながら開けるのに、ね。
押し開けられたボス部屋に、オシリスが正にパラグライダーの様に飛び込んでいく。
ズバババババババッ
音が違う。
なんか切れてるー。
それからエドワルドさん、ツヴァイクさん、ホークさん達も続く。
『人の仔よっ、我が守ってやるのだーっ』
アレスはエマちゃんとテオ君に張り付いて行った。頼むね。
それからちゅどん、ドカン、ズバズバが続き。
「姉ちゃん、終わったよー」
「はいはい」
私はボス部屋に向かった。
「エマちゃん、テオ君、ケガはない?」
「はい、大丈夫です」
「俺も」
良かった。
他の皆さんもケガはなし。
ドロップ品の回収して、と。ツヴァイクさんには引き続き、木材の選別をしてもらう。中にはやっぱり色がある木材がある。赤っぽいのと、黒っぽいのだ。
「木の魔物なのに火ば吹くんばい。あれはなかよね」
と、晃太がリストを書いている。
「え? 木が火を吹くん?」
「そ」
なんやイメージが。だってあれでしょ、ドラゴンみたいなブレスでしょ? 木って、火に弱いイメージあるけど。
「ファンタジーやね」
「そやなあ」
「誰がどうやって倒したん?」
「アレスが、『ふんっ』とか言ったら、真ん中からへし折れたよ」
「へー」
鼻息ー。ビアンカも鼻息でいろいろやってたなあ。
我ながら恐ろしい魔物ば従魔にしたなあ。
宝箱には罠があり、解除困難と判断された。ラスチャーニエでは罠に関してはケルンさんとツヴァイクさんが担当しているが、当のツヴァイクさんは自信がないと答えたから。晃太が宝箱ごとアイテムボックスに。
「えーっと。木材が引き取り分引いて大小合わせて174、胡桃が105キロ、木葉が343キロ、オリーブが65キロ。属性の木材が火が8、闇が10、無属性が9。魔石が190、大の魔石が9、火属性と闇属性、無属性が各1や」
あははん、凄か数。ビアンカやルージュ達の倍くらいや。
『主よ、主よ、次なのだっ』
「くうっ、くうっ、くうーっ」
「ちょっと疲れたとかないん?」
『せっかくのダンジョン、次なのだっ』
「あんたね。次のボス部屋まで、2時間は歩くんよ」
寒いし、薄暗くなってきたし、勘弁して。
すると、やおら、オシリスがホークさんに向かってお尻ぷりぷり。
ああ、あったね、移動手段。グリフォン新幹線オシリスが。
ぷりぷり、ぷりぷり。
ホークさんが困った顔。
「姉ちゃん、どうする」
「はあ、化粧品の材料、リティアさん待っとるけんねえ」
結局、その日、26階の化粧品部屋に向かった。
「皆さん、お疲れ様です」
化粧品部屋まで、オシリスに乗るとあっという間だった。歩いたら2時間以上かかるのに。アレスは飛行するオシリスを追って下を走ってた。晃太、他の皆さんはルームだ。
それから着いたら直ぐにボス部屋。アレスが嬉々として突っ込んでいった。
回収やらなんやらしたら19時過ぎになってた。レベルの差か、こちらも初めてのドロップ品がでた。シアの実がびっしり50キロ。ハンドクリームとかでよく見るけど。まさかダンジョンから出るとは。あともう一種、見た目ブルーベリーだけど。サイズが少し大きくて、色とりどり。
「これは珍しい。マジックベリーじゃな」
ツヴァイクさんが感嘆の声をあげる。
「マジックベリー?」
「そう。特殊ポーションの材料じゃ。そのまま食べても効果はあるが、微々たるものじゃな。酸っぱいぞ」
この色とりどりのブルーベリーは、魔法の強化剤、つまりドーピング剤なんだって。いざ、ボス部屋とか、危機的な時に使うんだって。色によって効果が違う。支援魔法の使い手がなかなかいないために、需要が高い。
「ユリアレーナでは珍しいんですか?」
「そうじゃな。クラインの魔の森にしか自生しとらんし。後はポーションダンジョンから採れるがな」
「へー」
晃太が魔力切れた時にいるかな?
