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エピローグ 真実の行方
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羽田空港のPMC本部のデスクでサラは数枚の資料を読んでいるが、とても辛そうな顔をしていた。
「サラ、お前またその資料を見ているのか?」
「主任! これはその・・・・・・」
「何も言わなくてもいいぞ。俺もそれに目を通しているから、大体の事情はわかっている」
「そうですか・・・・・・」
彼女は悲しそうな顔をさせながら目を伏せた。工藤はその肩にポンッと手を乗せた。
「お前が気にする事じゃないから、仕事に戻るんだ」
「ですが主任、もっと他にやりようがあったのではないでしょうか? あのヤマと名乗る男が、孤児院にいたシロちゃんの父親で、それで、そのぉ・・・・・・」
「ハァ~・・・・・・」
工藤は頭を掻くと、真剣な顔つきでサラに話し始めた。
「いいか、紫音にも言った事なんだが、この事が世間に知られたらどうなると思うんだ? 恐らくそのシロと言う子がとても辛い思いをするだろう?
それに自分の実の父親が殺し屋と知ったら、どうなると思う?」
その言葉を聞いたサラは考えてもなかったのか、暗い顔をして目を左右に動かした。その隙を突いて工藤は手に持っている資料を奪い取った。
「だから、こうしておけば安心だ」
そう言うと、資料をシュレッターに掛けた。
「しゅ、主任っ!?」
「彼は冷酷な殺し屋だった。それだけ書けばいい。それで丸く納まる。それに・・・・・・紫音と彼の望みでもあるからな」
真剣は顔をさせながら言う工藤に対して、サラは何も言えなかった。
「・・・・・・わかりました」
サラはそう言うと、デスクトップに向かい作業を再開させた。その姿を見た工藤は フッ と笑った後にその場を後にした。
「よぉ主任」
やる気のない顔をさせながら、仕事以外ダメ人間な男がこっちの向かって来た。
「天野か」
「これから煙草を吸いに行くんだが、一緒に行くか?」
「そうだなぁ。煙草は吸わないが付き合ってやる」
工藤自身も、 天野は俺に何か話したい事がありそうだからな。 と感じ取っていたので、そのまま喫煙所へと向かう。
「紫音の方はどうだった?」
「紫音? ああ、肋骨の2本に軽くヒビが入っていたが、大人しくしていれば治るから安心していい」
天野はそう言ってから、煙草に火を付けた。
「違う、俺が気にしているのは紫音のようすだ。変わりないか?」
「ん、ああそっちか。最初の内は落ち込んでいたが、今は大丈夫だ。むしろ逆にやる気になっている」
「やる気になっている」
どういう事なんだ? と言いたそうな顔をしていると、天野は自分で吹かした煙を見つめながら語り始めた。
「アイツに何を言われたのか知らないが、 もう後悔をしたくない。 って言って訓練をしようとしていたな。
まぁ、身体がヤバイ状態だから止めたけどな」
「そうかぁ、紫音がねぇ・・・・・・昔のお前のようだな」
「バカを言うな。昔の俺の方がマシだった」
工藤は、 コイツ、自分の事を持ち上げようとしているな。 と呆れた。
「でもまぁ、引き篭もっているよりはマシか。紫音が治ったらに色々と教えなきゃいけないから、めんどくせぇな」
「そう言う割には嬉しそうじゃないか」
「・・・・・・嬉しくねぇ。そろそろ帰るとするか」
「そうか、気を付けて帰れよ」
背を向けて手を振る姿を見つめながら、 照れやがって。 と思うのであった。
「主任、ここにいたのですか! 探しましたよ!」
そう言いながら、一人の男が走って近づいて来る。
「あ、どうしたんだ中田」
「私が担当していた例の人探しの依頼なんですけど、不審な事がわかりまして」
「不審な事? 一体何だ?」
眉を潜めながらそう言うと、中田は3枚の画像をプリントした物を差し出して来た。
「この資料を見て下さい」
「これか?」
プリントされた物を見てみると、コンビニで買い物をしている行方不明者、と言うよりも依頼主の旦那だ。
「これがどうした?」
「なくなったと思われる当日の夜に、コンビニに入って買い物をしていたんですよ。防犯カメラでも確認したので間違いないです。その次の写真を見て下さい」
2枚目を見ると、画像が少し荒いがレジ袋を持ってコンビニの脇道へ行こうとする姿が写っていた。
「コンビニの向かい側にある民家が捕らえた映像をプリントしたものです。少し画像が荒いですがコンビニの画像と照らし合わせて見ても、本人に間違いないでしょう。
重要なのは3枚目です」
3枚目のプリントを見て、工藤は顔色が変わった。
「おいおい、まさかこれって」
「私も見たときは驚きました。不倫とかを想定していましたが、まさかこんな事になっていたとは」
驚くのも当然、何とそこには何者かに拉致される寸前の画像がそこにあったのだ。
「どうしますか、主任」
「警察にも連絡を入れて、独自でも捜査する。そして人員を増やして対策チームを作る。お前が士気を取れ」
「はい」
「彼の命が危ないな。出来るだけ早く見つけ出すんだ。いいな?」
「わかりました。それでは!」
彼はそう言うと、本部に向かって走り出したのだった。
「サラ、お前またその資料を見ているのか?」
「主任! これはその・・・・・・」
「何も言わなくてもいいぞ。俺もそれに目を通しているから、大体の事情はわかっている」
「そうですか・・・・・・」
彼女は悲しそうな顔をさせながら目を伏せた。工藤はその肩にポンッと手を乗せた。
「お前が気にする事じゃないから、仕事に戻るんだ」
「ですが主任、もっと他にやりようがあったのではないでしょうか? あのヤマと名乗る男が、孤児院にいたシロちゃんの父親で、それで、そのぉ・・・・・・」
「ハァ~・・・・・・」
工藤は頭を掻くと、真剣な顔つきでサラに話し始めた。
「いいか、紫音にも言った事なんだが、この事が世間に知られたらどうなると思うんだ? 恐らくそのシロと言う子がとても辛い思いをするだろう?
