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冬磨編
21 俺たちはセフレ……恋人じゃない
終わったあと、天音を抱きしめながら余韻に浸りたい気持ちをグッとこらえた。セフレがそんなことしたら引くよな。
脱力してるだけだという風を装って腕だけ天音の身体に乗せた。
でも、よく考えればいつもこうしてた。それなのに天音が好きだと自覚すると、これだけでも気持ちがダダ漏れそうで怖かった。
そのあと、タバコを吸おうとして思い直し、先に天音の太ももにキスマをたくさん付けてやった。
「ふん。対抗してみろ。ばーか」
天音の前だから強がってはみたが、もしまた次会ったときに付けられてたら……俺嫉妬で狂っておかしくなるかも……。
天音を見ると、また口元がゆるんでた。
「天音……笑うなって。頼むからクソセフレのことではお前はもう笑うな」
「ぷはっ」
俺の言葉に吹き出した天音は、そのままクスクス笑い続けた。
さっき見せてくれた笑顔とは比べ物にならない、あのあたたかい日だまりの笑顔だ。
「……そんな笑顔、初めて会った日以来だな」
さっきの笑顔も可愛いが、日だまりの笑顔はもう格別だった。
いつもの無表情が嘘のような天音の笑顔に釘付けになる。
ほんと……マジで可愛い、天音。
クソセフレには悔しいが、天音の日だまりの笑顔がまた見られたことが幸せで胸が熱くなった。
ずっとその笑顔で俺を見てくれよ……天音。
そんな俺の願いもむなしく、天音の笑顔はスっと消えて、また俺に興味もないという瞳をした天音に戻ってしまった。
やっぱりそうか。戻るのか。俺を好きなのかもと期待したあの瞳は、きっと俺にだけじゃないんだな……。ベッドでは誰にでも見せる瞳なんだな……。
また嫉妬が胸に渦巻いて苦しくなった。
「お前さ」
ベッドの背に寄りかかってタバコに火をつけながら、俺はそう切り出した。
そんな瞳、みんなに見せてんの?
そう聞こうとして呑み込む。
直球すぎるだろ。どういう意味かと聞かれたら説明できない。
「なに?」
言いかけてから何も話さない俺に、怪訝そうな顔を向ける天音をじっと見つめた。
聞くのはやめるか……嫉妬以外のなにものでもないよなこんなの……。
そう思ってはみたものの、聞かずにはいられなかった。
天音から目をそらし、タバコの煙を吐き出した。
「お前さ。他の奴とは……前からすんの?」
「……え?」
怪訝そうな顔とは裏腹な、きょとんとした可愛い声を天音が漏らす。
…………くっそ可愛いな。
やっぱこっちが素の天音だろ。早く取り戻してやりたい。素直で可愛い天音に早く戻してやりたい。
俺なんかができるのか……本当に。
「だから、俺は前は嫌いだっつってんだろ」
強気な可愛げのない返答が返ってきた。
ほんとこのギャップ、やばい。こっちも可愛いからマジで参る。
「てことは、やってねぇんだな?」
「ねぇよ。やるわけねぇじゃん。お前がしつこいからやったんだろ」
「……そっか。うん、前はやめとけ。お前、前禁止な」
そっか。前からは俺だけだったんだ。
じゃあ、あんな熱のこもった瞳は誰にも見せてないってことだな。あんなの見せたら絶対みんな勘違いする。危険すぎるだろ。
でも、そっか。よかった。俺の嫉妬が一個減った。
「ふうん。……じゃあ冬磨ともまた後ろだけだな」
「は? 違う。俺は解禁。俺以外は禁止」
「……なんだそれ」
やべぇあぶない。そうだよな、あの言い方はそうなるよな。
でも、言質はとってあるから大丈夫だ。
「天音、後ろより前が好きだって言ったしな?」
「……は? 言ってねぇよ」
「言ったじゃん」
あんな心臓に悪い『好き』を俺に浴びせておいて、記憶にないと言いたげな天音にため息が出た。
嘘だろ。言った自覚ないのかよ。
ほんと小悪魔だな……。
こんな話早く終わらせよう。言ってないなんてもう言わせねぇぞ。
それよりも、今日は金曜日。どうしても天音を誘いたかった金曜日だ。
「今日は泊まるか? お前明日休みだろ? たまにはゆっくりしようぜ」
俺の言葉に天音が「え……」と驚いて固まった。速攻で『はぁ?』と言われる覚悟だった俺はとりあえずホッとした。悩む余地はあるってことだ。
しかし、しばらく待っても天音の返事がない。
そんなに悩んでくれるってことは、泊まりは絶対なしってわけじゃねぇのかな。と嬉しくて口元がゆるむ。
あ、もしかして明日仕事か?
