推しの速水さん

コハラ

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7話 速水さんとセクシー美女?

《9》

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ゼミが終わった後、いくちゃんに話しかけようとしたら、「美樹、じゃあね」と、いくちゃんは慌ただしく教室を出ていった。

あれ? なんか避けられた?
それとも急ぎの用事があったのかな?

避けられたとしたらお兄ちゃんの事があって気まずかったとか? やっぱり二人は付き合っているの?

うーん、謎だ。
でも、急にバイトになったって言ってたな。きっとバイトだ。

そう思う事にして、私もリュックを背負って教室を出た。
木曜日はもう講義がない。この後はいつもゆりさんが勤める図書館に行くのが日課だった。

現在の時刻、午後二時半。今大学を出れば三時に着く。速水さんとの約束は六時。それまで図書館でいつものように調べ物をしようか。来週の発表は私なんだよね。調べておかないとな。

でも、図書館にはラスボスじゃなくてゆりさんがいる。速水さんに近づくなと言われそうな気がして図書館に行くのがちょっと怖い。

ゆりさん、いつも木曜日にいるんだよな。今日はお休みって事はないかな? 例えば急にお子さんが体調を崩してお休みになったとか。今日は午前中だけで、午後は帰ったとか。そう考えると少しだけ気持ちが楽になる。正直、ゆりさんには会いたくない。

だけど、図書館にゆりさんはいた。
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