文字の大きさ
大
中
小
794 / 877
連載
三度目の首都㉕
『あの雌臭いのだーっ』
飛び出してきたのはいいが、アレスがきゃいんと言わんばかりの顔で、私達のところに一瞬で移動。
『臭いのだ、あの雌臭いのだっ、水で流していいのだ?』
「ダメよ、遥か彼方に吹き飛ばすやろ」
『くうーん、臭いのだー』
あの魔女みたいな聖女は、どんな臭いを纏っとるんやろ?
最初からいたのと、槍を持ち突撃かましてきた、機能性の低そうな鎧の聖騎士達と、成金神官達がすべて倒れている。ほとんどオスヴァルドさんとエドワルドさんがのしたけどね。
僅か数分間の間。
「はあ、いい加減降参せんね。どうしたらうちらに勝てると思っとるん?」
私はギリギリとしている魔女みたいな聖女に声をかける。早く、女の子を救出したい。女の子は馬車の中だが。
『ユイ、童は起きているのでが、反応がないのです』
『これだけの騒ぎになれば、童なら怯えるか、興味を引くのにおかしいわね』
ビアンカとルージュが様子を教えてくれる。これだけの騒ぎなのに、全く動じない? 起きているのに反応がない? なんや、すごい不安になってきた。もしかして、精神状態がかなり疲弊しているんやないかな? 回りの騒ぎに、心が引き付けられない程に。
あ、想像以上に、不味い状況やない。
魔女みたいな聖女は、高いヒールの靴を踏み鳴らす。ヒール? 聖女のイメージが、清楚なイメージが。
だいたい、聖女ってのはこの世界で生まれない。よその異世界から来た人が称号として持つ以外は存在しない。聖女に近しい存在で、こちらの世界で生まれる称号が神子だ。いまでも混在して勘違いされて使われている。事実、この異世界で『聖女』の称号を実際もっているのはあの華憐だけだ。
地団駄を踏む魔女みたいな聖女は、ますます魔女感が増す。品がないなあ。
「我らの神はっ、お前達のような異端者を許さないっ、さあ聖騎士達よ、誇る高き神官達よ、立ち上がるのですっ」
魔女感が増した聖女が、高らかに響き渡る声。
「優衣、あん人の魔法は本物や。広範囲に影響を及ぼす治療魔法や」
て、父が後ろから教えてくれる。
後でチュアンさんに聞いただけど、これは高ランクの治療魔法になるそうだ。見た目魔女だけど、凄腕のヒーラーなんや。晃太よりランクの高い支援魔法まで使えるし。
…………革新派なんてところに身をおかなければ、別の道が、たくさんあったんやないかな?
今は、女の子の保護が先や。
立ち上がられるのは、もう面倒や。
「ルージュ、拘束して」
『分かったわ、えいっ』
ルージュの足元から黒い触手が伸びて、まとめでぐるぐるごちん。
「アレス、黙らせて」
『分かったのだー』
とことこと、ぐるぐるごちんした集団のところに向かうアレス。聖騎士達も成金神官達も必死に踠いているが、ルージュの闇の触手が簡単にちぎれるわけない。
アレスが踠く集団の前に。こちらからはシュッとしたお尻しか見えない。
こちらにも、なにやら冷気が伝わる。踠き罵声を浴びさせていた集団の顔色が一気に悪くなる。
『黙れ』
いつか、アレスから放たれた強烈な冷気。もっと強烈なものが放たれて、踠く集団が一斉に白目向く。
『主よ、黙らせたのだ。ご褒美はあんパンがいいのだ。あの臭い雌は埋めるのだ?』
ついでに卵でも買おっかな、みたいに言わんで。
「アレス、もうよかよ。さて」
私はさらに魔女度が増した聖女に向き合う。すぐ側にホークさんとチュアンさん。オスヴァルドさんとエドワルドさんもいる。もちろんビアンカとルージュもだ。イシス達もゆっくり着地している。
