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2話 速水さんからのオファー
《1》
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集学館のロビーで速水さんと対面した私は5階の編集部に連れて来られた。心臓はバクバクで全然、速水さんの顔を見られない。
「こちらにどうぞ」
通されたのはオフィスの隅にあるパーティションで区切られた場所。ソファとテーブルがあった。勧められるまま奥のグレーのソファに腰掛ける。
速水さんは白いテーブルを挟んだ向かい側に座った。
今日はネイビーのスーツ。ワイシャツは水色、ネクタイは青。青系でまとめた組み合わせが爽やかで、よく似合っている。
速水さんの顔を見たいけど、ネクタイの結び目から上が見られない。
膝の上で組んだ汗ばんだ手が震えそう。
書店で私を助けてくれたハヤミさんと集学館の速水さんが同一人物だなんて、神様はとんでもない悪戯をするものだ。
週一で遠くから見ているだけの人と今、向かい合っているのが夢のよう。
出してもらったコーヒーが緊張し過ぎて全く飲めない。
「今日はお忙しい所、お越し頂きありがとうございます」
低くめのいい声が響いた。
速水さん、声もイケボだ。
この声で毎朝、起こされたい。『朝だよ。美樹』ってスマホに吹き込んでもらおうか。
「という訳で、新しく出来る女性向けのレーベルで卯月先生の作品を出したいと思っております。つきましては新作の書き下ろしをお願いできないでしょうか?」
うん? 新作の書き下ろし?
「こちらにどうぞ」
通されたのはオフィスの隅にあるパーティションで区切られた場所。ソファとテーブルがあった。勧められるまま奥のグレーのソファに腰掛ける。
速水さんは白いテーブルを挟んだ向かい側に座った。
今日はネイビーのスーツ。ワイシャツは水色、ネクタイは青。青系でまとめた組み合わせが爽やかで、よく似合っている。
速水さんの顔を見たいけど、ネクタイの結び目から上が見られない。
膝の上で組んだ汗ばんだ手が震えそう。
書店で私を助けてくれたハヤミさんと集学館の速水さんが同一人物だなんて、神様はとんでもない悪戯をするものだ。
週一で遠くから見ているだけの人と今、向かい合っているのが夢のよう。
出してもらったコーヒーが緊張し過ぎて全く飲めない。
「今日はお忙しい所、お越し頂きありがとうございます」
低くめのいい声が響いた。
速水さん、声もイケボだ。
この声で毎朝、起こされたい。『朝だよ。美樹』ってスマホに吹き込んでもらおうか。
「という訳で、新しく出来る女性向けのレーベルで卯月先生の作品を出したいと思っております。つきましては新作の書き下ろしをお願いできないでしょうか?」
うん? 新作の書き下ろし?
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