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12.問3「自然破壊」2

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「なるほど、適者生存。素晴らしい考えだと思います」

Mr.クロウは彼に賛辞の言葉を送った。

「地球の変化に適応できた種が存続し繁栄できるという考えですね。種の存続を成立させるには適者生存という考えは切っても切れない関係性があるのも事実です。人間も地球に住む多くの生物のうちの一つです。つまり、人間が行う行為は地球の変化と捉えられなくもない。人間の行為が自然破壊を招くというなら、地球自体が自然の減少を行っていると勘がることもできる。そういうことでしょうか。」

「さすがMr.クロウ、俺の言いたいことよくわかってくれているな」

「では、皆さん。自然破壊は悪だという考えが圧倒的に多いなか、悪ではないという意見が現れました。この状況を踏まえ、再び皆さんの主張を伺っていきたいと思います」

「人間が行っている行為は自然破壊と言えなくもない。しかし、程度をわきまえればそれは自然破壊という厳しい言葉に該当する行為ではないと思います。実際、酸素の排出量が落ちた老木を切り倒し若い木を植える、そんなことは人類にしかできない」

「なるほど、自然破壊というかどうかは程度の問題によると、そして一見すると自然破壊のように見える行為が地球を守る行為になると。確かにそう捉えることもできなくない。実に面白い考え方です」

「やはり、自然破壊は良くないことだと思います。地球は人間だけのものではない。他の生物のことも考えて行動すべきだと思います」

「その通りです。地球は人類のものではありません。人類はあくまで地球の一部なのです。その考えを失ってしまってはいけませんね」

「自然は破壊せず、守るべきです。自然を一度破壊してしまうと、簡単には回復しない。自然の回復には膨大な時間と手間がかかる。人間が安易に破壊すべきものではないと思います。」

「自然の回復には膨大な時間と手間が掛かります。人間が一生をかけても失った自然を回復させることはできません。それも事実です」

真一は迷っていた。
当初、自然破壊には完全に反対の考えを持っていた。
しかし、様々な主張を聞くことで自分の考えが本当に正しいのか疑問に思うようになっていた。
そして腹を決め、挙手した。

「大した目的でもなく他の地球上の生物に大きな影響を与える自然破壊は悪だと思いますが、程度をわきまえた自然の消費は悪ではないと思います」

「自然破壊ではなく、自然の消費ですか。面白い表現だと思います」

では、最後の生徒の意見を聞いてまとめに入りましょう。
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