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第二章 王都
お披露目※
しおりを挟む「ナガセのピアノを披露しましょう」
今日も今日とて異次元の美しさのお義母様は朝食の席で両手を合わせ、乙女のように頬を染めた。
私のお披露目と婚約発表を控えて、準備も佳境に入っている。
ドレスやアクセサリーの調整も終わって、今は飾るお花や食器の種類、お料理やスイーツまで毎日試食して選んで、を繰り返し、私は何だかもうよく分からなくなってきた……。
夜会はお屋敷ではなく、王都の歴史ある迎賓館で行う。
お屋敷は使用人の数も最低限にしているし、何よりお義父様のジョストさまが屋敷に不特定多数の人間を招き入れるのを嫌うのだとか。
因みに、私はまだこのお義父様に会っていない……。
とーっても忙しいらしく。
いいのだろうか。
肖像画で見せてもらったから、まあ、ばったり会ってもきっと分かるでしょう……。
「それはどうかなぁ。レオニダスがなんて言うか……」
お義兄様がサラダを突つきながら長い睫毛を伏せ、悩ましげな表情を見せる。麗しい。本当に、私の平凡顔よ……自分の顔を鏡で見て逆にホッとするくらい平和な顔デス。
「私、弾きたいです」
きっとその方が落ち着くから。
「そうよね、素晴らしいギフトだもの、見せつけてやりたいわ!」
「お義兄様、私レオニダスさまに話しますから」
ね、と微笑むとお義兄様はふわぁっと破顔して「僕の義妹は可愛い!」と身悶える。イマイチ可愛いスイッチが分からない。
なんかもう慣れたけど。
* * *
「ダメですか?」
夜、いつものようにやって来たレオニダスにピアノを披露する話をすると眉間に皺を寄せて深く考え込んでしまった。
「……いや、ダメではない、が……」
何その間。ダメではない間ではないよ?
「レオ?」
二人掛けソファに並んで座るレオニダスの顔に手を添えこちらを向かせる。眉間の皺を指で伸ばす。
もう、跡になるのに。
「ピアノを弾くのはいいんだが……見せつけたい気持ちもある。だが」
「だが?」
「……ピアノを弾いている時のカレンは、その、……美しいから嫌なんだ」
「……」
はい? この人は何を言っているのかしら。薄ら頬を染めて何やらもごもご言ってるレオニダス。
「レオニダスさま、私はバルテンシュタッドのお店で弾いてましたよ?」
「あれは、みんな男の子だと思っていたからな……いやでも、何かあるんじゃないかと毎日心配していたぞ」
ソウデスネ。確かに毎日心配されていました。
「私、バルテンシュタッドに戻ったらまたオーウェン様のお店でピアノを弾きますよ?」
「何!?」
「だってオーウェン様のお店、好きなんです」
「いやだが、カ、カレンはその、辺境伯夫人になるからだな」
うん、それはずっと考えてた。立場のある人の妻になるってことはきっとそう簡単に今までのように振る舞えないんだろうなって。
「はい。だから、レオニダスさまと行くときに弾くんです」
「俺と」
「レオニダスさまもオーウェン様のお店に行きますよね?」
お義兄様もクラウスさんもラウルもみんな、お店に来るもの。
「レオニダスさまもみんなと楽しく過ごしたいでしょう?」
「……俺はカレンと二人で楽しく過ごしたい」
目を細めたレオニダスにグイッと腰を掴まれて、膝の上に跨るように座らされた。
「!」
「カレンのことは独り占めしたい。自慢して見せ付けたいが、誰の目にも触れさせず俺だけのものにもしたい」
男の目に触れるなんて尚更ダメだ、と両手で腰を掴みグイッと引き寄せる。身体がピッタリくっついて一気に顔が熱くなった。大きな掌が私の後頭部を支える。
「その恥じらう顔も誰にも見せたくない」
「……っ、こ、こんな顔はレオニダスにしか見せな……っ」
熱い唇が強く押しつけられる。唇をやわやわと食んで下唇をちゅうっと吸われた。
はふ、と思わず口を開くとすかさず捩じ込まれる厚い舌。
「んんっ!」
腰を支えていた手がするりとスカートを捲し上げ太腿を撫でた。優しく擽ぐるように撫で上げる。
「カレン」
耳元で囁くその声に意地悪さを感じて。
「レオ……っ、ダメ、話逸らさないでっ」
体を捩って抵抗するも、勿論びくともしない。
「逸らしてなどいない。俺はカレンを独り占めしたいんだ」
いや、逸らしてるー! そんな話じゃなかったよ!
