【完結】本気だと相手にされないのでビッチを演じることにした

たっこ

文字の大きさ
8 / 154

8 ビッチを演じるのは難しいです ※

 冬磨は俺の身体中にキスをして舌を這わし、俺は全身で冬磨を感じた。
 初めてだとバレたらきっと終わる。前戯だけでこんなに余裕がないんだ。最後までやったらバレるに決まってる。きっと今日で最後だ……。
 それなら後悔しないように冬磨を感じたい。
 俺はもう、ゲイビを思い出そうとしたりごちゃごちゃ考えるのをやめにして、完全に冬磨に身をゆだねた。

「……ぁっ、……と……まっ、とぉま……っ……」
「マジやばい……天音。なんでそんな可愛いんだよお前」

 俺の乳首を舐めながら、冬磨の指が後ろの孔を撫でた。
 
「あっ……!」
 
 乳首への刺激と一緒だからなのか、あんなに何も感じなかった孔が、冬磨の指が撫でるだけでビリビリと快感が走って腰が浮いた。
 
「すごい感度いいな。中はどんな感じか楽しみだな?」

 冬磨はクスクス笑って乳首を甘噛みする。後ろの指はいつまでも撫でるだけ。
 中が気持ちよかったことは一度も無いのに、撫でられるだけで気持ちよくてもどかしくなった。

「ほしい? いいよ。まず指な? ゆっくり一本から」

 つぷっと冬磨の指先が入った。でも、それだけで指はすぐに抜けていく。

「と……ま?」
「それ、もっかい言って?」

 それ、がなにかわからない。なんだろう、名前のこと?

「とぉ……ま?」
「……っとに可愛い……。何回も言わせたくなるな」
「ンッ、……っ……」

 指がゆっくりゆっくりと中に入り込んでくる。でも、一本だけ。優しく撫でるように、ゆっくりと。

「ぁ……っ……」

 セフレの人数も把握できない遊び人の冬磨。もっとあっさりと終わるか、激しく抱かれて終わるのかと思ってた。
 でも、想像と全然違う。冬磨は、すべてが優しい。手も指も唇も、なにもかもが優しい。

「……ぁぁ……っ」

 あんなに気持ち悪いと思っていた後ろ。冬磨の指が優しく動いて撫でるだけで、全身にゾワゾワとした感覚が広がる。初めて経験する気持ち良さに驚いて、思わず胸を撫でる冬磨の手を強く握りしめた。
 冬磨は優しく指を絡めて握り直すと、クスっと笑った。
 
「天音のいいとこ、見つけた」
「あっ、……ぁっ…………」

 冬磨が指を動かすたびに快感が強まり、そして遠ざかっていく。

「もどかしい?」

 もどかしいのかどうかも分からない。初めての気持ちよさに、俺はただただ溺れかけていた。

「天音のいいとこ、ここだろ?」
「ンぁぁ……っ!」

 後ろを撫でられているだけなのに、身体中に快感が駆けめぐり、まるで女の子みたいな高い声が漏れた。ゲイビでも聞いた高い声。こんな声、俺は出せないと思ってた。

「……なん……だろな。天音の声マジでやばいわ。ゾクゾクする。……っつか、お前ずっと震えてるけど……なんでだ? 感じてるだけか?」
 
 ギクリとした。
 気持ちいいとみんな震えるんじゃないの?
 やっぱり初めてだってバレちゃうのかな……。
 どう答えれば乗り切れる?
 考えろ、考えろ、考えろ……っ。

 ……でも、なにも思い付かない。

「きも……ちぃ……と……ま……」
 
 俺にはもう、気持ちいいという言葉以外なにも思い浮かばない。
 好きも、大好きも、嬉しいも、幸せも、なにも伝えることができないから……。

「……ん、ならよかった」
「とぉま……」
「ん、なに?」

 目を見られたら終わり。そう思ってずっと目を閉じていた。
 でも、冬磨の視線を感じると、目が合わなくてもだめな気がしてくる。表情だけで全てが見透かされる気がしてくる。

「うつぶせ……がいい」
「あ、後ろのが好き? うん、まぁ、いいよ。天音の顔見てしたかったけど。今日は天音の好きなほうで」
「ん……っ……」

 冬磨がゆっくりと指を抜いてくれた。
 ホッとしてうつ伏せになると、俺はゲイビで観た知識どおりに四つんばいになる。恥ずかしい。仰向けで足を開くのより恥ずかしい……。
 でも、枕に顔を押し付けると安心した。これなら顔も見られないし声も抑えられる。よかった……。
 冬磨は『今日は』って言ったけど、きっと最後までやったら色々バレる。ちゃんと覚悟しておこう……。
 
「もう少し指で我慢しろよ? 天音」

 どこか楽しそうな声色の冬磨。

「もう……充分ほぐしてあるって」
「まぁそうだけどな。いいから、とりあえず指で感じとけ? 次は二本な? ゆっくり入れるよ」
「んっ、……はぁ……っ……」
 
 もう準備は充分なのに、こんなにゆっくりするのが普通なのかな……。初めてでわからない。
 後ろに指が入ってきてから、次はなにをされるのかと緊張してる俺を、すでに見透かしているのかもしれないと不安になった。

「天音、ずっと震えてんのってほんとに気持ちいからか?」

 やっぱり普通はこんなに震えないんだ……。
 初めての経験に対する緊張、冬磨に抱かれるという緊張、初めてだとバレるのではないかという不安、それから……初めて味わう快感……。
 震えを止めることなんて、とてもできそうになかった。

「ん……きもちぃ……っ。あたま変に……なりそ……っ。……ぁ……っ」

 もうビッチ天音になんかなりきれない。

「……ん、そっか」

 自分の指となにが違うんだろう。冬磨の指は極上に優しくて、少しの違和感もなくただただ気持ちいい。
 二本の指でひたすら優しく中をこすられ、さっき声が抑えられなかったところを何度も刺激された。

「あぁ……っ!」

 指が三本になって俺の足がガクガクしてきたころ、突然背中を舐められる感覚に、俺は快感で震え上がって背中がのけぞった。

「……天音、ごめん」

 突然の冬磨の『ごめん』に血の気が引く。
 ごめんってなに……?
 やっぱりバレた……?
 もうこれで終わっちゃう……?
 やっぱり俺は冬磨には抱いてもらえない……?
 ごめん、の続きを聞くのが怖い。
 でも、もし終わりだと言われても取り乱さない。執着しない。平然とする。それとも怒るほうがいいだろうか。
 俺は涙が出そうになりながらも必死で考えた。
 
感想 172

あなたにおすすめの小説

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。