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連載
バタバタ①
「お疲れ様、大変やったね」
パーティーハウスに帰りつくと、母が心配気に出てきた。
「クゥンッ、クゥンッ、クゥーン」
花が母の足元から飛び出して、歓迎のはみはみからのローリング。かわいか、ぽちゃぽちゃ。
とりあえず、パーティーハウスに入る。
まず、私はホークさんとノワールが待つ倉庫に向かいルームに誘導する。それから居間に移動して、再度ルームを開けて、残りのメンバーを誘導。シルフィ達はおねむのため、チュアンさん、ツヴァイクさん、エドワルドさん、ミゲル君が抱っこして運んでくれる。
「ユイさん、大丈夫?」
エマちゃんも心配そうに聞いてくる。他の皆さんも心配そう。
「私自身は大丈夫よ。お腹減ったよね? ご飯にしようね」
「うんっ」
「こら、エマ」
「はいっ」
うむうむ、かわいか。
嗽と手洗いもみんないいかな。
両親にコテージにケルンさん達がいるのを説明する。
父はそれから晃太とエドワルドさんとなにやら相談を始める。ホークさんはノワールのブラッシング。チュアンさん、マデリーンさんはアレスのブラッシングだ。
「あら、じゃあ、足りんね」
母が冷蔵庫ダンジョンの牛肉と野菜炒め、なんちゃってちゃんちゃん焼き、サラダを作っていたけど、全然足りない。
「どうする? せっかく作ったけん」
「皆さんに行き渡らないなら、しょうがないやん。アレス達のご飯にしよう」
「お母さんがよかなら、いいけど」
結局、異世界のメニューとなる。
「ミゲル君、エマちゃん、テオ君、ごめんけどコテージから皆さん呼んできてくれる?」
「「「はいっ」」」
見送って、さて、私は母と液晶画面を覗く。足元で花がすがり付くので、抱っこする。
「新しい異世界のメニューが選べるんよ」
「へー」
2人で画面を覗き込む。
「いろいろあるね。あ、柑橘もある。でも、この優雲って、あそこよね?」
やはり、母もそれが気になる様子。
「そ。あのブッフェの所ね」
「どうなるんやろう?」
「さぁ」
花が首を伸ばして、アレスと比べられない程小さな鼻先で、液晶画面をタップ。
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「「あーっ」」
久しぶりの悲鳴を上げた。
びくり、と震える花が、私の腕の中で暴れて、短い後ろ足がタップ。
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「「あーっ」」
再び、悲鳴を上げた。
結局。
「「お騒がせしました」」
仕方ない、という事に。
久しぶりの店舗選択だったから油断していた。わざわざ液晶画面を外さず見ていたんやけどね。
暴れる花を宥めすかす。よしよし。
「で、どうすると?」
花を宥める晃太が聞いてくる。
さっそくココロにしたいけど、残念ながらラストオーダーの時間が過ぎていた。明日のお昼にしようかな。エマちゃんとテオ君が気になっていたみたいだしね。
うーん、なら、優雲かなって思ったけど、せっかくだもん皆揃ってからにしようとなった。父の鑑定では、メインルームにあの優雲が再現されるみたい。どうなるか分からないけど、いろいろ食べれるブッフェだからね。山風の皆さんおらんからね。もし、何かしらトラブルになるようなら、違うメニューにすればよかやし。
先にアレス達のご飯を手分けして運んでもらってる間に、ケルンさん達がやって来た。
「ユイちゃん、ユイちゃん」
「こらこらアルス」
ファングさんがとことこやって来そうなアルスさんを止める。花がスイッチ入って、ローリングを披露する。
「リュウタさん、ケイコさん、ご無沙汰しております」
と、ケルンさんが代表してご挨拶。
