34 / 154
34 もっと初心に戻ろう *
ゲイビではどうやってたっけ。必死でぐるぐる考えた。そうだ、唾液とかどっちかが出したやつで後ろを……。
俺は冬磨の上で片足だけ脱いで、ゲイビを思い出しながら唾液を手のひらに落とし、それで後ろを広げ始める。
「……ん……っ……」
「……天音、本気?」
「ほん……き……だけど」
中をいじりながらはちゃんと話せない。
俺は指を入れたまま動きを止めた。
「俺……生は初めてだよ。本当に。フェラだって今のが初めてだった。絶対病気は持ってねぇよ」
「そんなこと、わかってるよ」
冬磨の手が俺の足を優しく撫でる。
「だったらいいじゃん……な、やろ?」
冬磨がいつになく真剣な表情で俺を見つめる。
ドキドキしながら冬磨の返事を待った。
「……だめ。俺、セフレとは生でやらない」
愕然とした。
フェラはよくてもゴムなしはだめなんだ。
「お前もさ。そういうのは、本気で好きになった奴とだけにしな」
俺が本気で好きなのは冬磨だもん……。
「それともさ……」
冬磨が俺の顔をじっと見つめた。
何かを言いかけてやめて、スッと視線をそらされる。
「あー……いや、なんでもない。天音、横になって」
それとも、なに?
なにを言おうとしたの?
冬磨は中に入れていた俺の指を優しく引き抜いてティッシュで拭うと、そっと俺をベッドに寝かせる。
冬磨……なにを言いかけたの?
気になるよ……。
「天音、今日は俺が舐めてやるよ」
「……いい。やんないなら、もういい」
ぷいっと冬磨から視線をはずして横を向く。
舐められたって、後ろはうずいたままだもん。
冬磨と繋がれないなら、もう寝てしまいたい。
「拗ねんなよ、天音」
「別に拗ねてねぇ。てか、やんないなら帰るっつたじゃん」
「わかってる。だから舐めてやるって。な?」
「もういい。寝る」
俺はパンツとズボンをはいて冬磨に背中を向けた。
冬磨……さっきなに言いかけたの……?
もう俺の頭の中はそればかり気になってる。
それともさ……の続きを。
「おやすみ。天音」
俺があんなことをする前は、俺の身体に腕を乗せてくれていたのに、今は乗せてくれない。どうして?
サッと心臓が冷える。
さっきの俺は……冬磨の嫌いな執着する男だったんじゃないか。
ゴムが無いって言ってるのに、それでもやろうとする面倒な奴。どう考えても冬磨の嫌いな人種だ。
それともさ……の続きは『お前、俺が好きなの?』だったんじゃ……。
ドクドクと心臓が壊れそうになった。
冬磨の家に入れてもらえて、キャンプの予約までして、また俺は勘違いした。
フェラはいいんだから、俺は特別だと思い込んだ。生だっていいんだって思い込んだ。
どうしようどうしよう……っ。
冬磨に本気じゃないって、執着してないって証明しないと……っ。
やっぱり敦司にセフレの振りしてもらおう。
あんなばかなこと、しなきゃよかった……っ。
背中に感じる冬磨の視線が怖い。
やっぱり帰るって言えばよかった、と後悔しながら、俺は眠れない夜を過ごした。
◇
「は? だからってその足でウチにきたのかよ」
「だってっ!」
半泣きになりながら敦司の家に転がり込んだ。
朝方少しウトウトした頃、冬磨の起きる気配にビクッとして目が覚めた。
怖い。怖い。冬磨の顔が見られない。
むくっと起き上がってベッドから這い出た。
「……天音? 起きるの早いな。朝メシ、パンでいいか?」
その優しい言葉と声色にホッとしたけれど、冬磨は優しいからわからない。
「もう帰るから。いらない」
「なんで? 朝メシくらい食ってけよ」
「いい。もう帰る」
もっと初心に戻ろう。最近は気がゆるみ過ぎだった。
もっと冬磨に興味なさそうに。もっと無表情に……。
「まだ拗ねてんの? それとも怒ってる?」
「……別に。拗ねてねぇし怒ってねぇ。朝になったから帰るだけ。ただのセフレなんだから普通だろ」
淡々と言葉にしながら服に着替えて玄関に向かう。
追いかけてきた冬磨の顔を、一度だけ振り返って見た。
いつも通りの冬磨だった。さっさと帰ろうとしてる俺に、普通に優しく微笑んだ。
「次からはちゃんと用意しておくから。もう拗ねんなよ?」
「だから。拗ねてねぇっつってんだろ」
「ふは。うん、じゃあまたな」
「……うん」
もっと引き止めてくれるかと思った。止められたって帰るつもりだったのに、そうされないと寂しくて泣きそうになった。
冬磨の家を出て俺は駆け出した。
すぐそこにある敦司の家が、オアシスのように感じる。早く、早くあそこに行きたい。
「敦司ぃー……っ」
「泣くなって。あーもー」
ソファに倒れ込んだ俺に、敦司がティッシュの箱を渡してきた。
俺は冬磨の上で片足だけ脱いで、ゲイビを思い出しながら唾液を手のひらに落とし、それで後ろを広げ始める。
「……ん……っ……」
「……天音、本気?」
「ほん……き……だけど」
中をいじりながらはちゃんと話せない。
俺は指を入れたまま動きを止めた。
「俺……生は初めてだよ。本当に。フェラだって今のが初めてだった。絶対病気は持ってねぇよ」
「そんなこと、わかってるよ」
冬磨の手が俺の足を優しく撫でる。
「だったらいいじゃん……な、やろ?」
冬磨がいつになく真剣な表情で俺を見つめる。
ドキドキしながら冬磨の返事を待った。
「……だめ。俺、セフレとは生でやらない」
愕然とした。
フェラはよくてもゴムなしはだめなんだ。
「お前もさ。そういうのは、本気で好きになった奴とだけにしな」
俺が本気で好きなのは冬磨だもん……。
「それともさ……」
冬磨が俺の顔をじっと見つめた。
何かを言いかけてやめて、スッと視線をそらされる。
「あー……いや、なんでもない。天音、横になって」
それとも、なに?
