仁獣

黒羽猛尊

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第4話

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「ふぅ~これでとりあえずは大丈夫かな?」
「結構大変だったね。黒川先輩って本当に超人だね。」
 僕達は今は学校のスペースで黒川先輩が栽培している菜園と花壇の手入れをしていた。
「これさ普通の農家さん並みの広さだけどこれを勉強と研究とトレーニングの合間にやってたんだよね。」
「自分が魔法薬学での研究で使う薬草まで育ててますからね。」
 近くにある手洗い場で手に付いた土を洗い落としていると僕のスマホが鳴る。
「はいもしもし。御幸ですけど。」
[あぁサクラくん。黒川だけど君達2人にお客さんが来てるよ。」
「お客さんですか?」
[依頼だよ依頼。早くしないとお客さん帰っちゃうよ。]
 スピーカーにしていたので氷室さんにも聞こえていて氷室さんは大急ぎで研究室へと走っていった。
「あぁ~いま氷室さんだけ走って行きましたのでのですぐにお話を聞けるとお伝えください。」
[そうかい。なら、僕の紅茶でもてなしておくよ。君達も農作業で疲れてるだろうから用意してるから早く戻ってきなよ。]
 事務所を研究室に移転してから早5日やっと依頼が来た。黒川先輩は固辞していたがこちらからお願いして毎月1万円を納める条件をつけさせてもらった。
 勿論、白川教授にも別に納めるので合計2万円を納めないといけない。
 しかし、正直に言って学生が運営しかねている何でも屋に相談に来るってよっぽど切羽詰まってるのかねと考えてしまう。
 特に1年前から始めて敷地内に住む一般の人からもある程度依頼を受けていたと推測できる。依頼料を頂かなかったのは別として、
「何でもするから何でも相談所じゃないの!?」
 研究室のドアを開けようとしたら向こう側からすごい声が聞こえてきた。怒鳴り声がいまにも金切り声になって奇声に変わりそうである。
「少し落ち着いてください。私共にもできることとできない事は当然あります。」
 中に入ると1人の女子生徒が氷室さんに今にも突っかかりそうになっている。
この状況でもチュッパチャップスを舐めながら平然と勉強をしている黒川先輩に感心しながら僕も止めに入る。
「ハイハイ落ち着いて。落ち着かないと話ができませんよ。」
「あんた誰よ!」
 ダメだこりゃ。まるで男関係の事で揉めてそうなキャラのテンプレートの物言いだ。
「僕は高専2年の御幸サクラです。一応僕も相談所の所員で改めて話を聞かせてくれませんか?」
「彼氏の身辺調査して欲しいの!」
 ほら来たやっぱりね。身辺調査をして欲しいという事は相手の男性は6年生で卒業したら結婚しようとかかな?と僕は思った。
「一旦ですが、できるできないかは僕と氷室で相談してから決めるので、もう1度お名前と依頼内容を僕に教えてくれませんか?」
「私は高専6年の藤宮ふじみやあかねよ。調べて欲しい男は私と同じ6年の加賀美かがみ恭介きょうすけの事を調べて欲しいの。」
 うん?藤宮と加賀美と言ったら国内でも有名な政治家家族の1つじゃないか。
「私と恭介は卒業後に結婚を約束してる婚約状態で寮も同部屋で同棲させてもらってるわ。
 でも、最近は来年の卒業論文とか研究で忙しいって深夜に帰ってきたり朝になっても帰ってこず、学校で会って聴いても教えてくれないの。」
 6年生だとここに居る超人の5年生を除いたらそれは普通の事ではないのか?黒川先輩に視線をチラッと向けると、今は紅茶を淹れる準備をしていた。
「いや、そりゃ5年生の就活が終わると次は卒業に向けた論文と試験ですからねなかなか厳しいでしょ。」
「でも様子がおかしかったのは去年の秋ごろからなのよ。彼は特待生でもないのに論文があるとか研究や就活が忙しいからって。
 6年生になったら落ち着くかと思ったらそんなことは全くなくてますます酷くなってるのよ!」
 そう言いながら藤宮さんは机に突っ伏して泣きながら説明をする。まずいなここまで怒りと哀しみが激しいと話を中立で聴けないぞ。
「これを飲んで一旦落ち着きましょう。怒ったり悲しんで泣くともっと辛くなりますよ。」
 黒川先輩は準備していた紅茶を人数分用意して僕達の机へと運んできてくれた。
「立ち聞きしたみたいになってスイマセン。けど、この部屋の家主は僕なのでご了承下さい。勿論、同じ部屋に居る僕にも守秘義務は発生しますのでご安心下さい。」
 紅茶から漂う湯気からはほのかに蜂蜜の甘い香りがしてくる。そして、同時にチョコレートも置かれた。
「紅茶には砂糖の代わりに蜂蜜を淹れたものを用意してます。それに合わせてチョコはビターの配分です。甘いものが苦手なら蜂蜜抜きで作り直しますよ。」
「いえ大丈夫よ。ありがとう。」
