東京PMC’s

青空鰹

文字の大きさ
74 / 130

紫音とおじさんが渡したい物

しおりを挟む
 叔父さんがスナックに来た翌日の午後。学校から帰って来た僕は大慌てで普段着に着替えて装備品を身に付ける。

 「紫音、準備は出来たか?」

 「あ、ちょっと待って下さい。マグナムの弾を確認したいんで」

 僕はそう言うと、 S&W M327 R8 のシリンダーラッチを押して本体からシリンダーを出して弾が入っているか確認をする。

 うん、弾が入っている、問題なし。

 そしてシリンダーを戻すと、 S&W M327 R8 をホルスターに入れる。

 「準備出来ました!」

 「じゃあ出発するぞ」

 天野さんの後をついて行くようにして事務所の外に出た後に、ピックアップトラックへと乗り込む。

 「お待たせしました!」

 「リューク、車を出してくれ」

 「了解」

 リュークさんはそう返事をしてから車を発進させた。

 「それで、シオンくんのおじいちゃんが羽田空港の方で待っているんでしょ。どうするの?」

 「ん~・・・・・・長くなりそうになかったら、先に会ってもいいんじゃないんですかね?」

 「そうだな。てか、お前に渡したい物って一体何なんだ? 昨日は会って魔石に魔力を込めたんだろう?」

 「あ、はい。その魔石を持って帰っちゃったんですけど」

 おじさんが意気揚々と帰って行く姿と、興味深そうに僕の事を見つめていた188さん姿は今でも忘れられない。

 「きっとシオンくんの為にペンダントを作っているのよ!」

 「ペンダント?」

 「ええ、一部の種族の間では自分と同じ瞳の色をした魔石をペンダントして、相手に贈る風習があるのよ!」

 「リトアくん、それは告白する時に贈るんだよ」

 リュークさんの説明に対して、違うと分かっていてもおじさんが指輪を持って告白する姿を想像してしまい、背筋がゾゾゾッとした。

 「まぁ、ペンダントか指輪かは知らないが貰っておけよ」

 「あ、はい!」

 僕が天野さんにそう返事したら、リトアさんが僕の耳を摘んで来たのだ。

 「あの、リトアさん?」

 「着くまで暇だから、触らせてちょうだい!」

 ニコニコとした顔で僕の顔を見つめている。

 止めて欲しいと言っても、 いいじゃない。触っても減るもんじゃないんだからっ! って言って激しくするから、穏便に済ませる為にもYESと言うしかない。

 「ハァ~・・・・・・好きにして下さい」

 「やったぁ!」

 リトアさんはそう言うと、羽田空港の入り口に着くまで両耳を揉み揉みして来た。

 「それじゃ、僕はピックアップトラックを駐車場に置いて来るから、PMC本部で合流しよう」

 「おう、わかった」

 リュークさんは軽く手を振った後にピックアップトラックを出して、僕達の方はPMC本部に向かって歩き出したが、リトアさんが何かを探しているのか周囲をキョロキョロしている。

 「シオンくんのおじいさん何処にもいないわねぇ~」

 「昨日PMC本部の方で待ち合わせって言っていたので、ここを探しても意味がないんじゃないんですか?」

 「そうとも限らないわよ。可愛い孫に会えるのを楽しみで仕方なくて、羽田空港中をウロチョロしている可能性があるわよ」

 そんな事をするような人に見えないんですけどぉ。

 「本部の方にいなかったら、スマホなり何なり使って呼び出せばいいじゃねぇか」

 「それもそうね。あら? ねぇ、あそこにいるのはオズマ達じゃない?」

 「ん? あ、本当だ」

 オズマさん達も僕達に気付いたのか、軽く手を上げて近付いて来たので僕達も軽く手を上げて近付いて行く。

 「よぉ、アマノ」

 「オズマ、仕事帰りか?」

 「いいや、お主達を同じでこれから仕事に行くんじゃ。もちろんお主達と同じ仕事じゃ」

 「同じ仕事?」

 天野さんは眉を潜めてそう言うと、オズマさんの代わりに神崎さんが答えた。

 「今回は夜間の行動になるから、3チームじゃ危ないって事で俺達がお呼ばれされる事になったんだ」

 「なるほどねぇ。確かに夜間は危険が多いから、人が多い方がいいわね」

 「期待しているぞ。シオ~ン!」

 神崎さんはそう言うと、僕の頭をガシガシと撫でて来た。

 「おい止めてやれ、紫音の髪の毛が乱れるぞ」

 リガードさんの言葉に、神崎さんはニヤニヤしながら答えた。

 「また後で整えればいい話だろ?」

 そう言った後に手を離したので、ボサボサになった髪を手ぐしで整えた。

 「そういえば、オズマさん達は僕のおじさんを見掛けてませんか?」

 「おじさん? お前の祖父がここに来ているのか?」

 「はい、渡したい物が完成しているみたいなので、それを私にここに来るって」

 僕がそう言った瞬間、オズマさんとリガードさんはお互いに見つめ合った後に僕の方を見る。

 「いや、俺達は見掛けてないな」

 「そうだのう。ワシも見掛けてないぞ」

 「そうですか」

 じゃあやっぱり、PMC本部の方にいるのかな?