「あれ? 休みじゃなかった? 俺、読み間違ったか?」
「……読み?」
「お前いつ誘っても必ずシャワー入るじゃん? 入ってくることってねぇから、これはきっと平日びっちり仕事だなって。暦どおり土日が休みの仕事かなって思って。だから今日誘ったんだけど」
「あ……そういう……」
と、天音がどこかホッとしたように息をつく。
なんでいまの会話でそんなにホッとするのか分からないが、いつも無表情の天音が今日はすごく表情豊かで嬉しくなる。
笑顔も見られたしとろけた顔もすげぇ可愛いし、熱のこもった瞳に……キスまで……。
やばい。どうしよう。こんなのすげぇ期待しちゃうだろ。もしかして泊まりもOKじゃね?
なんて考えてた俺は、天音の言葉にダメージを喰らった。
「……勘弁しろよ、泊まりとか。恋人じゃねぇんだからさ。そういうの無理」
天音の言葉が胸にグサグサくる。
完全に意気消沈。
「……っとに、お前の二面性やばいな? あーもー……。突っ込んでるときの可愛い天音に言うんだった」
あの可愛い天音に言ったらどう返ってきたんだろ。
たとえ断るにしても、もちっと可愛かったろ、きっと。
『勘弁しろよ』って。あーほんと……最中以外は勘違いもさせてくんねぇな……。
俺たちはセフレ……恋人じゃない。
あらためて教えてくれてありがと、天音。
脱力してるだけだという風を装って腕だけ天音の身体に乗せた。
でも、よく考えればいつもこうしてた。それなのに天音が好きだと自覚すると、これだけでも気持ちがダダ漏れそうで怖かった。
そのあと、タバコを吸おうとして思い直し、先に天音の太ももにキスマをたくさん付けてやった。
「ふん。対抗してみろ。ばーか」
天音の前だから強がってはみたが、もしまた次会ったときに付けられてたら……俺嫉妬で狂っておかしくなるかも……。
天音を見ると、また口元がゆるんでた。
「天音……笑うなって。頼むからクソセフレのことではお前はもう笑うな」
「ぷはっ」
俺の言葉に吹き出した天音は、そのままクスクス笑い続けた。
さっき見せてくれた笑顔とは比べ物にならない、あのあたたかい日だまりの笑顔だ。
「……そんな笑顔、初めて会った日以来だな」
さっきの笑顔も可愛いが、日だまりの笑顔はもう格別だった。
いつもの無表情が嘘のような天音の笑顔に釘付けになる。
ほんと……マジで可愛い、天音。
クソセフレには悔しいが、天音の日だまりの笑顔がまた見られたことが幸せで胸が熱くなった。
ずっとその笑顔で俺を見てくれよ……天音。
そんな俺の願いもむなしく、天音の笑顔はスっと消えて、また俺に興味もないという瞳をした天音に戻ってしまった。
やっぱりそうか。戻るのか。俺を好きなのかもと期待したあの瞳は、きっと俺にだけじゃないんだな……。ベッドでは誰にでも見せる瞳なんだな……。
また嫉妬が胸に渦巻いて苦しくなった。
「お前さ」
ベッドの背に寄りかかってタバコに火をつけながら、俺はそう切り出した。
そんな瞳、みんなに見せてんの?
