東京PMC’s

青空鰹

文字の大きさ
90 / 130

舞と日常

しおりを挟む
 ~~~ 糸風 舞 side ~~~

 学校の授業が遅れていると言うので、今日も休日を返上して授業を受けていた。

 「全く、日曜日なのに学校に向かわないといけないなんて・・・・・・」

 私の隣で話しているのは同じ人族でカッコイイ顔の、実野妓 龍平。彼とは入手試験の時に知り合い告白されて、今はお付き合いさせて貰っている。

 「でも今度の日曜日は休めるからいいじゃない。それに本職の警察官になったら、そんな事を言えないんじゃない?」

 「まぁそれもそうだね」

 「ヒューッ!? ヒューッ!? お2人共今日もお熱いですねぇ~」

 そう声を掛けて来た背の低い人族の男の子は同じクラスの 瀧口たきぐち 直也なおや くん。お調子者でクラスのムードメーカーでもある。その後からおでこから一本の角を生やした鬼人族の女の子がゲンコツを喰らわせる。

 「イッテェ~~~!?」

 「アンタまた2人をからかっているの?」

 「何だよ 日野谷ひのや 。悪いのか?」

 「悪いからこうやってゲンコツをしてるんでしょうが! 大丈夫、マイ?」

 私の事を心配してくれている彼女は、 日野谷  香奈子かなこ 。中学校時代からの親友で彼女も私と同じ高校を受験して受かったのだ。因みに彼女と親友の私は香奈ちゃんと呼んでいる。

 「まぁまぁ、私は気にしていないよ」

 「俺も気にしていないから大丈夫だよ」

 「ほら~、2人共気にしていないって言ってるじゃねぇか」

 瀧口くんは香奈ちゃんそう言うが、香奈ちゃんの方は瀧口くんを睨む。

 「ん? 2人共。静かにした方がよさそうだ」

 「どうして?」

 実野妓くんが出入口の方に顔を向けてアゴをクイッと出すので、そちらに顔を向けると嫌なクラスメイト2人が教室へと入って来たのだ。

 「ウゲッ!? アイツらかよ」

 瀧口がそう言う2人とは、人柄が悪そうな人族の 宇野元うのもと 忠志ただしくん と、こっちも人柄が悪そうな姿のドワーフ族 サルコ・オーラント の2人の男子学生だ。

 「バカ、声に出さないの!」

 そう言って瀧口くんの口を塞ぐのだが、2人は瀧口くんの言葉が耳に入っていたのかこっちに向かって来る。

 「おい、糸風」

 えっ!? 瀧口くんじゃなくて私ぃ?

 「テレビに出れたからって調子に乗ってんじゃねぇぞ」

 「何を言ってるの?」

 テレビに出れて調子に乗ってるって、意味がわからないんですけど。

 「どうせ舞に出演する機会を取られて悔しいのよコイツ」

 そう、ニュース番組で銃を撃つシーンは理事長先生が提案した。それだけではなく理事長先生は成績トップクラスに入る宇野元を射撃させるように言ったが、下谷先生と他数名の教室が反対して私になったのだった。

 「宇野元の方が優秀なのに、何でお前がテレビに出れたんだよ!」

 サルコがそう言うが決定したのは先生なので困る。それに今更私に抗議しても意味がない気がする。

 「その事を舞ちゃんじゃなく、下谷先生に言いなよ」

 「そうよ。決めたのは舞ちゃんじゃなく、先生達なんだから。それとも何? 先生に 何で自分じゃなかったんですか? って聞けないの?」

 香奈ちゃん、彼の事を怒らせない方がいいんじゃない?

 香奈ちゃんと宇野元くんの睨み合いが続いた後に、宇野元くんの方が顔を逸らした。

 「・・・・・・チッ!?」

 「あ、おい!? 宇野元ぉ!」

 彼らは自分の席へと座った。

 「全く、何よアイツら。どうしてこの学校に来れたのか、不思議に思うぐらいだわ」

 「アイツはテレビに出れなくて悔しいんだろう。それよりも今日は課外授業をするんだろう?」

 「あっ!? そうだったね!」

 今日は警察官の仕事がどういうものなのか見る課外授業があったんだ。

 「楽しみだね!」

 「ああ、今日は課外授業だけで済むから早く帰れそうだな!」

 「ハァ~・・・・・・」

 「アンタってヤツは・・・・・・」

 瀧口くんの言葉に呆れた顔をさせていると、下谷先生が入って来た。

 「みんな席に着け、ホームルームを始めるぞ」

 みんな下谷先生の言う事を聞き、自分の席へと座った。

 「ええ~、4日前から話していた通り、これから警察署の方に課外授業に出る。だから全員鞄を持って廊下に並ぶんだ。いいな」

 『はい!』

 みんなそう返事をすると、廊下に整列をした後に外に出てバスへと乗って出発した。

 「ねぇねぇ、警察署の中を見れるなんてラッキーじゃない?」

 隣にいる香奈ちゃんが、とても楽しそうな顔をさせながら私に話し掛けて来た。

 「そうかなぁ?」

 「そうよ! 警察署の中って早々見れるものじゃないでしょ! もしかして舞は、楽しみじゃないの?」

 「楽しみだけど、はしゃぐ程じゃないよ」

 「そうなの。あっ!? そう言えばこんな話を聞いた?」

 「どんな話?」

 「アタシもつい最近風の噂で聞いた事なんだけど、舞ちゃんの幼馴染みの紫音がPMCになったって」

 「え?」

 何それ、そんな話聞いた事ないよ。

 驚いた顔をしている私を余所に、香奈ちゃんは話を続ける。

 「あれ? 確か舞ちゃんは紫音の幼馴染みだから、何か知っていると思ってたんだけど」

 「ヒューリーさんが行方不明になって引っ越しする話はお母さんから聞いていたけど、PMCになってるとまでは言ってなかったよ」

 「そう、確か舞ちゃんは紫音の連絡先を知ってるんだったわよね?」

 「うん」

 ヒューリーさんから 紫音に何かあったら助けて欲しい。と連絡先を教えてくれた。シィくんの事だから、多分連絡先を変えないでいると思う。