「この穢らわしい異教徒めっ、我らの神は、お前達に、怒りの鉄槌を下そうぞっ」
はぁ。
「なら、やってみたら?」
できもせんで、さ。
聖女には『聖女の奇跡』という力がある。これは『聖女』が『神様』に『祈り』と共に『魔力』と『あるもの』を代償にして発動する力。内容は色々だけど、歴代ほとんどの聖女は、人助けの為に使っていると聞いた。魔力以外にも代償を差し出して、人助けをするから、人々は感謝を込めて『聖女』と呼び、慕うのだ。
歴史の中で、魔物に襲われた村を救おとして、『聖女の奇跡』を使い、魔物を一掃した記録もある。
攻撃に使えない訳ではないって事だ。
だけど、この人は、聖女ではない。
今までバレなかったのは、色んな理由があるやろうけど。今は、別によか。早く、女の子を保護したか。
「な、何をっ」
私がそんな反応すると思っていなかったのか、少したじろんでいる。
「やから、やってみんね。私はここや、逃げも隠れもせん、その神の鉄槌とやら、使ってみんね」
私は、顔を醜い歪ませた、魔女みたいな聖女に挑発した。
飛び出してきたのはいいが、アレスがきゃいんと言わんばかりの顔で、私達のところに一瞬で移動。
『臭いのだ、あの雌臭いのだっ、水で流していいのだ?』
「ダメよ、遥か彼方に吹き飛ばすやろ」
『くうーん、臭いのだー』
あの魔女みたいな聖女は、どんな臭いを纏っとるんやろ?
最初からいたのと、槍を持ち突撃かましてきた、機能性の低そうな鎧の聖騎士達と、成金神官達がすべて倒れている。ほとんどオスヴァルドさんとエドワルドさんがのしたけどね。
僅か数分間の間。
「はあ、いい加減降参せんね。どうしたらうちらに勝てると思っとるん?」
私はギリギリとしている魔女みたいな聖女に声をかける。早く、女の子を救出したい。女の子は馬車の中だが。
『ユイ、童は起きているのでが、反応がないのです』
『これだけの騒ぎになれば、童なら怯えるか、興味を引くのにおかしいわね』
ビアンカとルージュが様子を教えてくれる。これだけの騒ぎなのに、全く動じない? 起きているのに反応がない? なんや、すごい不安になってきた。もしかして、精神状態がかなり疲弊しているんやないかな? 回りの騒ぎに、心が引き付けられない程に。
あ、想像以上に、不味い状況やない。
魔女みたいな聖女は、高いヒールの靴を踏み鳴らす。ヒール? 聖女のイメージが、清楚なイメージが。
だいたい、聖女ってのはこの世界で生まれない。よその異世界から来た人が称号として持つ以外は存在しない。聖女に近しい存在で、こちらの世界で生まれる称号が神子だ。いまでも混在して勘違いされて使われている。事実、この異世界で『聖女』の称号を実際もっているのはあの華憐だけだ。
地団駄を踏む魔女みたいな聖女は、ますます魔女感が増す。品がないなあ。
「我らの神はっ、お前達のような異端者を許さないっ、さあ聖騎士達よ、誇る高き神官達よ、立ち上がるのですっ」
魔女感が増した聖女が、高らかに響き渡る声。
「優衣、あん人の魔法は本物や。広範囲に影響を及ぼす治療魔法や」
て、父が後ろから教えてくれる。
後でチュアンさんに聞いただけど、これは高ランクの治療魔法になるそうだ。見た目魔女だけど、凄腕のヒーラーなんや。晃太よりランクの高い支援魔法まで使えるし。
…………革新派なんてところに身をおかなければ、別の道が、たくさんあったんやないかな?