「それでも、さっきの支援魔法には及ばん効果じゃな」
わはは。と、笑うツヴァイクさん。
そうなんや。
うーん、どうしよう。それやったら、ヤマタノオロチの時に使うかな? 後で、ホークさんに相談しよ。
宝箱には罠があり、これも晃太のアイテムボックスにいれた。
なんだかんだで、お腹減った。
異世界のメニューからビールに合う八陣の居酒屋メニューや、みつよしにしよう。アレスとオシリスもたらふく食べたし。
明太子の卵焼き、串の盛り合わせ、刺身の盛り合わせ、アジフライ、シーザーサラダ、チキン南蛮、天麩羅の盛り合わせ、カレーナンピザ、温玉つくね、フライドポテト、焼おにぎり。サーモンのカルパッチョ、シーフードグラタン、フライドチキン、キノコのクリームパスタ等々。
私はレモンチューハイ、晃太、ホークさん、エドワルドさん、ツヴァイクさんはビール。マデリーンさんはロゼ。エマちゃんとテオ君はお茶ね。
「お疲れ様でした。いただきまーす」
「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」
たらふく食べました。
食後、晃太と一緒に、ホークさんに例のドーピング剤を聞いてみた。
「ツヴァイクさんが言っていたんですけど、ドーピング剤ってあった方がいいんですかね?」
聞かれたホークさんは思案顔。
「そうですね。俺はドーピング剤は使った事はないですが」
そもそもがとっても貴重だし、販売されたら即完売ものなんだって。
「効果云々はさておき、あって損はないと思いますよ。晃太さんの魔力だって無尽蔵じゃないし、戦闘中離れてしまって、近くにいない場合もありますから」
そりゃそうだな。
でも、これが欲しい冒険者さんがたくさんいるだろう。でも、ヤマタノオロチの後のモンスターボックスが長期戦になれば、必要かも。だけど貴重な薬剤。普通にしていても、手に入らない。どうしたら、ドーピング剤を問題なく手に入れられるかな?
「交渉やないね? リティアさんに言ってみたら?」
晃太が他人事。おのれ、私にさせる気やね。
やけど、仕方ない。リティアさんに相談や。
明日は朝イチで化粧品部屋挑んで、25階に引き返して、脱出用魔法陣やね。
「アレス君や。さっきから鼻息が首にかかっているんやけど」
『ボス部屋行きたいのだっ、ルームのドアを開けて欲しいのだっ』
「勘弁して」
私は即答したけど、アレスのお腹出してからのきゅるん、に負けてしまったのは、言うまでもない。
やっとダンジョンを出たのは、次の日の昼過ぎ。
アレスとオシリスはまだまだ言うけど、流石に出ないとね。アレスのきゅるん後のボス部屋挑んだ後は休んだけど、本日は朝日もまだ隠れている時間から、
『ボス部屋ボス部屋』
「くうっ、くうっ」
ドアをバリバリ、勘弁して。
化粧品部屋に2回挑み、25階までオシリスで移動。はい、ちゅどん、ドカン、ズバズバ。
木材確保できたから、よしとするかね。ご褒美部屋は出なかった、確率低いしね。
『もう帰るのか? 動き足りないのだ』
ぶー、とアレス。
「ダメよ。明日にはギルドにいかんといけんし。お母さん達も心配やし」
『ぶー。分かったのだ』
脱出用魔法陣でダンジョン脱出。ふう、次に来るのが、なんや、怖か。
「姉ちゃん、どうする」
「リストのドロップ品だけね。罠つきの宝箱はアリスに見て貰おうかね。ダメならギルドに持ち込もう」
話していると、後ろでこそこそ。
「何の話をしておるんじゃ」
「ドロップ品ですよ」
ツヴァイクさんとホークさんだ。
「今、ダンジョンから、出たばかりじゃよな?」
「そうですね。そのうち分かりますよ」
こそこそ。
普通はダンジョンから出たら、ギルドに行き、依頼書のあるドロップ品を提出。もしくは手持ちのドロップ品の依頼がないか確認し、あれば提出、なければ買い取りに出す。ドロップ品が多ければ厳選。どこに何を卸すかね。冒険者は独自の販売ルートがある。特にランクが高くなるにつれそうなる。私達の会話は、ギルドに全て選別もせず卸すと思われたんやね。それに生物でなければ、直ぐにおろさない。だって、ダンジョンから出たら満身創痍だからだ。一旦休憩したりするもんだって。お金がすぐに必要なら、代表者がすぐに窓口に並ぶ。
私は並んだことはない。