 「え、お前のおじいさん? どんな格好をしているんだ?」

「黒狼族で上着を来ている人」

 「悪りぃ、それじゃあ特定出来ねぇ」

 「ですよね」

 それ以外にどう説明すればいいのか見当が付かない。臭いの事を説明しても理解してくれないと思うし。

 そう思っていたら、後ろから頭の上に手を置かれた。

 「お前の祖父は本部の方にいる筈なんだろ? だったらそんなに気にすんな」

 「それもそうですね」

 きっとおじさんもそこで待っている筈だ。

 「お待たせぇ~! いやぁ~意外と空いていたから早く来れたよ」

 ここでリュークさんと合流。駆け足でやって来たのか、息を切らしていた。

 「あっ!? それにほら、本部が見えて来たぞ」

 天野さんの言う通りPMC本部が見えて来たが、何だか知らないけど人集りが出来ていた。

 「何だ? また人権団体が羽田空港に来たのか?」

 「それにしては妙ね。プレートを持って抗議している感じに見えないわ」

 「そうじゃな。むしろギャラリーって感じがするのぉ」

 そんな会話としながら近付いて行くと、エルザさんの声が聞こえて来た。

 「クアッドに今の動作で異常はないかしら?」

 「異常なし。大丈夫です、ドクター」

 「次の動作をやってちょうだい」

 「了解。クアッド行動Bをやってくれ」

 男の人がそう言うと、機械音が聞こえて来た。

 もしかして、ここで動作のチェックをしているのかな?

 「あっ!? 皆さんお待ちしておりました!」

 「シオン、また会いましたネ!」

 サラさんとコニーさんが僕達の側までやって来た。

 「コニーさん、その格好って」

 コニーさんの格好がプレートキャリアと身に付けて武装していて、背中にコニーさんようにカスタマイズされた FN SCAR-H を背負っていた。

 「私も、今回のニンムに参加する事になりましたぁ! 皆さん、よろしくお願いしまぁす!」

「コニーさんも参加するんですかぁ!? 学校ではそんな事一言も喋らなかったのに!」

 「私からのサプラァ~イズでぇすっ!!」

 いや、サプライズじゃないですよ!

 「コニーさんはどのチームと行動を共に取るんですか?」

 「それはもちろん、シオンと同じチームで任務に就くコトになりましたぁ~」

 「「「えっ!?」」」

 僕とリトアさんとリュークさんで天野さんを見つめたら、思い出したかのような素振りを見せる。

 「今回コニーが俺達と共に任務に就くの、言い忘れていたな」

 「それ言いなさいよ!」

 「言ってくれなきゃ困るって、前々から言ってたじゃないかぁ!!」

 「いや、スマンスマン。忘れていた。でもまぁコニーは紫音と違って経験豊富だから、役に立つと思うぞ」

 それって僕が使えないって言いたんですか?

 「おお~シオン! ここにおったかぁ~」

 「ホント、このじいさんが シオンはまだか? 何度も言うからウンザリしていたよ」

 「おじさん、それに188さんまで! 何でここにいるんですか?」

 「それはお前、お前にプレゼントされる物に興味があったからなぁ。ここに来たんだよ」

 188さんはそう言うと俺の後ろに回ってから、背中をポンッと押したので188さんを振り向いて見つめた。

 「じいさんのプレゼントはスゲェもんだぜ。有り難く受け取りな」

 「あ、そのぉ・・・・・・シオン」

 「あ、はい」

 前を向いて見ると、おじさんは気まずそうな顔をさせながら布に包まれた物を目の前に差し出した。

 「シオン、ワシもヒューリーも使い、代々受け継がれて来た武器をお主に渡そう」

 「代々受け継がれて来た武器?」

 「ああ、これじゃよ」

 そう言って布を剥がして見せて来たのは、何と手甲で甲の部分に僕が魔力を込めた魔石が埋め込まれていて、左腕にかないのだ。

 「これの何処が武器なんですか?」

 「そうだな。ただの手甲じゃないか」

 「防具の間違いじゃねぇのか」

 天野さんと神崎、それにサラさんはそう言うがリトアさんとリュークさんは信じられない顔で目を見開いていた。

 「まぁ付けてみればわかる。左腕を差し出すのじゃ」

 「あ、うん」

 そう返事をしてから左手を差し出そうとした瞬間、ゾッとするほどの悪寒を感じたので横を向くと、クアッドがぎこちない動きをさせながら近付いて来いて、エルザさん達もクアッドの勝手な行動に驚いている。

 「ヒュー・・・・・・リー」

 「えっ!?」

 「クアッドが、ヒューリーって喋った?」

 「ヒュゥゥゥウウウウウウルルルリイイイイイイイイイイイイッッッ!!?」

 怒り憎しみ苦しみの感情が入り混じり、憎悪と化して僕を見つめるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

二年間の花嫁

柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。 公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。 二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。 それでも構わなかった。 たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。 けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。 この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。 彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。 やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。 期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。 ――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

処理中です...