今は、女の子の保護が先や。
立ち上がられるのは、もう面倒や。
「ルージュ、拘束して」
『分かったわ、えいっ』
ルージュの足元から黒い触手が伸びて、まとめでぐるぐるごちん。
「アレス、黙らせて」
『分かったのだー』
とことこと、ぐるぐるごちんした集団のところに向かうアレス。聖騎士達も成金神官達も必死に踠いているが、ルージュの闇の触手が簡単にちぎれるわけない。
アレスが踠く集団の前に。こちらからはシュッとしたお尻しか見えない。
こちらにも、なにやら冷気が伝わる。踠き罵声を浴びさせていた集団の顔色が一気に悪くなる。
『黙れ』
いつか、アレスから放たれた強烈な冷気。もっと強烈なものが放たれて、踠く集団が一斉に白目向く。
『主よ、黙らせたのだ。ご褒美はあんパンがいいのだ。あの臭い雌は埋めるのだ?』
ついでに卵でも買おっかな、みたいに言わんで。
「アレス、もうよかよ。さて」
私はさらに魔女度が増した聖女に向き合う。すぐ側にホークさんとチュアンさん。オスヴァルドさんとエドワルドさんもいる。もちろんビアンカとルージュもだ。イシス達もゆっくり着地している。
「この穢らわしい異教徒めっ、我らの神は、お前達に、怒りの鉄槌を下そうぞっ」
はぁ。
「なら、やってみたら?」
できもせんで、さ。
聖女には『聖女の奇跡』という力がある。これは『聖女』が『神様』に『祈り』と共に『魔力』と『あるもの』を代償にして発動する力。内容は色々だけど、歴代ほとんどの聖女は、人助けの為に使っていると聞いた。魔力以外にも代償を差し出して、人助けをするから、人々は感謝を込めて『聖女』と呼び、慕うのだ。
歴史の中で、魔物に襲われた村を救おとして、『聖女の奇跡』を使い、魔物を一掃した記録もある。
攻撃に使えない訳ではないって事だ。
だけど、この人は、聖女ではない。
今までバレなかったのは、色んな理由があるやろうけど。今は、別によか。早く、女の子を保護したか。
「な、何をっ」
私がそんな反応すると思っていなかったのか、少したじろんでいる。
「やから、やってみんね。私はここや、逃げも隠れもせん、その神の鉄槌とやら、使ってみんね」
私は、顔を醜い歪ませた、魔女みたいな聖女に挑発した。
感想 854
あなたにおすすめの小説
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
捨てられた赤ちゃんを拾ったら、創世神様でした。世界を救うより、お父さんを幸せにしたいそうです
由香山で捨てられていた赤ちゃんを拾い、家族として育てることを決めた青年。
その日から、枯れた大地は実り、病は癒え、伝説のもふもふ神獣たちが次々と家へ集まってくる。
実はその赤ちゃんの正体は、この世界を創った創世神だった。
「いっぱい育ててくれてありがとう。今度は私がお父さんを幸せにする番だよ。」
これは、神様が初めて手に入れた”家族”との、優しくて温かな奇跡の物語。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
一度捨てた番を、都合よく取り戻せると思わないでください
紡里貴族の子息と平民の娘が「運命の番」だった。
しかし、先に感知した娘は「みすぼらしい平民はいらない」と拒絶され、権力と金によって強制的に番拒否の手術を受けさせられる。
一年後。成長した子息は娘を番だと認識し、今度は「解除しろ」と迫ってきた。
それを拒んだ娘を、彼は「番の義務違反だ」と裁判に訴える。
「拒否なさったのは、そちらです」震えながらも、少女は法廷で自らの意思を語る。
運命か、尊厳か――下された判決は?