だって。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様」
華麗にすっ飛んできたスマイルリティアさんに、エドワルドさんが引いていた。
オシリスがゆっくり旋回。旋回しながら、スピードが上がっていく。羽に、緑のラインが浮かぶ。きっと戦闘モードやね。
タイミングを見てアレスが前肢で木製の扉を押し開ける。私はひーこら言いながら開けるのに、ね。
押し開けられたボス部屋に、オシリスが正にパラグライダーの様に飛び込んでいく。
ズバババババババッ
音が違う。
なんか切れてるー。
それからエドワルドさん、ツヴァイクさん、ホークさん達も続く。
『人の仔よっ、我が守ってやるのだーっ』
アレスはエマちゃんとテオ君に張り付いて行った。頼むね。
それからちゅどん、ドカン、ズバズバが続き。
「姉ちゃん、終わったよー」
「はいはい」
私はボス部屋に向かった。
「エマちゃん、テオ君、ケガはない?」
「はい、大丈夫です」
「俺も」
良かった。
他の皆さんもケガはなし。
ドロップ品の回収して、と。ツヴァイクさんには引き続き、木材の選別をしてもらう。中にはやっぱり色がある木材がある。赤っぽいのと、黒っぽいのだ。
「木の魔物なのに火ば吹くんばい。あれはなかよね」
と、晃太がリストを書いている。
「え? 木が火を吹くん?」
「そ」
なんやイメージが。だってあれでしょ、ドラゴンみたいなブレスでしょ? 木って、火に弱いイメージあるけど。
「ファンタジーやね」
「そやなあ」
「誰がどうやって倒したん?」
「アレスが、『ふんっ』とか言ったら、真ん中からへし折れたよ」
「へー」
鼻息ー。ビアンカも鼻息でいろいろやってたなあ。
我ながら恐ろしい魔物ば従魔にしたなあ。
宝箱には罠があり、解除困難と判断された。ラスチャーニエでは罠に関してはケルンさんとツヴァイクさんが担当しているが、当のツヴァイクさんは自信がないと答えたから。晃太が宝箱ごとアイテムボックスに。
「えーっと。木材が引き取り分引いて大小合わせて174、胡桃が105キロ、木葉が343キロ、オリーブが65キロ。属性の木材が火が8、闇が10、無属性が9。魔石が190、大の魔石が9、火属性と闇属性、無属性が各1や」
あははん、凄か数。ビアンカやルージュ達の倍くらいや。
『主よ、主よ、次なのだっ』
「くうっ、くうっ、くうーっ」
「ちょっと疲れたとかないん?」
『せっかくのダンジョン、次なのだっ』
「あんたね。次のボス部屋まで、2時間は歩くんよ」
寒いし、薄暗くなってきたし、勘弁して。
すると、やおら、オシリスがホークさんに向かってお尻ぷりぷり。
ああ、あったね、移動手段。グリフォン新幹線オシリスが。
ぷりぷり、ぷりぷり。
ホークさんが困った顔。
「姉ちゃん、どうする」
「はあ、化粧品の材料、リティアさん待っとるけんねえ」
結局、その日、26階の化粧品部屋に向かった。
「皆さん、お疲れ様です」
化粧品部屋まで、オシリスに乗るとあっという間だった。歩いたら2時間以上かかるのに。アレスは飛行するオシリスを追って下を走ってた。晃太、他の皆さんはルームだ。
それから着いたら直ぐにボス部屋。アレスが嬉々として突っ込んでいった。
回収やらなんやらしたら19時過ぎになってた。レベルの差か、こちらも初めてのドロップ品がでた。シアの実がびっしり50キロ。ハンドクリームとかでよく見るけど。まさかダンジョンから出るとは。あともう一種、見た目ブルーベリーだけど。サイズが少し大きくて、色とりどり。
「これは珍しい。マジックベリーじゃな」
ツヴァイクさんが感嘆の声をあげる。
「マジックベリー?」
「そう。特殊ポーションの材料じゃ。そのまま食べても効果はあるが、微々たるものじゃな。酸っぱいぞ」
この色とりどりのブルーベリーは、魔法の強化剤、つまりドーピング剤なんだって。いざ、ボス部屋とか、危機的な時に使うんだって。色によって効果が違う。支援魔法の使い手がなかなかいないために、需要が高い。
「ユリアレーナでは珍しいんですか?」
「そうじゃな。クラインの魔の森にしか自生しとらんし。後はポーションダンジョンから採れるがな」
「へー」
晃太が魔力切れた時にいるかな?