 藤宮さんは紅茶を1口飲むと「美味しい。」と感嘆した様子で呟く。それに対して黒川先輩は「恐縮です。」と一言だけ返して自分のデスクに戻った。
「ごめんなさい取り乱してしまって。」
「いえいえ、気になさらないで下さい!私がしっかりと内容を聴けてなかったのが悪いですから!」
「それにしても美味しい紅茶ね。私や彼の家の使用人が淹れる紅茶よりも何倍も美味しいわ。」
「それは僕が茶葉の栽培から加工まで愛情込めてやってますからね。さすがに養蜂までは無理ですけど。」
 何か初めてこの人から無理って言葉を聞いた気がする。
「それでその加賀美先輩を、言い方は悪いんですけど調べようと決心したのは何故ですか?」
「それはねある日朝帰りで帰ってきた彼と玄関で鉢合わせしたの。そしたら彼から香水の香りがしたのよ。」
「香水って男性もされますよね。」
「いいえ!彼は香水なんて振りかけないしそれにあれは女物の香水の香りよ!きっと彼の事を誑かしているんだわ!」
 氷室さんが話を聴いていたが聴いていくうちに彼女がヒートアップし始める。
「話はだいたい分かりました。依頼を受けるにあたってですけど少し僕達にかけられている制限を了承していただいてもよろしいですか?」
「えっ?御幸くん受けるの?」
 勝手に話を進めようとする僕に氷室さんは驚くが僕は耳打ちをする。
「これ多分。この人藤宮の勘違いの可能性があるので簡単に済ませましょう。」
「簡単じゃダメだよ!やるからには全力でやらないと!」
 耳打ちの意味もないし別に手を抜くわけではないんだが。
「あの~何でしょうか制限とは?」
「あぁスイマセン。制限って僕達は学校の敷地内から出る仕事は受けられないんです。ですので、調査は学校の敷地内のみという制限になります。」
「そうなの。まぁ、それは仕方がないわ。外の調査は外の探偵に依頼します。」
 翌日、授業が終わり僕達は学校の屋上に来ていた。
「さぁ、身辺調査始めていくよ!これ双眼鏡。」
「あぁ大丈夫です。僕は視力強化魔法かけるので。」
「そうかい。なら私だけ使おうか。」
 氷室さんは露骨に残念そうになりながら6年生が居る校舎を双眼鏡で覗き始める。僕も眼球に魔力を送り込んで視力を強化させる。
「これ、校舎から加賀美さんを探すだけでも大変じゃないですか?」
「フッフッフッ、こういうのが私の経験の見せ所だね。」
「あっ居ました。」
「早~い!!」
 少し離れているから心なしか写真と雰囲気が若干違うような気がしないこともないんだけどな。
「ねぇ、どこに居るの!」
「3階の左から3番目の窓から見えますよ。」
「えぇ~とどれどれ。おっいたいた!うん?何か写真と雰囲気が違うような気がするんだけど私の気のせいかな?」
「それ同じこと僕も思ってましたよ。」
「やっぱり6年生にもなると卒業の事を考えないといけないから追い込まれるのかな?」
「氷室さんじゃ一生考えなさそうな事ですね。」
「ちょっとそれは酷くない?!」
 僕は魔力の流れを少し強めて更に視力を強化する。少し眼球内のピントを合わせるのが大変になるが何か支障をきたすようなわけでもない。
「目の下のクマとかかなりヤバそうですけど。」
「そうだね。もしかしたら本当に研究が大変なのかもしれないね。どこの研究室に所属しているか白川教授に聞いてみるね。」
「分かりました。僕はそのまま見ておきます。」
 ターゲット加賀美が移動をし始めたのでそのままピントを調節しながら追いかける。
 どこに向かってるんだろう?向かっている方角は研究棟とは反対に移動をしている。
「いま聞いてみたんだけど加賀美さんはどこの研究室にも属して無いみたい。進路も卒業後は親の秘書をするから特に困っている事もないんだって。」
「なら本当に夜遊びをしているだけ?」
「もしかしたら夜は狼かもしれないね。」
 「ガオー!」と両手を上げてポーズをしているが僕は無視した。
「ちょっと無視しないで。結構恥ずかしいんだけど。」
 少し目を離していると結構遠くまで離れた距離まで加賀美さんは移動していた。方向的に旧校舎に向かっているように思える。
「何か旧校舎に向かってますね。」
「旧校舎って言っても普通の学校よりも綺麗で新しく見えるけどね。」
「僕達も旧校舎に移動しましょう。ここだと見張るのが難しいので。」
 僕は空中に魔力で固めた足場を等間隔に作って空中をスムーズに移動したいが、
「ちょっと待ってくれ!べ、別に怖い訳じゃないからね!」
「もぉ~グズグズしてるから見失ったじゃないですか。」
「ごめんなさい。」
 旧校舎が眺められる位置まで来てみたが加賀美さんは完全に見失った。探しても何処の階のどの部屋に居るのかわからない。
「でも、旧校舎に人の出入りって意外とあるんですね。」
「旧校舎には図書室があるからね。5年生や6年生になると研究や論文で授業なんて無いようなものって話を聞くからそれでじゃないかな。」