なにを言おうとしたの?
冬磨は中に入れていた俺の指を優しく引き抜いてティッシュで拭うと、そっと俺をベッドに寝かせる。
冬磨……なにを言いかけたの?
気になるよ……。
「天音、今日は俺が舐めてやるよ」
「……いい。やんないなら、もういい」
ぷいっと冬磨から視線をはずして横を向く。
舐められたって、後ろはうずいたままだもん。
冬磨と繋がれないなら、もう寝てしまいたい。
「拗ねんなよ、天音」
「別に拗ねてねぇ。てか、やんないなら帰るっつたじゃん」
「わかってる。だから舐めてやるって。な?」
「もういい。寝る」
俺はパンツとズボンをはいて冬磨に背中を向けた。
冬磨……さっきなに言いかけたの……?
もう俺の頭の中はそればかり気になってる。
それともさ……の続きを。
「おやすみ。天音」
俺があんなことをする前は、俺の身体に腕を乗せてくれていたのに、今は乗せてくれない。どうして?
サッと心臓が冷える。
さっきの俺は……冬磨の嫌いな執着する男だったんじゃないか。
ゴムが無いって言ってるのに、それでもやろうとする面倒な奴。どう考えても冬磨の嫌いな人種だ。
それともさ……の続きは『お前、俺が好きなの?』だったんじゃ……。
ドクドクと心臓が壊れそうになった。
冬磨の家に入れてもらえて、キャンプの予約までして、また俺は勘違いした。
フェラはいいんだから、俺は特別だと思い込んだ。生だっていいんだって思い込んだ。
どうしようどうしよう……っ。
冬磨に本気じゃないって、執着してないって証明しないと……っ。
やっぱり敦司にセフレの振りしてもらおう。
あんなばかなこと、しなきゃよかった……っ。
背中に感じる冬磨の視線が怖い。
やっぱり帰るって言えばよかった、と後悔しながら、俺は眠れない夜を過ごした。
◇
「は? だからってその足でウチにきたのかよ」
「だってっ!」
半泣きになりながら敦司の家に転がり込んだ。
朝方少しウトウトした頃、冬磨の起きる気配にビクッとして目が覚めた。
怖い。怖い。冬磨の顔が見られない。
むくっと起き上がってベッドから這い出た。
「……天音? 起きるの早いな。朝メシ、パンでいいか?」
その優しい言葉と声色にホッとしたけれど、冬磨は優しいからわからない。
「もう帰るから。いらない」
「なんで? 朝メシくらい食ってけよ」
「いい。もう帰る」
もっと初心に戻ろう。最近は気がゆるみ過ぎだった。
もっと冬磨に興味なさそうに。もっと無表情に……。
「まだ拗ねてんの? それとも怒ってる?」
「……別に。拗ねてねぇし怒ってねぇ。朝になったから帰るだけ。ただのセフレなんだから普通だろ」
淡々と言葉にしながら服に着替えて玄関に向かう。
追いかけてきた冬磨の顔を、一度だけ振り返って見た。
いつも通りの冬磨だった。さっさと帰ろうとしてる俺に、普通に優しく微笑んだ。
「次からはちゃんと用意しておくから。もう拗ねんなよ?」
「だから。拗ねてねぇっつってんだろ」
「ふは。うん、じゃあまたな」
「……うん」
もっと引き止めてくれるかと思った。止められたって帰るつもりだったのに、そうされないと寂しくて泣きそうになった。
冬磨の家を出て俺は駆け出した。
すぐそこにある敦司の家が、オアシスのように感じる。早く、早くあそこに行きたい。
「敦司ぃー……っ」
「泣くなって。あーもー」
ソファに倒れ込んだ俺に、敦司がティッシュの箱を渡してきた。
あなたにおすすめの小説
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。