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16 アリスタの独白
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「――成人を迎えた辺りから、父様から催促が入る様になった」
イリス、いや、本物のアリスタが小さく笑いながら言う。
「もう期日も近い、これ以上引き伸ばしてもいいことはないと繰り返し言われたよ」
「父様が……」
父王は、俺を軽く諌めることはあっても、俺を軽んじて扱う素振りはなかった。だけど、本当の親だと思っていたのは俺だけで、向こうはただの影武者と思って接していたのだろう。俺が気付かなかっただけで。
だから早くなんとかしろと実の息子のイリスには言っていたのだろうから。
始めからそうだったのだ。だけど、裏切られた気持ちになってしまった。自分に対する愛情は存在していたのだと、時折笑って褒めてくれるのは本心からだったと思っていたから。
自ら全てを捨てた筈なのに。いや、それすらも仕組まれたものだったって訳か。
「……そっか」
全ては自分の馬鹿な思い込みが招いた事態だ。思わず自嘲気味に笑うと、アリスタが机の上に置かれた俺の手を上から握った。
「父様の本心は私にも分からない。だけど、父様はアリスタのことを憎からず思っていると思う時は度々あった」
その手をどうしていいか分からず、俺は手を握られたまま俯く。
「慰めはいいよ」
「違う! だって父様は言っていたんだ! 『時折、あれが眩しすぎて困る時がある』って!」
「え……」
どういうことだろうか。俺が不審げに目線を戻すと、泣きそうなアリスタの目が俺を見つめていた。
「それを言う時の顔は、親の顔だった! 父様は、お前を可愛く思っていたんだ! 私はそれが、誇らしかった……!」
「……なんでアリスタ、様が誇らしいんだよ」
意味が分からない。そう、こいつはいつもその内側に何かを隠して、俺には見せやしなかった。――あの日以来。
少しずつ、記憶が欠けた場所に埋まっていく。偉そうな影武者。優秀な影武者。俺は追いつくのに必死だった。
そうしないと、もう要らないと言われるんじゃないかと思っていたからだ。
「様なんて付けるな!」
悲しそうにアリスタが言う。そんな悲しそうな顔をするなよ。お前だって俺のことをずっと様付けで呼んでたじゃないか。やっぱりこいつは我儘だ。――だけど憎めない。
「それを言うなら俺はイリスだろ? それはさっきタチアナからも聞いたし、もういいんだ。本来の名前で呼べよ」
これは、皮肉ではなく本心からだった。真実を知らないままイリスに再会していたらもっと混乱していただろうが、タチアナが教えてくれたからこうしてまだ冷静にいられる。タチアナがいてよかった、心から思った。
「ああ……イリス……!」
こんなに必死なるアリスタは新鮮だな、そう思い、最後に別れた時も同じくらい真剣だったことを思い出した。
俺が分かってなかっただけで、アリスタはずっとこうだったのかもしれない。俺が見えていたのは表面上のこいつで、その内側にあるものから目を逸し続けていたのか。
「私のイリスは凄いんだ、ずっと自慢だったんだ。何をされても曲がらない、強いのに優しい心を持つイリスが、俺は誇らしくて仕方なかったんだ」
息をひとつ吐き、アリスタが身を乗り出す。そんなに真剣な目で見ないでほしい。
婚儀の日程が出た以上は俺はお役御免だし、だとしたらもうあの場所に戻ることは二度とないのだから、そんな恋い焦がれる様な目で見ないでくれ。
――戻りたくなっちゃうじゃないか。
「周囲の人間が笑顔になるのは、イリスが俺をやっている時だけだったから、私は羨ましくも思っていたよ」
「アリスタ……」
俺が影武者のイリスの方が優秀だと皆に思われていたと感じていたのと同様に、アリスタは俺の方が皆に好かれていると思っていたらしい。
どっちもないものねだりだが、そういう意味では生活を半分に分け合っていた俺達は、二人でようやく一人前だったのかもしれない。
アリスタの話は続く。俺の手を握る手はひんやりとしており、緊張している時はこいつってこうだよな、と思う。……緊張。何に緊張しているんだろう。
「……イリス、本当はこんな形で別れたくなかった」
「――うん」
イリスを演じていたアリスタが俺に対し主人に対するもの以上の感情を堂々と曝け出す様になったのは、成人を迎えてからだ。それまでは、俺たちはうまくいっていたと思う。
アリスタが俺をからかうことは多々あっても、俺が困ったことになる前に必ず助けてくれた。そして必ず俺を前面に出し続けた。
アリスタの言う通り、俺を表舞台に立たせ続けることで早期影武者入れ替えを避ける為だったのだろう。
記憶を混同した影武者の命を保証するには、それが最も有効だったから。
俺はずっとアリスタに守られていたのだ。本当はアリスタを守らないといけないのは俺の方だったというのに。
「イリスに対する態度を変えたのは、いよいよ時間が迫ってきていたからだ。私のことを怖がって逃げてくれたらいい、そう思っていたけど、あれじゃ押しが弱いのも分かってた。
だから思い出させようか、そう思い始めていたんだけど、突然ティナがやってきたからいい機会だと思って利用させてもらった」
俺は苦笑いしながら頷く。
「確かに、あのティナの急変が決定的だったよ」
「あれはすごかったもんなあ」
はは、とアリスタが笑う。
「一体何があってあんなことになったんだ? 結果として成功したけど、ずっと疑問に思っていた」
そうだ、俺はアリスタには話していなかった。だって、お前を置いて出て行くつもりだなんて言えなかったから。