そう聞こうとして呑み込む。
直球すぎるだろ。どういう意味かと聞かれたら説明できない。
「なに?」
言いかけてから何も話さない俺に、怪訝そうな顔を向ける天音をじっと見つめた。
聞くのはやめるか……嫉妬以外のなにものでもないよなこんなの……。
そう思ってはみたものの、聞かずにはいられなかった。
天音から目をそらし、タバコの煙を吐き出した。
「お前さ。他の奴とは……前からすんの?」
「……え?」
怪訝そうな顔とは裏腹な、きょとんとした可愛い声を天音が漏らす。
…………くっそ可愛いな。
やっぱこっちが素の天音だろ。早く取り戻してやりたい。素直で可愛い天音に早く戻してやりたい。
俺なんかができるのか……本当に。
「だから、俺は前は嫌いだっつってんだろ」
強気な可愛げのない返答が返ってきた。
ほんとこのギャップ、やばい。こっちも可愛いからマジで参る。
「てことは、やってねぇんだな?」
「ねぇよ。やるわけねぇじゃん。お前がしつこいからやったんだろ」
「……そっか。うん、前はやめとけ。お前、前禁止な」
そっか。前からは俺だけだったんだ。
じゃあ、あんな熱のこもった瞳は誰にも見せてないってことだな。あんなの見せたら絶対みんな勘違いする。危険すぎるだろ。
でも、そっか。よかった。俺の嫉妬が一個減った。
「ふうん。……じゃあ冬磨ともまた後ろだけだな」
「は? 違う。俺は解禁。俺以外は禁止」
「……なんだそれ」
やべぇあぶない。そうだよな、あの言い方はそうなるよな。
でも、言質はとってあるから大丈夫だ。
「天音、後ろより前が好きだって言ったしな?」
「……は? 言ってねぇよ」
「言ったじゃん」
あんな心臓に悪い『好き』を俺に浴びせておいて、記憶にないと言いたげな天音にため息が出た。
嘘だろ。言った自覚ないのかよ。
ほんと小悪魔だな……。
こんな話早く終わらせよう。言ってないなんてもう言わせねぇぞ。
それよりも、今日は金曜日。どうしても天音を誘いたかった金曜日だ。
「今日は泊まるか? お前明日休みだろ? たまにはゆっくりしようぜ」
俺の言葉に天音が「え……」と驚いて固まった。速攻で『はぁ?』と言われる覚悟だった俺はとりあえずホッとした。悩む余地はあるってことだ。
しかし、しばらく待っても天音の返事がない。
そんなに悩んでくれるってことは、泊まりは絶対なしってわけじゃねぇのかな。と嬉しくて口元がゆるむ。
あ、もしかして明日仕事か?
「あれ? 休みじゃなかった? 俺、読み間違ったか?」
「……読み?」
「お前いつ誘っても必ずシャワー入るじゃん? 入ってくることってねぇから、これはきっと平日びっちり仕事だなって。暦どおり土日が休みの仕事かなって思って。だから今日誘ったんだけど」
「あ……そういう……」
と、天音がどこかホッとしたように息をつく。
なんでいまの会話でそんなにホッとするのか分からないが、いつも無表情の天音が今日はすごく表情豊かで嬉しくなる。
笑顔も見られたしとろけた顔もすげぇ可愛いし、熱のこもった瞳に……キスまで……。
やばい。どうしよう。こんなのすげぇ期待しちゃうだろ。もしかして泊まりもOKじゃね?
なんて考えてた俺は、天音の言葉にダメージを喰らった。
「……勘弁しろよ、泊まりとか。恋人じゃねぇんだからさ。そういうの無理」
天音の言葉が胸にグサグサくる。
完全に意気消沈。
「……っとに、お前の二面性やばいな? あーもー……。突っ込んでるときの可愛い天音に言うんだった」
あの可愛い天音に言ったらどう返ってきたんだろ。
たとえ断るにしても、もちっと可愛かったろ、きっと。
『勘弁しろよ』って。あーほんと……最中以外は勘違いもさせてくんねぇな……。
俺たちはセフレ……恋人じゃない。
あらためて教えてくれてありがと、天音。
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