 高専には学校指定の黒色のパーカーが支給されてどれだけ暑かろうが寒かろうが学校に来る時はそのパーカー着用になっている。
 そのパーカーには2本の縦のラインが入っていて、学年で色に違いをつけてる。
 1年生は黄色・僕達2年生は青・3年生は赤・4年生は緑・5年生は白・6年生は桃色。そして、さっきから出入りしてるのは白と桃の人ばかりだ。
「氷室さんの学年には特待生は居ないんですか?」
「うん。私の学年は居ないね。なりたかった子も居るけど試験に落ちちゃったみたいだから。だから御幸くんは凄いよね。」
 特待生は各学年に何人ではなく全校生徒から10人しか選ばれない。もちろん、僕みたいに特待生を切られそうになっている生徒も居て、特待生から外される事もある。
 そして、卒業や特待生解除によってその空いた枠を特待生になりたい生徒が奪い合うのだ。
「御幸くんは今年から特待生になったの?」
「特待生になったのは1年の時からです。特待生になったら学費・寮費・学区内の生活用品と飲食代が全て免除にされるって聞いたんで少し頑張りました。」
「「1年生からなんだ!じゃあ、今年から論文かそれか別の活動実績が要るね。」
「だから、相談所ここで働くように言われたんですよ。あとちなみにですけど黒川先輩は特待生じゃないですよ。」
「えっそうなの!?」
「特待生は試験の他に監査員が居てその人達が成績を考慮して最終的に選ぶんですけど黒川先輩は少し異質すぎて特待生の選考から外されたらしいですよ。
 まぁ本人はそんなのになったところで何の意味もないから必要ないって言ってましたけどね。」
「黒川さんらしいね。」
 まぁあの人は将来は魔法とは関係のない職種に行くからと公言してるから白い目で見る大人や妬みで見る同級生も多そうだからな。
 この高専に入った理由も宇宙空間で魔法が使えるようにとか、常人の僕では理解しがたい理由だったからな。
「うわ!もうそろそろ7時になりそうじゃん。」
「もうそんなになりますか?」
 無駄話していて時間を気にしてなかったけど加賀美さんが旧校舎に入ってからかれこれもう2時間近く経っている。
 入るのを確認して既に用を終えた5年生や6年生の人を見かけるようになったが加賀美さんは未だに出てこない。
「加賀美先輩出てきてないよね?」
「そうですけどでももう旧校舎は閉め出される時間になる筈ですけどね。1回千里眼かけてみます。」
 僕はこの前のように加賀美さんに千里眼魔法をかけて追いかけたがやはり学校のキャンパス内なのかこの前の建物よりも比じゃないくらい妨害魔法をかけられていて全く見えない。
「ダメですね。やっぱり学校なんでかなりの妨害がかけられています。」
「壊せなさそう?」
「無茶苦茶言ってますよ。それにもしそんな事をしようものなら速攻で白川教授が来てボコボコにされますよ。」
「だよね。防衛魔法は白川教授が作っているらしいからね。」
 そこからまた約1時間程空中で待機をしていたが人が出てくる気配は無し。なんなら生徒指導の先生に見つかって帰るように言われてしまい一旦黒川先輩の研究室に戻った。
「それでなんの成果も上げられなかったのかい?」
「何かの漫画のセリフみたいな言い方やめてもらえませんか。」
 帰ってきた時には先輩は晩御飯を作っていた。基本的に先輩のタイムテーブルは朝の5時に起床してそこからランニングに始まって夕方の5時まで勉強・研究・筋トレ・菜園をこなしている。17時以降には勉強などはしないらしいし見た事ない。
「まぁ、分からなかった事は仕方がないんだから明日は朝から張り込んでみたら?」
「でもな~氷室さんならまだしも僕も出て来たところを見落としたのかな?」
「ちょっと今の私を馬鹿にしてない?」
「まぁちょうどご飯ができたから食事にしよう。」
 黒川先輩は両手で持ち右手の腕に乗せて手慣れた手つきで運んできた。皿にはボロネーゼが盛り付けられている。
「黒川先輩は何時でも研究室に居れるんですか?」
「うん。個人の研究室は学校が用意してくれている部屋みたいな物だからここでの寝泊まりも自由なんだよ。」
「いいな~。私もそんな部屋が欲しい。」
「成績が認められればもらえますよ。」
「無理無理。私は研究なんてわからないもん。」
「相談所が立派になっていけば別分野として支給されるんじゃない?氷室さんはまだ4年生だからまだまだわからないよ。」
 話を聞きながら僕はパスタに口をつける。美味しすぎる本当に店で1皿2000円で出されても全く違和感がない。
「相変わらず美味しいですね。」
「それは水を使わずに作っているんだよ。無水カレーならぬ無水ボロネーゼだね。もちろん、トマトや玉ねぎ・パセリは全て僕の菜園で取れているものだよ。流石に畜産と酪農は無理だけどね。」
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