27 / 48
27 体で分からせるタイプ
「でも、勇士の奴、沖くんのストーカーしてると思う。だから、家に帰るのは危険だよ。」
「はい?」
勇士くんが僕のストーカー?
あり得ない。勇士くんから復縁を迫られたことなんてないし、会ったのだって7年ぶりなんだから。
そもそも勇士くんには運命の番がいるのに、僕のストーカーなんてするはずがない。
「絶対にそれはない。」と一ノ瀬さんに自信たっぷりに言うと、彼はなぜか呆れたように大きなため息を吐いた。
「勇士のやつ、沖くんが勇士のあとに付き合った人についてもやけに詳しかったし、俺たちが形式上の恋人だっていうのも何故か知ってた。
多分だけど、沖くんの家に盗聴器かなんか仕掛けてあるんだと思う。」
いやいやいや、まさか、そんな、、、ね?
脳裏にあの手紙のことが浮かぶ。
いやいや、えっ?あれも勇士くんってこと?
いや、勇士くんのほうから僕を捨てたのにストーカーする意味ある?
それに僕の知ってる勇士くんはそんなことはしない。
やんちゃで男勝りな彼が僕の家のポストにコソコソ手紙入れて、盗聴なんかするかな?
「なんか心当たりある?」
一人脳内会議してるところに話しかけられて思わず、肩が震えた。
それで、一ノ瀬さんは僕に心当たりがあると確信したらしい。
渋る僕を引きずって、一ノ瀬さんは僕の家で証拠探しをすることに決めたらしい。
ラジオを使って探せるらしく、一ノ瀬さんは部屋中歩き回って何やらやっていた。
「盗聴器あった。」
「えっ?うそ!?」
本当にあると思っていなかったからかなり驚いた。
しかも4つも!!
ボールペン、マウス、コンセント、ぬいぐるみ
予期せぬことに呆然としてしまう。
「この手紙は?」
一ノ瀬さんが盗聴器のついでに見つけたらしい、手紙の束。
差出人不明の例のやつだ。
「・・・・えっ、あっ、、、数ヶ月前から届くようになって・・・・。」
「なんで俺に言わなかった?」
「えっ、だって手紙だけで特に実害もなかったし・・・・」
僕がそう言うと、ドンッという衝撃と共に視界が反転、、、気づけば一ノ瀬さんを見上げていた。
どうやら床に押し倒されたらしい。
両手を床に縫い付けられ、腹の上に乗られているため身動きが取れない。
というか状況がよく分からなくて、動いていいのかも分からない。
ポカンと一ノ瀬さんを見つめていると、冷たい目をした一ノ瀬さんが僕を見下ろす。
・・・・えっ、、、なんか怒ってる?
「あの・・・・」
「抵抗してみな。」
僕の言葉に被せるように一ノ瀬さんがそう言う。
初めて聞く冷たい声だった。
一ノ瀬さんの声はいつも柔らかくて優しいから。
怖い・・・・。
鋭い視線が僕に向けられる。
怖い、、、なんで怒ってるの?
いつもの一ノ瀬さんじゃないみたい。
腕に力を入れてみてもピクリとも動かせない。
手首はがっちりと一ノ瀬さんに固められていた。
「離してください。」
「・・・・・・・・。」
・・・・なんでっ
足は足先は動かせるのに、膝を曲げることができない。
一生懸命つま先で床を蹴るが滑るばかりで意味がない。
「やだっ!冗談はやめてください。離してっ!!」
まともに動かせるのは首だけという状況でイヤイヤと頭を振るが、一ノ瀬さんの押さえつける力は弛まなかった。
「ヒッ、なんでっ・・・・」
何にも言ってくれない一ノ瀬さんが怖くて、自由にならない体が怖くて、涙が目に溜まる。
一ノ瀬さんの冷たい視線から逃れるように、顔を逸らして目を瞑ると、頬に「チュッ」と柔らかい感触が落ちた。
「これで分かった?」
「・・・・・・・・えっ?」
目を開けて見上げた先には、緩く微笑む一ノ瀬さん。
その優しい表情に先程までの恐怖はどこかに飛んでいく。
「沖くんは本気を出したアルファには力で勝てない。
実害があってからじゃ遅いんだ。
だから、これからは俺に何でも言って?」
「・・・・はい。」
「ん。いい子」
手首から手が外され、代わりに頭を撫でられる。
ホッと安心したからか、撫でられる頭がやけに気持ちいい。
どっちかというと付き合う人たちには甘えられることが多かったので、こうやって甘やかされるのってあんまり経験ない。
怖がらせたのも一ノ瀬さんなのに、その恐怖を取っ払ってくれるのも一ノ瀬さんだ。
撫でられるのが気持ちよくて、思わず縋りつきたくなった。
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
夢の中の告白
万里
BL
バレー部のムードメーカーで、クラスのどこにいても笑い声の中心にいる駆(かける)。好奇心と高いコミュニケーション能力を持つ彼は、誰とでもすぐに打ち解けるが、唯一、澪(れい)にだけは、いつも「暑苦しい」「触んな」と冷たくあしらわれていた。
そんな二人の関係が、ある日の部活帰りに一変する。
あまりの疲れに電車で寝落ちした駆の耳元で、澪が消え入りそうな声で零した「告白」。
「……好きだよ、駆」
それは、夢か現(うつつ)か判然としないほど甘く切ない響きだった。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。