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22 急にどうした?一ノ瀬さん
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「・・・・・・・・」
帰りの車の中、沈黙が車内に流れ続けている。
どうにも一ノ瀬さんの様子がおかしい・・・・。
勇士くんと薪を取りに行ってから、元気がない。
真っ直ぐ前を向いて運転している一ノ瀬さんをちらりと盗み見る。
険しい表情の横顔に、とても僕から声をかけれる雰囲気ではない。
暫しの沈黙に耐えていると、
「沖くん、この後寄りたいところがあるんだけど。」
「えっ、あっ、はい。大丈夫です。」
突然放たれた硬い声になんとか返事をする。
またまた流れた気まずい沈黙に耐えること二時間、それは目的地に着くまで続いた。
「あの、、、ここって・・・・。」
「俺の家。」
馬鹿みたいに口をポカンとして真上を見上げる。
高層すぎてテッペンが見えないマンションだ。
スタスタと入口に入っていく一ノ瀬さんに遅れないように着いていく。
僕一人だったら不審者と間違われて通報されるかもしれない。
それくらい場違い感が凄い。
にこやかに出迎えてくれるコンシェルジュさんにペコリとお辞儀を返し、自動ドアを抜けるとソファとかが置いてあるエントランスを抜ける。
綺麗なエレベーターに乗り込むと、一ノ瀬さんは迷うことなく45階を押した。
「す、すごいおうちですね・・・・。」
いや、あの商社に勤めてる人はみんな高給取りだ。
そんなことは分かっているのだが、流石に高給取りすぎやしないか?
「投資でたまたま当てたときに思い切って買ったんだ。」
やったことないけど、たまたま当たってこんなマンション買えるのだろうか・・・・?
管理費とかもすごい高そう。
貧乏丸出しの思考がお金の心配ばかりしていると、高性能エレベーターは静かに45階に到着した。
「わーー、凄い!!」
窓の外にはキラキラと都会の夜景が広がっていて、流れる車のテールランプが綺麗に線になって見える。
窓でっか!!朝眩しそう!!ガラスの掃除大変そう!!
素直に夜景だけを楽しめない庶民思考がまた顔をのぞかせる。
その証拠に指紋がつくのが怖くて窓には一切触っていない。
明るい室内はガラスによく映り、後ろから一ノ瀬さんがこちらに向かってくるのもよく見えた。
そのまま僕を背中から抱きしめて、肩に顔を埋める。
・・・・やばい。なにこれ?
今までこんな甘い雰囲気になったことなんてなかった。
せいぜい手を繋ぐか膝枕がやっとだ。
バクバクいってる心臓の鼓動を感じていると、一ノ瀬さんが少し顔を上げ、ガラス越しに目があった。
「沖くん、、、セックスしたい。」
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