 「課外授業が終わったら、紫音と連絡を取ってみたら」

 「うん、そうするよ」

 あの気の弱いシィくんがPMC? ないない! そんな事絶対にない! だって小さい頃からずっと側にいたから知ってるもん。シィくんは優しい人だって。
 でも、シィくん今どうしているんだろうなぁ~? ヒューリーさんが居なくなってしまったから、心配だなぁ~。

 「そろそろ着くから、降りる準備をしておけ」

 そんな事を考えていたら警察署に着いたのだが、何故か荒立たしくしている。

 「ん? 様子がおかしい。何かあったのか?」

 下谷先生がそう言っていると、1人の警官がバスに気付いて乗車口に立って開けて欲しいと言わんばかりに叩いて来た。運転手も気付いてドアを開くと警察官が入って来た。

 「すみません、今事件が起きて立て込んでいるんですよ!」

 「えっ!? 事件ですか?」

 「ええ、今さっきPMCが襲撃犯と交戦したみたいなので・・・・・・」

 「ここで話して説明するよりも、現場に行きながら説明した方がいいんじゃないかな?」

 「唯凪刑事! しかし・・・・・・」

 あの唯凪刑事って人は立場上偉いのかなぁ?

 「いいじゃないか、現場の様子を見せてどうやって事故処理をするのか見せた方が身になるでしょう」

 「でもぉ~、彼らにとって現場の惨状が耐えられるものかどうかぁ~・・・・・・」

 「彼らはいずれ現場に出る身なんだから、行って損はないでしょ」

 「ハァ~、私の一存では決めかねません」

 「ああ~、それでしたら私から理事長にお話します」

 下谷先生はそう言うと、スマホで電話を掛けて理事長先生とお話をした。

 「はい、わかりました。では・・・・・・理事長先生が是非連れて行って貰いたいと仰っておりました」

 「ならOKだね。彼らを現場に連れてってあげて」

 「わかりました。今から向かうのでパトカーに付いて来て下さい」

 「わかりました。お願いします」

 バスの運転手が頷き、警察車両の後に付いて行くようにして現場へと向かうのであった。

 「ここです。現場に着きました」

 窓の外を見てみると、転倒した数台のバイクに荷台が少し凹んだトラック。更にアスファルトの上で応急処置を受けている人達(※犯人)と悲惨な光景が目に飛び込んで来た。

 「うわぁ~・・・・・・」

 「これは酷いわねぇ~」

悲惨な光景を目の当たりにした生徒達は、顔を青くさせたり怯えた表情を見せたりと、様々な反応を見せていた。

 「みんな、外に出て並ぶんだ」

 『はいっ!?』

 先生の指示の元、バスを降りるとバス内に聞こえていた声やサイレンの音が鮮明になった。そして舞が香奈子と共に辺り見回していると、タンカに積まれた袋が私達の目の前を横切った。

 「ねぇ香奈ちゃん。今のって・・・・・・」

 「考えない方がよさそうよ」

 「みんな注目!」

 その掛け声と共に、みんなの顔が一斉に下谷先生に向いた。

 「これがPMCと襲撃犯が交戦した状況で、警察官がやるべき事は・・・・・・」

 警察官はこの状況をどうするべきなのかを説明いる中、突然大声が聞こえて来た。

 「あ、ありがとうございます!」

 え? 今の声、聞き覚えが・・・・・・。

 「あっ!? 舞ちゃん、あれ!」

 「あれ? って、えっ!?」

 香奈ちゃんが指をさす方向に顔を向けて見ると、私が知っている男の子が車の中にいる人に頭を下げていた。

 間違いない。あれは私の幼馴染みだ!

 「香奈ちゃん、ちょっと行って来る!」

 「え? ちょっとぉ!?」

 「おい、何をしている糸風! 戻って来い!」

 香奈ちゃんと下谷先生の心配を余所に、彼の元へ駆け寄って行く。

 まさか、本当にシィくんは・・・・・・そんな事絶対にないっ!!

 彼の側までやって来た舞は自分の中の不安をかき消す為なのか、声を張り上げて彼の名を呼ぶ。

「シィくんっ!!」

 彼は舞の声が耳に入ったので、顔を向けて驚いた様子を見せる。

 「舞・・・・・・ちゃん?」

 私は数ヶ月ぶりに幼馴染みと再会したのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

二年間の花嫁

柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。 公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。 二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。 それでも構わなかった。 たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。 けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。 この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。 彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。 やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。 期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。 ――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

処理中です...