アリスタは本当に知りたいのだろう。こんな話を影武者がしていたなんて笑ってしまうだろうが、俺は素直に話すことにした。
イリス、いや、本物のアリスタが小さく笑いながら言う。
「もう期日も近い、これ以上引き伸ばしてもいいことはないと繰り返し言われたよ」
「父様が……」
父王は、俺を軽く諌めることはあっても、俺を軽んじて扱う素振りはなかった。だけど、本当の親だと思っていたのは俺だけで、向こうはただの影武者と思って接していたのだろう。俺が気付かなかっただけで。
だから早くなんとかしろと実の息子のイリスには言っていたのだろうから。
始めからそうだったのだ。だけど、裏切られた気持ちになってしまった。自分に対する愛情は存在していたのだと、時折笑って褒めてくれるのは本心からだったと思っていたから。
自ら全てを捨てた筈なのに。いや、それすらも仕組まれたものだったって訳か。
「……そっか」
全ては自分の馬鹿な思い込みが招いた事態だ。思わず自嘲気味に笑うと、アリスタが机の上に置かれた俺の手を上から握った。
「父様の本心は私にも分からない。だけど、父様はアリスタのことを憎からず思っていると思う時は度々あった」
その手をどうしていいか分からず、俺は手を握られたまま俯く。
「慰めはいいよ」
「違う! だって父様は言っていたんだ! 『時折、あれが眩しすぎて困る時がある』って!」
「え……」
どういうことだろうか。俺が不審げに目線を戻すと、泣きそうなアリスタの目が俺を見つめていた。
「それを言う時の顔は、親の顔だった! 父様は、お前を可愛く思っていたんだ! 私はそれが、誇らしかった……!」
「……なんでアリスタ、様が誇らしいんだよ」
意味が分からない。そう、こいつはいつもその内側に何かを隠して、俺には見せやしなかった。――あの日以来。
少しずつ、記憶が欠けた場所に埋まっていく。偉そうな影武者。優秀な影武者。俺は追いつくのに必死だった。
そうしないと、もう要らないと言われるんじゃないかと思っていたからだ。
「様なんて付けるな!」
悲しそうにアリスタが言う。そんな悲しそうな顔をするなよ。お前だって俺のことをずっと様付けで呼んでたじゃないか。やっぱりこいつは我儘だ。――だけど憎めない。
「それを言うなら俺はイリスだろ? それはさっきタチアナからも聞いたし、もういいんだ。本来の名前で呼べよ」
これは、皮肉ではなく本心からだった。真実を知らないままイリスに再会していたらもっと混乱していただろうが、タチアナが教えてくれたからこうしてまだ冷静にいられる。タチアナがいてよかった、心から思った。
「ああ……イリス……!」
こんなに必死なるアリスタは新鮮だな、そう思い、最後に別れた時も同じくらい真剣だったことを思い出した。
俺が分かってなかっただけで、アリスタはずっとこうだったのかもしれない。俺が見えていたのは表面上のこいつで、その内側にあるものから目を逸し続けていたのか。
「私のイリスは凄いんだ、ずっと自慢だったんだ。何をされても曲がらない、強いのに優しい心を持つイリスが、俺は誇らしくて仕方なかったんだ」
息をひとつ吐き、アリスタが身を乗り出す。そんなに真剣な目で見ないでほしい。
婚儀の日程が出た以上は俺はお役御免だし、だとしたらもうあの場所に戻ることは二度とないのだから、そんな恋い焦がれる様な目で見ないでくれ。
――戻りたくなっちゃうじゃないか。
「周囲の人間が笑顔になるのは、イリスが俺をやっている時だけだったから、私は羨ましくも思っていたよ」
「アリスタ……」
俺が影武者のイリスの方が優秀だと皆に思われていたと感じていたのと同様に、アリスタは俺の方が皆に好かれていると思っていたらしい。
どっちもないものねだりだが、そういう意味では生活を半分に分け合っていた俺達は、二人でようやく一人前だったのかもしれない。
アリスタの話は続く。俺の手を握る手はひんやりとしており、緊張している時はこいつってこうだよな、と思う。……緊張。何に緊張しているんだろう。
「……イリス、本当はこんな形で別れたくなかった」
「――うん」
イリスを演じていたアリスタが俺に対し主人に対するもの以上の感情を堂々と曝け出す様になったのは、成人を迎えてからだ。それまでは、俺たちはうまくいっていたと思う。
アリスタが俺をからかうことは多々あっても、俺が困ったことになる前に必ず助けてくれた。そして必ず俺を前面に出し続けた。
アリスタの言う通り、俺を表舞台に立たせ続けることで早期影武者入れ替えを避ける為だったのだろう。
記憶を混同した影武者の命を保証するには、それが最も有効だったから。
俺はずっとアリスタに守られていたのだ。本当はアリスタを守らないといけないのは俺の方だったというのに。
「イリスに対する態度を変えたのは、いよいよ時間が迫ってきていたからだ。私のことを怖がって逃げてくれたらいい、そう思っていたけど、あれじゃ押しが弱いのも分かってた。
だから思い出させようか、そう思い始めていたんだけど、突然ティナがやってきたからいい機会だと思って利用させてもらった」
俺は苦笑いしながら頷く。
「確かに、あのティナの急変が決定的だったよ」
「あれはすごかったもんなあ」
はは、とアリスタが笑う。
「一体何があってあんなことになったんだ? 結果として成功したけど、ずっと疑問に思っていた」
そうだ、俺はアリスタには話していなかった。だって、お前を置いて出て行くつもりだなんて言えなかったから。
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