東京PMC’s

青空鰹

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紫音と舞とバイト

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 入浜警察予備校の学生が任務に同行って、一体どういう事なの?

 「紫音くん、訳は後で話すから正直に言ってくれ」

 「あ、はい。正直に言って僕は反対です」

 僕がそう言ったら、工藤さんは考えるような顔付きでアゴに手を当てる。

 「・・・・・・そうか。やっぱり紫音くんもそう思うかぁ」

 「はい。彼らを現場に行かせるのは、まだ早いと思っております」

 「お前も日にちで言えば浅い方だが、実力と経験ならコイツの方が俄然上だしな」

 口に煙草を加えた天野さんがそう言って来た。

 「そうだよなぁ。紫音くん、もう聞きたい事は聞いたから、真理亜のところに行っていいよ」

 「あ、はい!」

 そう返事をした後に自室へと戻り、私服に着替える。そんな事をしている間でも、工藤さん達の話し声が聞こえて来る。

 あの高校は一体何を考えているんだ? とか 依頼を断れ。 って言っているけど、そもそも何でそういう事になったんだろう?

 そう思いつつも仕度を終え、自室から出た。

 「それじゃあ、行って来ます!」

 「行ってらっしゃい!」

 「気を付けて行けよ」

 「バイト頑張ってね!」

 天野さん達に見送られながら、事務所を出て真理亜さんのところへと向かおうとしたのだが、事務所の階段を下り切ると見覚えのある人がこっちに向かって歩いて来た。

 「シィくん」

 「舞・・・・・・ちゃん? どうしてここに?」

 「下谷先生が居場所を教えてくれたの」

 ああ、なるほど。そういう事ね。

 「バイト先に行きたいから、話をしている暇はないんだ」

 ハッキリ言ってしまえば、彼女とは仕事以外で関わりたくないと思っている。だから、素直に帰って貰いたい。

 「なら、歩きながら話しましょう」

 「バス停から遠くなっちゃうよ」

 「こう見えても鍛えているから心配しなくても平気だよ」

 「いや、でもぉ・・・・・・」

 「私がそうしたいの」

 舞ちゃんはそう言いながら僕の尻尾を掴んで来た。これは絶対に逃さないと言う意思表示だから諦めるしかない。

 「わかったよ。でもお店がお店だから、中には入れられないよ」

 「うん」

 その返事を聞いた後、マザーラブに向かい歩き始めた。

 「それで、僕に何を聞きたいの?」

 「どうしてシィくんはPMCになったの?」

 「・・・・・・そこしかお金を稼げるところがなかったから」

 バイトとかも連帯保証人が必要と言われ、不必要なところがここだったのでPMCになった。

 「そうなんだぁ。シィくんは、何度か任務をこなしているの?」

 「うん」

 そのほとんどが死に掛けたけど。

 「どうしてリボルバーを使っているの?」

 「僕がオートマチックを使うと何故かジャムを起こしちゃうんだ。だからジャムが起こり難いリボルバーを使っているんだ」

 「そうなんだ。だからリボルバーを使っていたんだ。あ、でも形が・・・・・・」

 「一応言っておくけど、あれは僕用にカスタマイズされた S&W M327 R8 だからね」

 「M327 R8ぉ?」

 銃名を言いながら首を捻る舞ちゃんを見て、まさか? と思ってしまう。

 「あの、舞ちゃん。もしかしてR8を知らない?」

 「うっ、ええ~っとぉ~・・・・・・」

 目を泳がせる姿を見て、M327 R8を知らないのを確信する。

 「じゃあ僕が使っていたサブマシンガンは?」

 これは流石にメジャーな部類だからわかる筈だ。

 「えっとぉ~、H&Kのサブマシンガン」

 「そうだけども、名前は?」

 「ゴメンなさい。わかりません」

 その言葉を聞いた紫音は、ガックリと肩を落としてしまった。

 「UMP45ね。銃に携わる仕事をするつもりなら、ある程度知っていないとダメだし、何よりもUMP45はメジャーな部類のサブマシンガンだから知らないと笑われちゃうよ」