「オーウェンの店の件は分かった。俺が一緒に行く時だけにしてくれ。その代わり、俺の願いも聞いてくれるか?」
「ね、願い……?」
レオニダスは唇を触れたまま囁くように話す。
私が恥ずかしがって赤い顔をするのを分かってしているんだろうけど、でも私もこうされるのが好きだから何も言えなくて。
「俺と二人だけの時はせめて、口調は変えないでほしい」
「……? 口調?」
「敬語」
そう言って、はむ、と下唇を甘噛みする。
「……っ」
「様もいらない」
「で、でも……」
レオニダスの指が足の付け根をするりと撫でた。
「んぁっ」
思わずビクンと身体が跳ねた。
はあっ、と熱い息が唇にかかる。
つつっと指が付け根を撫でながら内側に移動してくる。
身体に熱が灯った気がして慌てて首に縋ったけど、レオニダスの熱い舌が耳朶を舐め首筋を嬲る。舌先でつうっと顎下を舐められ大きく仰け反ってしまった。
差し出すような格好になった私の首にかぶりつくようにキスをして、いつのまにか緩められたブラウスの間から手を差し込み、掬い上げるように優しく下から胸を持ち上げた。
「ぁっ、ま、まっ…て、れお……っ」
胸の頂をはむ、と肌着の上から口に含み舌でコロコロと翻弄する。もう片方の手はするりと下着の上から秘所を撫で上げる。
大きく身体が跳ね、胸元のレオニダスの頭を強く抱え込んだ。
じゅうっと音を立ててびしょびしょになった肌着ごと胸の頂を吸い上げ、秘所を撫でていた指は花芽を探り当て激しく嬲る。
声を抑えるために益々レオニダスの頭を強く抱え込むと胸から顔を上げたレオニダスが私の耳元に唇を寄せて「カレン?」と熱い息を吹きかけた。
「俺の願いは、聞いてもらえるか?」
そう言うレオニダスの口許は絶対に口角が上がってると思う。
でも何も出来ない私はブンブンと頭を縦に振るしか出来なくて。
「良い子だ」
そう言って花芽をグイッと押し込んだ。
「!! ぁっ、まっ…」
目の前がチカチカする。
「ぁ、やだ、れお、ぃ…っ」
「イけ、カレン」
レオニダスは深くキスをして私の嬌声を呑み込む。
激しく花芽を弄られぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て激しく追い詰めて行く。
「……っ、んう…っ、んっ! ……!!」
やがて目の前が真っ白に弾けて、ガクガクと身体が震えた。
ぐったりと力が抜けてレオニダスに寄りかかった。
そんな私の身体を優しく包み込みレオニダスは頭を撫で、私の髪に顔を埋め大きく息を吸って吐き出す。
それ、好きだね? 絶対匂い嗅いでるでしょう。
力の入らない私はそんなことも言えないまま、レオニダスの肩に頭を乗せて呼吸を整える。
「お義母、様に……バレたら…レオニダス、もう、出入り禁止だよ……」
はあはあと息を吐きながら、せめてチクリと言ってみる。効果は分からないけど。
「なるほど? バレなければ良いんだな?」
え、そうなるの?
「最後まではしない。殺されるより出入り禁止の方が辛いからな」
うん、ごめんなさい、ちょっと何言ってるのか分からない。
ねえ、私のピアノ演奏の件、どうなった?
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