働きアリの婚活

鶴山葵土

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11.働きアリの結末(3)

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順風満帆だったナオトだったが、突然病魔が襲いかかった。
チャンピオン防衛の掛かった世界大会に向かう飛行機に乗ろうとしていたとき、急な腹痛に襲われたナオト。
病院に緊急搬送され、精密検査を受けたナオトに医師から伝えられたのは既にステージ5に達したステルス性の胃がんであり、余命1か月と宣告された。

ナオトは病院のベッドに横たわっていた。
大分痩せ、少し前のナオトとは外見も大分変ってしまっていた。

病室のベッドの中、天井を見上げ、ふとこれまでの人生を振り返る。
自分の人生は周りの人たちから見れば異質なものであっただろう。
人が当たり前のように手にする幸せを自分は手にすることができなかった。
苦労することも多かったが、後悔はなかった。

むしろ清々しい気分であった。
おもえば自分は周囲から揶揄されていたように『働きアリ』だったのだ。
働きアリは食料を探し、巣に持ち帰るという使命を持って生まれ、そして死を迎える。
そして自分は社会の歯車として会社に勤め仕事をこなし、その後はチェスのチャンピオンになるための人生だった。それ以外、何もない人生だった。
だが、チェスのための人生は悪くなかった。
与えられた使命を全うすることができた自分を褒め、満足そうな笑顔を見せると家族に囲まれてナオトは静かに眠りにつく。
『働きアリ』に与えられた休息、再び目を覚ますことのない長い眠りにつくのだった。
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