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした
由香神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。
辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。
けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。
これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
妹の入院費のため深夜の時給制ダンジョン清掃バイトを始めたら、掃除した階層が「単独完全攻略」扱いされ、正体不明の人類最強を巡り世界中が動き出す
さくらろ「悪いが、数字にならない人間を雇う余裕はないんだ」
大手クラン・ゼノギアを解雇された雑用係の灰崎湊、23歳。
持っているのは、汚れを消すだけのハズレスキル【クリーンアップ】。入院中の妹の治療費を稼ぐため、湊は深夜のダンジョン清掃バイトを始める。
——だがその夜、湊が「散らかってるなあ」と掃除した階層は、人類未踏破の第47層だった。
魔物の群れも、災害級の呪いも、残留魔素も。湊にとってはぜんぶ、ただの「汚れ」。
翌朝、ダンジョン協会は観測史上初の【単独完全攻略】を検知。正体不明の攻略者《ファントム》の存在に、世界中の探索者が、国家が、人類最強が動き出す。
「時給、ちょっと上がらないかな。妹に、いちご買ってやりたいんだよな」
本人だけが、何も知らない。
一方その頃、湊を切り捨てた古巣のクランでは、原因不明の事故が相次いでいて——。
これは、世界で一番静かな最強が、世界を綺麗にしていく物語。
断罪相手は人違い?最強婚約者乱入で現場が破綻しました。
衛星 奏志
「あの人よ!あの人が突き落としたの!殺される」
会ったこともない男爵令嬢が、私を指差した。
まさかこのまま断罪されて婚約破棄されるの!?
そんなの嫌!
男爵令嬢は、狙う相手を間違えた。
けれど、それが運の尽き。
なぜなら私の婚約者は──この国最強と名高い、辺境伯の跡取りなのだから。
「誰だ。我が可愛い婚約者を貶めようとする輩は」
強面で、寡黙で、王すら一目置く北の守護神。
だけど私の前でだけ、とろけるように笑う人です。
人違いから始まった断罪劇。一撃で、終わらせます。
短編・完結。溺愛×ざまぁの婚約破棄コメディ。
『虐げられ幼女は回帰して、コワモテ公爵パパと幸せなスローライフを送ります!〜もふもふと美味しいご飯で心を癒す異世界ファンタジー〜』
白狸孤児院で育った10歳の少女リアナは、悪逆非道な令嬢イザベラに引き取られ、その特別な『創造と癒やしの魔法』を限界まで搾取される地獄のような毎日を送っていた。
ついに用済みとして危険な魔境へ捨てられ、命を落としかけたその瞬間――前世(日本)の記憶を取り戻し、なんと10歳の自分へと時間が巻き戻る【回帰(タイムリープ)】を果たしてしまう!
「また、あの恐ろしい日々が始まるの……?」と絶望で震えるリアナ。
しかし、運命の日に彼女の前に現れたのはイザベラではなく、「血塗れの熊」と恐れられる帝国最強の騎士・レオンハルト公爵だった。
「今度は兵器としてこき使われるんだわ!」と勘違いして怯えるリアナだったが、コワモテな公爵の正体は、ただの不器用で優しすぎる過保護な人だった!
ふかふかのベッド、初めての温かくて美味しいスープ、そして公爵の真っ直ぐな愛情に触れ、リアナの凍りついていた心は少しずつ溶け出していく。
前世の知識と『創造魔法』を活かして枯れた大地をふかふかの農地に変えたり、伝説のもふもふ魔獣(フェンリル)のルルをテイムしたり、傷ついた天才少年冒険者のシリウスを助けて専属騎士にしたりと、リアナの周りには次第に温かい笑顔の輪が広がっていく。
やがて、リアナが魔法で咲かせた「青い星のバラ」をきっかけに、彼女が公爵の生き別れた妹の娘(本当の姪っ子)であるという最大の秘密が明らかになる!
時を同じくして、一度目の人生の記憶を持ったまま逆行してきた悪女イザベラが、偽造契約書を片手に再びリアナを奪いにやってくる。
しかし……今のリアナはもう、一人ぼっちで泣いていたあの頃の少女ではない。
最強の公爵パパ、頼れる銀狼の騎士、もふもふの相棒という「最高の家族」がリアナの盾となり、悪女の野望を完全粉砕!
これは、誰からも愛されなかった少女が、温かな居場所を見つけ、美味しいご飯と魔法でみんなを笑顔にしながら最高の「スローライフ」を手に入れる、感動のヒーリング・ファンタジー!