「それでも、さっきの支援魔法には及ばん効果じゃな」
わはは。と、笑うツヴァイクさん。
そうなんや。
うーん、どうしよう。それやったら、ヤマタノオロチの時に使うかな? 後で、ホークさんに相談しよ。
宝箱には罠があり、これも晃太のアイテムボックスにいれた。
なんだかんだで、お腹減った。
異世界のメニューからビールに合う八陣の居酒屋メニューや、みつよしにしよう。アレスとオシリスもたらふく食べたし。
明太子の卵焼き、串の盛り合わせ、刺身の盛り合わせ、アジフライ、シーザーサラダ、チキン南蛮、天麩羅の盛り合わせ、カレーナンピザ、温玉つくね、フライドポテト、焼おにぎり。サーモンのカルパッチョ、シーフードグラタン、フライドチキン、キノコのクリームパスタ等々。
私はレモンチューハイ、晃太、ホークさん、エドワルドさん、ツヴァイクさんはビール。マデリーンさんはロゼ。エマちゃんとテオ君はお茶ね。
「お疲れ様でした。いただきまーす」
「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」
たらふく食べました。
食後、晃太と一緒に、ホークさんに例のドーピング剤を聞いてみた。
「ツヴァイクさんが言っていたんですけど、ドーピング剤ってあった方がいいんですかね?」
聞かれたホークさんは思案顔。
「そうですね。俺はドーピング剤は使った事はないですが」
そもそもがとっても貴重だし、販売されたら即完売ものなんだって。
「効果云々はさておき、あって損はないと思いますよ。晃太さんの魔力だって無尽蔵じゃないし、戦闘中離れてしまって、近くにいない場合もありますから」
そりゃそうだな。
でも、これが欲しい冒険者さんがたくさんいるだろう。でも、ヤマタノオロチの後のモンスターボックスが長期戦になれば、必要かも。だけど貴重な薬剤。普通にしていても、手に入らない。どうしたら、ドーピング剤を問題なく手に入れられるかな?
「交渉やないね? リティアさんに言ってみたら?」
晃太が他人事。おのれ、私にさせる気やね。
やけど、仕方ない。リティアさんに相談や。
明日は朝イチで化粧品部屋挑んで、25階に引き返して、脱出用魔法陣やね。
「アレス君や。さっきから鼻息が首にかかっているんやけど」
『ボス部屋行きたいのだっ、ルームのドアを開けて欲しいのだっ』
「勘弁して」
私は即答したけど、アレスのお腹出してからのきゅるん、に負けてしまったのは、言うまでもない。
やっとダンジョンを出たのは、次の日の昼過ぎ。
アレスとオシリスはまだまだ言うけど、流石に出ないとね。アレスのきゅるん後のボス部屋挑んだ後は休んだけど、本日は朝日もまだ隠れている時間から、
『ボス部屋ボス部屋』
「くうっ、くうっ」
ドアをバリバリ、勘弁して。
化粧品部屋に2回挑み、25階までオシリスで移動。はい、ちゅどん、ドカン、ズバズバ。
木材確保できたから、よしとするかね。ご褒美部屋は出なかった、確率低いしね。
『もう帰るのか? 動き足りないのだ』
ぶー、とアレス。
「ダメよ。明日にはギルドにいかんといけんし。お母さん達も心配やし」
『ぶー。分かったのだ』
脱出用魔法陣でダンジョン脱出。ふう、次に来るのが、なんや、怖か。
「姉ちゃん、どうする」
「リストのドロップ品だけね。罠つきの宝箱はアリスに見て貰おうかね。ダメならギルドに持ち込もう」
話していると、後ろでこそこそ。
「何の話をしておるんじゃ」
「ドロップ品ですよ」
ツヴァイクさんとホークさんだ。
「今、ダンジョンから、出たばかりじゃよな?」
「そうですね。そのうち分かりますよ」
こそこそ。
普通はダンジョンから出たら、ギルドに行き、依頼書のあるドロップ品を提出。もしくは手持ちのドロップ品の依頼がないか確認し、あれば提出、なければ買い取りに出す。ドロップ品が多ければ厳選。どこに何を卸すかね。冒険者は独自の販売ルートがある。特にランクが高くなるにつれそうなる。私達の会話は、ギルドに全て選別もせず卸すと思われたんやね。それに生物でなければ、直ぐにおろさない。だって、ダンジョンから出たら満身創痍だからだ。一旦休憩したりするもんだって。お金がすぐに必要なら、代表者がすぐに窓口に並ぶ。
私は並んだことはない。
だって。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様」
華麗にすっ飛んできたスマイルリティアさんに、エドワルドさんが引いていた。
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