 「ゴ、ゴメン。シィくん」

 「訓練だけじゃなくて、銃の種類にも目を向けるようにね」

 「うん、そうする」

 舞が恥ずかしそうな顔でそう返事をする。

 「僕から質問があるんだけど、聞いてもいいかな?」

 「何? 言ってみて」

 「舞ちゃんはどうして僕に会いに来たの?」

 そう聞いた途端、彼女は戸惑った様子見せた後に顔を向けて来た。

 「PMCを辞めるように言いに来たんだけれども、話を聞いていると何か言えなくなっちゃった」

 「やっぱり、そうだったんだ」

 「やっぱり。 ってどう言う事?」

 「うん、舞ちゃんが僕の目の前に現れた時に大体何を言いに来たのか予想は付いていたよ」

 そう言ったら彼女は気まずそうに頬を掻いた。

 「そう言えば、あの男子学生はどうなったの?」

 「あの男子学生って?」

 「ほら、焼肉屋で騒ぎを起こして僕に止められた」

 「ああ~、宇野元くんの事ね。ちょっと言い辛いんだけど、職員室に連れて行かれたの」

 あの動画が出回ったら、そうなるよね。

 「それで、自宅謹慎でも言い渡されたの?」

 そう聞いたら、俯いて首を横に振った。

 「ううん、宇野元くんはね。反省文を書くだけで終わったの」

 紫音はその言葉に怪訝そうな表情を浮かべる。

 「反省文を書くだけで終わり? 未遂だけど暴力事件を起こそうとしたのに?」

 あんな事した上に、動画まで出回っているのに反省文だけなんて、おかし過ぎない?

 「うん、私達も流石におかしいと思っているよ。もしかしたら宇野元くんが、校長に賄賂を渡しているって話も出るほどだもん」

 「そう・・・・・・なんだ」

 もしかしたら校長の息が掛かっているからかもしれない。

 「そう言えば、先生達から昨日か今日に何か話があった?」

 「ん? 特に何もなかったよ」

 「普通にホームルームが終わっただけ?」

 「うん、普通にホームルームが・・・・・・何かあったの?」

 首を傾げて聞いて来る舞ちゃんの姿を見て、 この様子だと任務に同行する話を聞いてなさそう。 と理解した。

 「いや、何でもないよ。それならいいんだ・・・・・・それならね」

 「変なシィくん」

 この後も他愛もない話をしながら歩く。

 「へぇ~、そんな事があったんだ」

 「うん、だから私ね。その人と付き合っているんだ」

 「じゃあ、こうしているのはマズくないかな?」

 「どうして?」

 「僕と2人でいるところを見られたら、勘違いをするかも」

 浮気騒動に巻き込まれるのは流石に嫌だなぁ~。

 「心配しなくても大丈夫。私の彼氏にはシィくんと会うのを伝えたからね」

 「そうなんだ」

 なら心配をしなくてもいいかな。って、あっ!?

 「バイト先に着いたよ」

 「バイト先? ここってぇ~・・・・・・」

 そう、目の前にあるのはスナックで、舞ちゃんはスナックの看板をただ呆然とした顔で見つめていた。

 「シィくん。仕事ってもしかして・・・・・・接客?」

 「イヤイヤイヤイヤッ!? 荷物の積み下ろしだけだからねっ!」

 だからそんな目で僕の事を見つめないで欲しいよ!

 「そうなの?」

 「そうだよ! あ、時間が・・・・・・」

 「そう、なら早くお店の中に入った方がいいんじゃないの?」

 「うん、それじゃあね。舞ちゃん!」

 「またね、シィくん」

 手を振る舞ちゃんに見送られながら、お店の中へと入って行く。

 「いらっ、あらぁ~、今日は遅かったわね。紫音ちゃぁん」

 「はい、ここに来る前に色々ありましたから」

 そう言いながら山積みになっている段ボールの元へ行き、荷物を取り出す為にナイフでテープ部分を切ってフタを開ける。

 「色々って、何があったのぉ?」

 「はい。実は工藤さんがウチの事務所に来ていて、入浜警察予備校の生徒達がPMCの仕事の同行に賛成か反対か聞きに来ていました」

 「何ですってぇ! 今の話本当なのぉっ!?」

 真理亜さんが驚くとは、どうやらその情報を掴んでいなかったらしい。

 「はい、工藤さん自身も任務に同行をさせるのは反対みたいですが、向こうの人達がしつこいみたいで困っている様子でした。
 それに、その話を聞いた天野さん達も怒っていました」

 そう言ったら、真理亜さんは悩ましい顔をさせて頭を抱え込んでしまった。

 「・・・・・・流石校長にされただけの事はあるわね」

 「校長に左遷? どういう意味ですか?」

 僕がそう聞いたら、真理亜さんは意を決したような顔で僕を見つめた。
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