それに自分の実の父親が殺し屋と知ったら、どうなると思う?」
その言葉を聞いたサラは考えてもなかったのか、暗い顔をして目を左右に動かした。その隙を突いて工藤は手に持っている資料を奪い取った。
「だから、こうしておけば安心だ」
そう言うと、資料をシュレッターに掛けた。
「しゅ、主任っ!?」
「彼は冷酷な殺し屋だった。それだけ書けばいい。それで丸く納まる。それに・・・・・・紫音と彼の望みでもあるからな」
真剣は顔をさせながら言う工藤に対して、サラは何も言えなかった。
「・・・・・・わかりました」
サラはそう言うと、デスクトップに向かい作業を再開させた。その姿を見た工藤は フッ と笑った後にその場を後にした。
「よぉ主任」
やる気のない顔をさせながら、仕事以外ダメ人間な男がこっちの向かって来た。
「天野か」
「これから煙草を吸いに行くんだが、一緒に行くか?」
「そうだなぁ。煙草は吸わないが付き合ってやる」
工藤自身も、 天野は俺に何か話したい事がありそうだからな。 と感じ取っていたので、そのまま喫煙所へと向かう。
「紫音の方はどうだった?」
「紫音? ああ、肋骨の2本に軽くヒビが入っていたが、大人しくしていれば治るから安心していい」
天野はそう言ってから、煙草に火を付けた。
「違う、俺が気にしているのは紫音のようすだ。変わりないか?」
「ん、ああそっちか。最初の内は落ち込んでいたが、今は大丈夫だ。むしろ逆にやる気になっている」
「やる気になっている」
どういう事なんだ? と言いたそうな顔をしていると、天野は自分で吹かした煙を見つめながら語り始めた。
「アイツに何を言われたのか知らないが、 もう後悔をしたくない。 って言って訓練をしようとしていたな。
まぁ、身体がヤバイ状態だから止めたけどな」
「そうかぁ、紫音がねぇ・・・・・・昔のお前のようだな」
「バカを言うな。昔の俺の方がマシだった」
工藤は、 コイツ、自分の事を持ち上げようとしているな。 と呆れた。
「でもまぁ、引き篭もっているよりはマシか。紫音が治ったらに色々と教えなきゃいけないから、めんどくせぇな」
「そう言う割には嬉しそうじゃないか」
「・・・・・・嬉しくねぇ。そろそろ帰るとするか」
「そうか、気を付けて帰れよ」
背を向けて手を振る姿を見つめながら、 照れやがって。 と思うのであった。
「主任、ここにいたのですか! 探しましたよ!」
そう言いながら、一人の男が走って近づいて来る。
「あ、どうしたんだ中田」
「私が担当していた例の人探しの依頼なんですけど、不審な事がわかりまして」
「不審な事? 一体何だ?」
眉を潜めながらそう言うと、中田は3枚の画像をプリントした物を差し出して来た。
「この資料を見て下さい」
「これか?」
プリントされた物を見てみると、コンビニで買い物をしている行方不明者、と言うよりも依頼主の旦那だ。
「これがどうした?」
「なくなったと思われる当日の夜に、コンビニに入って買い物をしていたんですよ。防犯カメラでも確認したので間違いないです。その次の写真を見て下さい」
2枚目を見ると、画像が少し荒いがレジ袋を持ってコンビニの脇道へ行こうとする姿が写っていた。
「コンビニの向かい側にある民家が捕らえた映像をプリントしたものです。少し画像が荒いですがコンビニの画像と照らし合わせて見ても、本人に間違いないでしょう。
重要なのは3枚目です」
3枚目のプリントを見て、工藤は顔色が変わった。
「おいおい、まさかこれって」
「私も見たときは驚きました。不倫とかを想定していましたが、まさかこんな事になっていたとは」
驚くのも当然、何とそこには何者かに拉致される寸前の画像がそこにあったのだ。
「どうしますか、主任」
「警察にも連絡を入れて、独自でも捜査する。そして人員を増やして対策チームを作る。お前が士気を取れ」
「はい」
「彼の命が危ないな。出来るだけ早く見つけ出すんだ。いいな?」
「わかりました。それでは!」
彼はそう言うと、本部に向かって走り出したのだった。
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