運命の番はこの世に3人いるらしい

さねうずる

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43 おかしな勇士くん


「やっぱり、、、蘭丸、正気に戻っちゃってんじゃん。薬切れちゃった?」

クスクス笑いながら、僕の頬を撫でるこの人は誰だろう。。。

俺様だけど明るくて人気者だった彼は今、僕を見て陰鬱に笑っている。


「薬、、、って。」

「思考力を低下させる薬。蘭丸を可愛い人形にしておくためのお薬だよ。」


あの夜・・・・あの倒れた日の夜から頭がぼんやりして、ところどころ記憶がない。
動くことも考えることも億劫で、時折、一ノ瀬さんのことを思い出して泣くばかり。

妊娠と一ノ瀬さんのことで精神が参っていたからだと思ってた。

まさか薬を使われてたなんて・・・・。

勇士くんは大手製薬会社の社長子息だ。それに製薬会社に勤めていると以前言っていた。
正常な頭で考えれば、働いてるはずの勇士くんがこんな島にいること自体おかしいことだ。


「なんでそんな・・・・。薬って、赤ちゃんに影響ないやつなんだよね⁉︎僕の赤ちゃんは大丈夫なの⁉︎」

「さあね。まだ臨床中の薬だから。別にダメだったらダメでまた俺との子を作ればいいじゃん。」

「そんな、、、。」


どうしよ・・・・。
そんな薬を何ヶ月も使われてたなんて、、、お腹の中の赤ちゃんが心配で足が震える。

どうしよう・・・・僕のせいだ。
僕が早く気づかなかったから、もし赤ちゃんに何かあったら・・・・。

心配で、苦しくて、申し訳なくて、涙が止まらない。
嗚咽を漏らして泣く僕を、勇士くんは優しく抱き締めてきた。


「あぁ、蘭丸、可哀想に。泣くなって。産まれたら産まれたで俺の子として大事に育てるし、ダメだったらまた新しいのを作ればいい。だから、心配しなくて大丈夫だ。」


まるで他人事みたいにヨシヨシと僕をあやしてくる。
こいつは誰だ・・・・。本当に人間なのか?

薬を使われていた僕は頭がおかしくなっていたかもしれないけど、勇士くんのほうがよっぽどおかしい。狂ってる。

怖くて体がガタガタと震える僕を、目の前の怪物は「こんなに震えて可哀想に。」とますますキツく抱き締めてきた。


怖い・・・・。離れなくちゃ・・・・。


「離して・・・・。」

「ん?なんで?」

「やだ。一ノ瀬さん・・・・助けて。」

「ハハッ、だからー、響は蘭丸のことなんかもう好きじゃないって。今頃、蘭丸のこと抱いてたベッドで恵のこと抱いてるよ。
あーぁ、蘭丸可哀想だなぁ。
誰も蘭丸のことなんか選ばない。
お前と一緒にいてくれる奴なんて俺ぐらいなんだぜ?」


毎日聞かされてた呪いの言葉に頭が支配されそうになる。

誰も僕なんか選ばない。
僕は一生独りなんだ。
可哀想。カワイソウ。


ギュッと目を瞑り、耳を塞ぐ。
聞きたくない。聞いちゃダメ。

その時、お腹がキュウと締め付けられる感じがした。

浅い呼吸を繰り返して、床に疼くまる。

痛い。どうしよ・・・・痛い。

あまりの痛さに息が詰まる。
拳を握り、痛みに耐えていると、急にズボンが水で濡れた。


「ハッ ハッ、、、痛いよぅ、、、。」


急に苦しがり出した僕を見て怯んだ勇士くんが、焦ったようにベルを鳴らした。


「どうしました⁉︎」


1分もしないうちに駆け付けてきた看護師さん。
床に疼くまる僕に気付いて駆け寄ってくる。

「きゅ、急に痛がり出した。」

僕の濡れたズボンを見て、車椅子を持ってくるよう看護師さんが指示を出す。

お腹を押されるような強い痛みに脂汗が滲む。

こんな痛いんだ。
さっきの人も叫ぶわけだ。


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