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第三章 祝祭の街
閑話 ウルとオッテは育休中2
しおりを挟む「ただいま」
エーリクお帰りなさい!
ナガセは元気だった? お腹空かせてなかった?
「ウル、オッテ、ただいま。ほら、ナガセからお土産だよ」
わあ、いい匂い!
オッテ、凄く美味しそうよ!
ゾッケ、ダメだ。これはまだ固くて食べられない。
「ゾッケただいま。これはまだダメだよ」
違うわよ、ゾッケはご飯よりエーリクの抱っこが好きなのよ。エーリクの抱っこ、上手だものね。
ほら、抱っこされて尻尾が千切れそうなくらいよ!
グラブ、ブラン、お前達もまだダメだ。
「あらあら、やっぱりウルの子供ね。食いしん坊さんだわ」
「アンナ、この子たち用に柔らかくしてくれる?」
「はい」
あー、ほらほら違うから!
取られたんじゃないのよ、グラブ、アンナに吠えないの!
アンナが戻るまでちょっとチビ達を歩き回らせてみるか。
あら、あらあら、ゾッケは足が速いわね!
うふふ、オッテに追いついちゃうわよ!ゾッケ頑張って!
と! とーたん! とーた!
!
まあ!
ね、オッテ今、ブランがおとうさん、って言った!
ね、言ったよね?
ブラン、ほらもう一回!言ってみて!
とーた! とー!
とー、とー
グラブも言えた! ね、オッテ凄いね!
ああ、本当に。みんな凄いな。
嬉しい、嬉しいねオッテ。
嬉しいな。みんな、賢くてすごい子達だ。
「ふふ、なんだか賑やかだね。ほらゾッケ、皆んなと遊んでおいで」
えーく、えーく
いい子ね、ゾッケ! もうエーリクのこと呼べるのね! みんな賢いいい子達だわ!
ウル。
ふふ、なあに?
みんな、ウルに似ていい子達だ。
!
お、オッテったら! やだそんなこと、嬉しいじゃない! 嬉しい! オッテ!
「お待たせしました。ほらみんな、柔らかくしたわよ」
「見てアンナ、ウルとオッテは仲良しだね。ウルの尻尾が凄いよ」
「あらあら、本当だわ。あ、ほら慌てないのよ、ちゃんとあるから」
とーた! かーた!
とー、かー!
えーく! えーく!
「あはは、なんだかみんな急に興奮しだしたね」
「ほらほら、吠えるか食べるかどちらかになさい」
「凄い、みんな並んで食べながら尻尾を凄い速さで振ってるよ」
「…千切れて飛んで行きそうですね」
「ぷっ、…アンナ」
「失礼しました。でもそのくらい凄い速さです」
「ふふっ、本当だね。みんなまん丸で可愛いなぁ」
「バルテンシュタッドに戻ったら庭で走り放題ですね。益々やんちゃになりそうですね」
「…うん。楽しみだね」
エーリクとアンナが優しく笑って。
わたしたちの可愛い子達がすくすく育って。
オッテがわたしのこと、褒めてくれて。
今日もなんていい日なのかしら。
嬉しくて楽しくて、幸せな一日。
ナガセがいたら、もっと完璧なのに。
応援ありがとうございます!
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