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3話 推しの為にできる事
《4》
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白いSUV車がハザードランプを点けて、向かい側の歩道脇に停車していた。
ゆりさんが道路を渡って車の方に向かう。そして助手席のドアを開けて、当然のように乗り込んだ。
もしかしてお迎えの車?
なぜかSUV車の中のルームライトが点く。
はっきりと運転席に座る男性の姿が見えた。
速水さんかと思ったけど、違った。見た事ない若い男性。その男性に甘えるように助手席からゆりさんがキスしたのが見える。ゆりさんに応えるように男性もゆりさんに唇を合わせる。
唇と唇がしっかりとくっついているのが遠目でもわかる。
テレビドラマや映画以外で他人がキスしているのを初めて見た。
顔に熱がどんどん集まる。
トクン、トクンと打つ鼓動も速くなってくる。
お子様の私には刺激が強い。
目を逸らせばいいのに、2人のキスから視線を逸らせない。
立ち尽くしたままでいると、ルームライトが消えて車が走り出した。
力が抜けて、ふにゃっと歩道に座り込む。
あーびっくりした。
まだ胸がドキドキしている。
今のはゆりさんの旦那さん?
なんか、チャラそうに見えた。
あの旦那さんが速水さんとゆりさんの事を知ったら……。
そう思った時、冷たい風が吹く。
「ハックション!」
大きなくしゃみが出た。
「ハックション!」
くしゃみが止まらない。
寒気もしてくる。
これはマズイ。動けなくなる前に帰らなければ。
帰りの電車の中でさらに体調が悪くなった。つり革に掴まりながらふらふらとする。
自宅まで電車で一時間弱ある。家が遠い。誰か助けて……。
いくちゃんに連絡しようか? 大学の近くで一人暮らしをしているいくちゃん家なら、ここから十分で行ける。
それで今夜はいくちゃんの所に泊まって、明日の朝、帰ろうか。
いくちゃんに連絡を取ろうとリュックからスマホを取り出そうとした時、スマホが落ちて、ゴトッという音がする。
やってしまった……。
頭がふらふらして、スマホを拾い上げる気力がない。
怠くて堪らない。
つり革に掴まって立っているのもやっと。
「落としましたよ」
男性の声にハッとした。私のスマホを拾ってくれたよう。
「ありがとうございます」
「卯月先生?」
「卯月?……私は美樹ですけど」
あっ!
「速水しゃん」
スマホを拾ってくれた人は速水さんだった。
でも、夢かもしれない。
夢でもいいか。
速水さん、助けて。
目の前の速水さんに抱き着いた。
ゆりさんが道路を渡って車の方に向かう。そして助手席のドアを開けて、当然のように乗り込んだ。
もしかしてお迎えの車?
なぜかSUV車の中のルームライトが点く。
はっきりと運転席に座る男性の姿が見えた。
速水さんかと思ったけど、違った。見た事ない若い男性。その男性に甘えるように助手席からゆりさんがキスしたのが見える。ゆりさんに応えるように男性もゆりさんに唇を合わせる。
唇と唇がしっかりとくっついているのが遠目でもわかる。
テレビドラマや映画以外で他人がキスしているのを初めて見た。
顔に熱がどんどん集まる。
トクン、トクンと打つ鼓動も速くなってくる。
お子様の私には刺激が強い。
目を逸らせばいいのに、2人のキスから視線を逸らせない。
立ち尽くしたままでいると、ルームライトが消えて車が走り出した。
力が抜けて、ふにゃっと歩道に座り込む。
あーびっくりした。
まだ胸がドキドキしている。
今のはゆりさんの旦那さん?
なんか、チャラそうに見えた。
あの旦那さんが速水さんとゆりさんの事を知ったら……。
そう思った時、冷たい風が吹く。
「ハックション!」
大きなくしゃみが出た。
「ハックション!」
くしゃみが止まらない。
寒気もしてくる。
これはマズイ。動けなくなる前に帰らなければ。
帰りの電車の中でさらに体調が悪くなった。つり革に掴まりながらふらふらとする。
自宅まで電車で一時間弱ある。家が遠い。誰か助けて……。
いくちゃんに連絡しようか? 大学の近くで一人暮らしをしているいくちゃん家なら、ここから十分で行ける。
それで今夜はいくちゃんの所に泊まって、明日の朝、帰ろうか。
いくちゃんに連絡を取ろうとリュックからスマホを取り出そうとした時、スマホが落ちて、ゴトッという音がする。
やってしまった……。
頭がふらふらして、スマホを拾い上げる気力がない。
怠くて堪らない。
つり革に掴まって立っているのもやっと。
「落としましたよ」
男性の声にハッとした。私のスマホを拾ってくれたよう。
「ありがとうございます」
「卯月先生?」
「卯月?……私は美樹ですけど」
あっ!
「速水しゃん」
スマホを拾ってくれた人は速水さんだった。
でも、夢かもしれない。
夢でもいいか。
速水さん、助けて。
目の前の速水さんに抱き着いた。
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