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二年の年月⑧
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セシリア女公爵の挨拶が進む。
「ここで、改めて紹介したい者がいます。前に」
来たっ、ドキドキ。
私はレオナルド・キーファーに引率されて、挨拶の位置に。散々練習したから、大丈夫なはず。
ドキドキしながら、練習したようにカーテシー。へましないように、ドキドキ。
「皆様、ご存知かと思いますが、私が後見人を務めていますレオナルド・キーファーでございます。彼は今はキーファーを名乗っておりましが、私の兄、シーザー・ウーヴァが遺した一粒種でございます」
ざわざわ、となる会場。
私の耳が招待客のざわめきを拾う。
あの、シーザー・ウーヴァの息子か? 次のウーヴァの後継者か等々。
確かに次のウーヴァ公爵の後継者はアンジェリカ様だが、とある事情で立場が怪しいと勝手に噂が流れている。
ま、それも今日で払拭されるだろうけど。
「今日、この場を借りて、レオナルド・キーファーを改めてご、紹介します。我が甥、レオナルド・キーファーでございます」
紹介され、レオナルド・キーファーが挨拶。さすが王子様の影武者するだけあって見事なものだ。
「そして、そちらにいるローザ伯爵家次女、ウィンティア・ローザ嬢が本日このお茶会にて、正式にデビュタント致します」
来たっ。
私は手筈通り、レオナルド・キーファーに手を引かれ、一歩前に。
「ここにレオナルド・キーファーとウィンティア・ローザの婚約を発表します」
「ウィンティア・ローザでございます。若輩者ではありますが、皆様のご教授、ご鞭撻を賜りたいと存じます」
と、深々とカーテシー。
直ぐ様拍手が沸き起こる。オーガスト国王陛下とエリザベス妃が率先して拍手をしてくれて、釣られるような拍手が沸き起こる。
ざわめきの中にいくつもの憶測が飛び交う。
次のウーヴァ公爵家の後継者か? シーザー様の血筋であれば、問題なないだろう。なら、あの令嬢では役不足であろう、キズ持ちなど、捨てられるに決まっている。なに、また子供、どうにでもなる。
なんか、ゾッとする台詞が飛び出す。
そっとレオナルド・キーファーで肩を抱いてくれる。あ、入っていた力が抜ける。
「最後に、アンジェリカ、来なさい」
後方で隠れるように待機していたアンジェリカ様が、ご主人のジョナサン様に大切にエスコートされてやってきた。
アンジェリカ様はここ半年、社交、仕事をセーブしている。なので、ほぼ出あるいてない。
その間、いろんな憶測が社交界に飛び交った。
子供が産めないから、精神を病んだとか。夫ではダメだから、別の若い男を囲っている、アンジーの経営がうまく行かずに、金策に走っているんだとか。
はい、大外れ。
ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ。
ご主人のジョナサン様が、慈しむようにアンジェリカ様をエスコートして出てくる。
ざわざわっ、ざわざわっ、ざわざわっ。
アンジェリカ様はゆったりとしたドレスで、お腹に手を添えて姿を表す。
そう、マタニティードレスで。
アンジェリカ様は妊活頑張りました。結果、現在妊娠七ヶ月に入った。
「我が娘アンジェリカがこのような状況ですので、来れ以降の社交はひかえさせていただきます。何分初めての妊娠でございます。ウーヴァ公爵家待望の子、慎重に」
と、セシリア女公爵の説明が続くが、
「嘘ですわっ、そのアンジェリカ様は妊娠なんて出来にいはずですのよっ」
いつの間に来たんだか、存在自体が迷惑女、キャサリンが。
「ここで、改めて紹介したい者がいます。前に」
来たっ、ドキドキ。
私はレオナルド・キーファーに引率されて、挨拶の位置に。散々練習したから、大丈夫なはず。
ドキドキしながら、練習したようにカーテシー。へましないように、ドキドキ。
「皆様、ご存知かと思いますが、私が後見人を務めていますレオナルド・キーファーでございます。彼は今はキーファーを名乗っておりましが、私の兄、シーザー・ウーヴァが遺した一粒種でございます」
ざわざわ、となる会場。
私の耳が招待客のざわめきを拾う。
あの、シーザー・ウーヴァの息子か? 次のウーヴァの後継者か等々。
確かに次のウーヴァ公爵の後継者はアンジェリカ様だが、とある事情で立場が怪しいと勝手に噂が流れている。
ま、それも今日で払拭されるだろうけど。
「今日、この場を借りて、レオナルド・キーファーを改めてご、紹介します。我が甥、レオナルド・キーファーでございます」
紹介され、レオナルド・キーファーが挨拶。さすが王子様の影武者するだけあって見事なものだ。
「そして、そちらにいるローザ伯爵家次女、ウィンティア・ローザ嬢が本日このお茶会にて、正式にデビュタント致します」
来たっ。
私は手筈通り、レオナルド・キーファーに手を引かれ、一歩前に。
「ここにレオナルド・キーファーとウィンティア・ローザの婚約を発表します」
「ウィンティア・ローザでございます。若輩者ではありますが、皆様のご教授、ご鞭撻を賜りたいと存じます」
と、深々とカーテシー。
直ぐ様拍手が沸き起こる。オーガスト国王陛下とエリザベス妃が率先して拍手をしてくれて、釣られるような拍手が沸き起こる。
ざわめきの中にいくつもの憶測が飛び交う。
次のウーヴァ公爵家の後継者か? シーザー様の血筋であれば、問題なないだろう。なら、あの令嬢では役不足であろう、キズ持ちなど、捨てられるに決まっている。なに、また子供、どうにでもなる。
なんか、ゾッとする台詞が飛び出す。
そっとレオナルド・キーファーで肩を抱いてくれる。あ、入っていた力が抜ける。
「最後に、アンジェリカ、来なさい」
後方で隠れるように待機していたアンジェリカ様が、ご主人のジョナサン様に大切にエスコートされてやってきた。
アンジェリカ様はここ半年、社交、仕事をセーブしている。なので、ほぼ出あるいてない。
その間、いろんな憶測が社交界に飛び交った。
子供が産めないから、精神を病んだとか。夫ではダメだから、別の若い男を囲っている、アンジーの経営がうまく行かずに、金策に走っているんだとか。
はい、大外れ。
ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ。
ご主人のジョナサン様が、慈しむようにアンジェリカ様をエスコートして出てくる。
ざわざわっ、ざわざわっ、ざわざわっ。
アンジェリカ様はゆったりとしたドレスで、お腹に手を添えて姿を表す。
そう、マタニティードレスで。
アンジェリカ様は妊活頑張りました。結果、現在妊娠七ヶ月に入った。
「我が娘アンジェリカがこのような状況ですので、来れ以降の社交はひかえさせていただきます。何分初めての妊娠でございます。ウーヴァ公爵家待望の子、慎重に」
と、セシリア女公爵の説明が続くが、
「嘘ですわっ、そのアンジェリカ様は妊娠なんて出来にいはずですのよっ」
いつの間に来たんだか、存在自体が迷惑女、キャサリンが。
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