21 / 48
21 一ノ瀬視点 その3
「そんなこと言って、響は運命の番が現れたら蘭丸のことを捨ててそいつのところに行くよ。
・・・・・・・・昔の俺みたいに。」
勇士は沖くんとのこと、よほど心残りがあるらしい。
だが、こっちも勝手に決めつけられるのは気分が悪い。
「もし運命の番が現れても、俺は沖くんを選ぶよ。」
「ハハッ、あいつの4番目の元カレもお前と同じこと言ってたな。でも、結局は蘭丸を捨てた。」
勇士が一歩また一歩と俺に近づいてくる。
俺はそれを真正面から受け止めた。
ここで一歩でも後ろに下がったら、俺は勇士に負ける。なぜかそんな気がした。
「お前は出会ったことがないからそんな簡単に言えんだよ。
俺だって蘭丸のこと大切に思ってた。愛してたし、大学卒業したら結婚して、首噛んで、一生俺のものにしようって思ってたよ。
でもあいつ、、、恵を見つけた瞬間、蘭丸のことなんかカケラも意識の中になかった。恵の首に噛みつきたいってそればっか。
蘭丸がそんな俺のことどんな顔して見てたか、全く記憶にねえんだよ。」
「ちょっと待て。沖くんと一緒のときに運命の番に会ったのか?沖くんの目の前で運命の番を選んだってことか?」
驚いた・・・・し、胸が痛んだ。
恋人を目の前で運命の番に取られるなんて・・・・、
沖くんが元カレたちとどうやって別れたかなんてちっとも意識していなかった。
「・・・・そうだよ。蘭丸さぁ、その時泣いたんだよ。いつも俺に尽くすばっかでもっとわがまま言えよって思ってたのに、『俺のこと捨てないで。』って泣く蘭丸の唯一のわがままを俺は拒んだ。
恵との仲を裂こうとして苛つきさえしたし、俺のことが本当に好きなら運命の番と出会えたことを祝えるだろ、ってバカなことまで言った。
まじで、あの時の蘭丸の顔が未だに夢に出てくんだよ。
なんであんな酷いこと言ったんだって今でも自分を殺したくなる。」
頭を抱えて髪を掻きむしる勇士を前に、俺は呆然としてしまう。
その時の沖くんを想像すると胸が痛くて苦しい。
彼はその時どんな気持ちだった?
運命の番に会いたいなんていう俺と、どんな気持ちで今まで付き合ってた?
・・・・あぁ、バカは俺もだ。
俺たちの間には恋愛感情がないから、沖くんにとっても別に平気なことだと思ってた。
そんなわけないのに・・・・。
勇士の話を聞くまでは、置いてけぼりにされる側の気持ちなんて考えたことがなかった。
だって、運命の番に出会えることは奇跡に近い素晴らしいことなんだから。
でも、運命の番なんて沖くんにとったら、自分から恋人を奪っていくただの浮気相手にすぎないだろう。
多分、俺も今までの恋人に運命の番が現れたら「よかったね」って素直に祝福できたと思う。
でも、それが本当に好きな相手なら?
それがもし、、、沖くんだったら?
考えただけでも、全身の毛が逆立つような不快感に襲われた。
「なんで・・・・なんで、そこまでして結ばれた運命の番と別れた?」
「あんなの、一過性のものだ。運命の番の匂いなんて三ヶ月もすれば慣れるし、遺伝的に相性がいいってだけで性格が合うわけでもない。
頭が正常になってくると、だんだん自分の仕出かしたことのデカさに気付いてくる。
必死こいてやっと付き合ってもらったのに、大事にしてぇって思ってたのに、傷付けて・・・・。
だから次は間違えない。
お前があいつを幸せにできないなら、蘭丸は俺のものにする。」
勇士は泣いていた。
未だに勇士の沖くんへの執着心は衰えていないのだろう。
それはアルファの特性だ。自分のモノと決めたら決して諦めない。
俺は今までその特性は自分には当てはまらないと思ってたけど、勇士の気持ちが今なら分かる。
だって俺も今、きっと勇士と同じことを考えているから。
沖くんは、絶対渡さない。
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
夢の中の告白
万里
BL
バレー部のムードメーカーで、クラスのどこにいても笑い声の中心にいる駆(かける)。好奇心と高いコミュニケーション能力を持つ彼は、誰とでもすぐに打ち解けるが、唯一、澪(れい)にだけは、いつも「暑苦しい」「触んな」と冷たくあしらわれていた。
そんな二人の関係が、ある日の部活帰りに一変する。
あまりの疲れに電車で寝落ちした駆の耳元で、澪が消え入りそうな声で零した「告白」。
「……好きだよ、駆」
それは、夢か現(うつつ)か判然としないほど甘く切ない響きだった。