「娘達がお世話になってます」
両親もどうも。
皆さんもペコリ、とご挨拶。
晃太がテーブルと椅子を出して、皆さん慣れたもので皿やカップを並べる。私は景気よくタップタップタップ。
「皆さーん、各パーティーで好きなの選んでくださいねー」
やけくそ気味に、タップタップタップ。次々に料理が私達が使用しているダイニングテーブルに並ぶ。これから好きなのを選んでもらおう。
「リクエストは囁いてくださーい」
各種居酒屋メニュー、彩り中華、多種類のピザ、いろいろパスタ…………………
「ユイさん、私、オムライス」
「俺、唐揚げがいい」
と、もじもじと、控え目に双子が訴えるので、私は即タップ。あ、ホークさんが好きな麻婆豆腐もタップ。
それぞれに好きなお皿を確保してもらう。
私達は刺身の盛り合わせ、天麩羅の盛り合わせ、焼き鳥の盛り合わせ、明太子のだし巻き卵、餃子、エビチリ、あんかけ五目麺が並ぶ。
それぞれのテーブルにも料理がならぶ。花はケージに入ったし。匂いに鳴いてるけどね。
アルコールもいいかな。
「では、皆さんお疲れ様でしたー」
かんぱーい、と。
「「あぁぁぁぁぁぁっ」」
ミゲル君とツヴァイクさんがビールを一気飲み。
わいわいとお食事開始。私は明太子のだし巻き卵をぱくり。
「で、あの人達に対してはどうするん?」
食べながら聞く。
「それな、役場から聞いた弁護士の人を通した方が良さそうやから、紹介してもらうことになったよ」
と、父がエビの天麩羅に箸を伸ばしながら答えてくれる。
こちらの世界の役場とは、いろんな役割がある。主に市民の相談窓口、その先のギルドとの連携。職安、税収管理、街の治安維持等々。簡易裁判所の役割もある。で、マーファの役場の頂点は言わずもなが、ハルスフォン侯爵様。その役割の中で、今回みたいないちゃもんつけて、晃太の社会的な地位を揺るがした事に対して訴える事ができる。ただ、向こうも末端とは言え爵位があるので、名誉伯爵の父が、うちの息子に何をするん? みたいな訴えを起こす。爵位のあるなし動きが、色々変わるけど、今回はこれがベストなんだって。
「私も何かした方がよか?」
「いや、まずは弁護士さんの話を聞いてからがよかと思うけん。優衣はまだなんもせんほうがよか」
「分かった」
その弁護士さんとは役場が既に連絡してくれてあり、明日面会するって。
あ、事情を知らない皆さんがこっち見てる。
いいのかな、私が話しても。
ちら、とエドワルドさんを見る。晃太はどうでもいいって顔。
「実は」
話し出したのはエドワルドさん。かいつまんで説明する。
「ひどい目に遭いましたね」
と、聞いたフェリクスさんが同情の眼差し。他の皆さんも、うわぁ、みたいな表情。
ケルンさんとヒェリさんはツヴァイクさんから事情を聞いていたのか冷静だ。
「まったくですよ、だから、ああいう女性は苦手です」
正に苦虫を噛み潰したようなエドワルドさん。顔が端正なものだから、ものすごく嫌そう。
「でも、ミズサワ殿の弟なら、悪い気はしませんでしたけど」
あら、嬉しか。しかもちょっぴりはにかむように言うもんやから、ドキドキ。こんなイケメンが弟なんて…………いいかも。
やけど、その言葉に過剰反応したのがケルンさん、ヒェリさん、ツヴァイクさん。
バッ、とアルコール片手に頭を寄せあう。
なんや、高速で内緒話が進む。
「何やってんだよ?」
ビール片手にエドワルドさんが聞くと、三人は私達の方に振り返る。
「ミズサワ家の皆様」
と、ケルンさんが、まるでどこぞのテレビショッピングの人みたいに手を広げる。なんや、なんや?
「エドワルド・ウルガー、35歳、容姿はまずまず、食は好き嫌いはなく、やや無口で照れ屋さんですが、性格は基本的に紳士です。これからまだまだ伸び代ある冒険者」
なんや、なんや?
エドワルドさん、ばらすなっ、とケルンさんに抗議。
「ミズサワ家の養子にいかかでしょうかっ」
「「「「はぁっ?」」」」
よ、養子って。
パーティーハウスに帰りつくと、母が心配気に出てきた。
「クゥンッ、クゥンッ、クゥーン」
花が母の足元から飛び出して、歓迎のはみはみからのローリング。かわいか、ぽちゃぽちゃ。
とりあえず、パーティーハウスに入る。
まず、私はホークさんとノワールが待つ倉庫に向かいルームに誘導する。それから居間に移動して、再度ルームを開けて、残りのメンバーを誘導。シルフィ達はおねむのため、チュアンさん、ツヴァイクさん、エドワルドさん、ミゲル君が抱っこして運んでくれる。
「ユイさん、大丈夫?」
エマちゃんも心配そうに聞いてくる。他の皆さんも心配そう。
「私自身は大丈夫よ。お腹減ったよね? ご飯にしようね」
「うんっ」
「こら、エマ」
「はいっ」
うむうむ、かわいか。
嗽と手洗いもみんないいかな。
両親にコテージにケルンさん達がいるのを説明する。
父はそれから晃太とエドワルドさんとなにやら相談を始める。ホークさんはノワールのブラッシング。チュアンさん、マデリーンさんはアレスのブラッシングだ。
「あら、じゃあ、足りんね」
母が冷蔵庫ダンジョンの牛肉と野菜炒め、なんちゃってちゃんちゃん焼き、サラダを作っていたけど、全然足りない。
「どうする? せっかく作ったけん」
「皆さんに行き渡らないなら、しょうがないやん。アレス達のご飯にしよう」
「お母さんがよかなら、いいけど」
結局、異世界のメニューとなる。
「ミゲル君、エマちゃん、テオ君、ごめんけどコテージから皆さん呼んできてくれる?」
「「「はいっ」」」
見送って、さて、私は母と液晶画面を覗く。足元で花がすがり付くので、抱っこする。
「新しい異世界のメニューが選べるんよ」
「へー」
2人で画面を覗き込む。
「いろいろあるね。あ、柑橘もある。でも、この優雲って、あそこよね?」
やはり、母もそれが気になる様子。
「そ。あのブッフェの所ね」
「どうなるんやろう?」
「さぁ」
花が首を伸ばして、アレスと比べられない程小さな鼻先で、液晶画面をタップ。
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「「あーっ」」
久しぶりの悲鳴を上げた。
びくり、と震える花が、私の腕の中で暴れて、短い後ろ足がタップ。
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再び、悲鳴を上げた。
結局。
「「お騒がせしました」」
仕方ない、という事に。
久しぶりの店舗選択だったから油断していた。わざわざ液晶画面を外さず見ていたんやけどね。
暴れる花を宥めすかす。よしよし。
「で、どうすると?」
花を宥める晃太が聞いてくる。
さっそくココロにしたいけど、残念ながらラストオーダーの時間が過ぎていた。明日のお昼にしようかな。エマちゃんとテオ君が気になっていたみたいだしね。
うーん、なら、優雲かなって思ったけど、せっかくだもん皆揃ってからにしようとなった。父の鑑定では、メインルームにあの優雲が再現されるみたい。どうなるか分からないけど、いろいろ食べれるブッフェだからね。山風の皆さんおらんからね。もし、何かしらトラブルになるようなら、違うメニューにすればよかやし。
先にアレス達のご飯を手分けして運んでもらってる間に、ケルンさん達がやって来た。
「ユイちゃん、ユイちゃん」
「こらこらアルス」
ファングさんがとことこやって来そうなアルスさんを止める。花がスイッチ入って、ローリングを披露する。
「リュウタさん、ケイコさん、ご無沙汰しております」
と、ケルンさんが代表してご挨拶。
「娘達がお世話になってます」
両親もどうも。
皆さんもペコリ、とご挨拶。
晃太がテーブルと椅子を出して、皆さん慣れたもので皿やカップを並べる。私は景気よくタップタップタップ。
「皆さーん、各パーティーで好きなの選んでくださいねー」
やけくそ気味に、タップタップタップ。次々に料理が私達が使用しているダイニングテーブルに並ぶ。これから好きなのを選んでもらおう。
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「ユイさん、私、オムライス」
「俺、唐揚げがいい」
と、もじもじと、控え目に双子が訴えるので、私は即タップ。あ、ホークさんが好きな麻婆豆腐もタップ。
それぞれに好きなお皿を確保してもらう。
私達は刺身の盛り合わせ、天麩羅の盛り合わせ、焼き鳥の盛り合わせ、明太子のだし巻き卵、餃子、エビチリ、あんかけ五目麺が並ぶ。
それぞれのテーブルにも料理がならぶ。花はケージに入ったし。匂いに鳴いてるけどね。
アルコールもいいかな。
「では、皆さんお疲れ様でしたー」
かんぱーい、と。
「「あぁぁぁぁぁぁっ」」
ミゲル君とツヴァイクさんがビールを一気飲み。
わいわいとお食事開始。私は明太子のだし巻き卵をぱくり。
「で、あの人達に対してはどうするん?」
食べながら聞く。
「それな、役場から聞いた弁護士の人を通した方が良さそうやから、紹介してもらうことになったよ」
と、父がエビの天麩羅に箸を伸ばしながら答えてくれる。
こちらの世界の役場とは、いろんな役割がある。主に市民の相談窓口、その先のギルドとの連携。職安、税収管理、街の治安維持等々。簡易裁判所の役割もある。で、マーファの役場の頂点は言わずもなが、ハルスフォン侯爵様。その役割の中で、今回みたいないちゃもんつけて、晃太の社会的な地位を揺るがした事に対して訴える事ができる。ただ、向こうも末端とは言え爵位があるので、名誉伯爵の父が、うちの息子に何をするん? みたいな訴えを起こす。爵位のあるなし動きが、色々変わるけど、今回はこれがベストなんだって。
「私も何かした方がよか?」
「いや、まずは弁護士さんの話を聞いてからがよかと思うけん。優衣はまだなんもせんほうがよか」
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その弁護士さんとは役場が既に連絡してくれてあり、明日面会するって。
あ、事情を知らない皆さんがこっち見てる。
いいのかな、私が話しても。
ちら、とエドワルドさんを見る。晃太はどうでもいいって顔。
「実は」
話し出したのはエドワルドさん。かいつまんで説明する。
「ひどい目に遭いましたね」
と、聞いたフェリクスさんが同情の眼差し。他の皆さんも、うわぁ、みたいな表情。
ケルンさんとヒェリさんはツヴァイクさんから事情を聞いていたのか冷静だ。
「まったくですよ、だから、ああいう女性は苦手です」
正に苦虫を噛み潰したようなエドワルドさん。顔が端正なものだから、ものすごく嫌そう。
「でも、ミズサワ殿の弟なら、悪い気はしませんでしたけど」
あら、嬉しか。しかもちょっぴりはにかむように言うもんやから、ドキドキ。こんなイケメンが弟なんて…………いいかも。
やけど、その言葉に過剰反応したのがケルンさん、ヒェリさん、ツヴァイクさん。
バッ、とアルコール片手に頭を寄せあう。
なんや、高速で内緒話が進む。
「何やってんだよ?」
ビール片手にエドワルドさんが聞くと、三人は私達の方に振り返る。
「ミズサワ家の皆様」
と、ケルンさんが、まるでどこぞのテレビショッピングの人みたいに手を広げる。なんや、なんや?
「エドワルド・ウルガー、35歳、容姿はまずまず、食は好き嫌いはなく、やや無口で照れ屋さんですが、性格は基本的に紳士です。これからまだまだ伸び代ある冒険者」
なんや、なんや?
エドワルドさん、ばらすなっ、とケルンさんに抗議。
「ミズサワ家の養子にいかかでしょうかっ」
「「「「はぁっ?」」」」
よ、養子って。
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※小説家になろう様にも投稿しています※