僕のフェロモンでアルファが和んでしまいます

さねうずる

文字の大きさ
10 / 59

みんなからのプレゼント


「ところで、そちらの方はどちら様でしょうか?」

一通り料理も食べ終わり、そろそろケーキでも切るか。というところでハルがイヴァンを見て言った。

「えっ?今更ですか?」
「というかハル、イヴァンのこと見たことなかったのか?」

かっこいい人が増えている。とは思ったけど、面識はない。
だが、ハルは中隊長様から彼の名前が出た瞬間目を剥いた。

「自己紹介が遅れてすまない。私はイヴァン•クロニクルだ。よろしく、ハル。」

ハルと変わらないくらいの上背だが、ハルより少しガタイがいい。
そして、なによりイヴァン様も他の3人に負けず劣らず男前だ。
爽やかさで言えば一番だろう。


「イ、イイ、イヴァン様!?ほ、本物ですか!?ほ、本物のイヴァン様が僕の目の前に……」

一瞬で耳まで真っ赤に染め上げたハルは蒸気でも噴き出すんじゃ無いかと心配になるほど茹でだこ状態だ。
しどろもどろとよく分からない動きをし、イヴァンの顔をちらちら見ては、さらに顔を赤くする。



「ハル、イヴァンのファンだって言ってただろ?せっかくだから呼んだんだ。俺からの誕生日プレゼントだな。」

ハルがあまりにいい反応をするので気をよくしたゼノウがニカっと笑う。


「あぁ、私もハルには会ってみたかったから図々しくもお邪魔させてもらった。
ゼノウから分けて貰った梅蜜茶が美味しくてな。君が漬けたものだと聞いたからお礼を言いたかったんだ。」


ゼノウはハルと目が合うと今度はバツが悪そうに頭を掻いた。

「悪い。俺だけあのお茶を飲むのはフェアじゃない気がしてイヴァンにも同じものをやったんだ。」

「あぁ、本当に美味しかったよ。今までで一番だな。

ハルは『クロニクルの騎士団物語』を読んでファンになってくれたのかな?」

「はい。僕のお気に入りの本です。図書館で何度も借りて読みました。後書きに主人公ヴァンの元になった人物が実在するって書いてあってずっと憧れてました。だから、ほ、本当に会えるなんて、イヴァン様、ゼノウ様もありがとうございます。」


未だかつてハルのこんなにキラキラ輝く少年のようや瞳を見たことがあっただろうか……。
いや、ない。ハルは基本物静かで表情もあまり崩さないので、笑った顔はかなりレアである。


「どういたしまして。」

「私のほうこそありがとう、ハル。
私の父は度を越した親バカでな。私をモデルにした小説を書くと聞いた時には気恥ずかしさから抵抗があったのだが……こうして好きだと言ってくれる人がいるというのは嬉しいものだな。」



イヴァンが持ってきてくれた新品の『クロニクルの騎士団物語』にサインをもらい、ハルはホクホク顔で本を抱えている。

次のプレゼントはオリバーからだ。装飾の綺麗な服と王都で有名な焼き菓子だ。
「レオの一件で服が一着ダメになったと聞いたので、新しいものを。あと菓子はフレッドからです。」

「フレッドさんが?仲直りしたんですか?」

「いや、まぁ、別に喧嘩していたわけではないので。
両親と折り合いが悪いからといって弟まで遠ざけるのは間違っていた、とハルと話していて思いました。
あの後、弟とも話をしまして……まぁ最近はよく会ったりもします。」

そう言うオリバーは照れながらも嬉しそうだ。

ハルもそんなオリバーを見て、思わず嬉しくなる。


「俺からはこれ……。イヴァンのサインには敵わないかもしれないけど。」


レオが差し出したプレゼント。
ハルは綺麗に包装されたそれを丁寧に開く。出てきたのは一冊の本だ。

「ブエナサン旅行記……」

「ハル、前にブエナサン王国に行ってみたい。って言ってたから。
今は取り敢えず本だけ。
時間ができたら一緒に旅行にでも行こうか。」


あんなちょっとしたハルとの会話を覚えていてくれるなんて・・・・。
昔から行ってみたかったって
話の流れで一度口に出しただけなのに。

黙りこくるハルの顔をレオは少し困った顔で覗き込んだ。


「違うやつのがよかったかな?」

まさかっ!ハルは首を横に振る。
取れてしまうんじゃ……と不安になる程ブンブン振る。

「僕、この本ずっと読んでみたかったから嬉しくて・・・・。
図書館には置いてないし、買うには高くて。
だから、すごく嬉しいです。
大事にします。」


ハルは思わず涙ぐんでいた。
しかも貴重な初版本。
王太子様が覚えていてくれただけでも充分嬉しいのに。

「借り物じゃない僕だけの本……」そう言って、ハルは本当に大事そうに本の表紙を優しく撫でた。


「僕、誕生日なんて祝ってもらったことなくて……別にそれを悲しいとも思ったことなかったんですけど。でも、誕生日を祝ってもらうってこんなに幸せなことなんですね。なんだか胸がいっぱいです。
僕なんかのためにありがとうございます。」

そう言って、ハルはみんなに向かって深く深くお辞儀をした。

「僕なんかじゃない。ハル だから・・・だよ。」

レオに優しく頭を撫でられたとき、ハルは自分が今どんな顔をしているのかすぐに分かった。
頬が熱い。
ハルの魔法でもその熱は下げることができなかった。

あなたにおすすめの小説

悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍
BL
異性間でも子どもが産まれにくくなった世界。 子どもは魔法の力を借りて同性間でも産めるようになったため、性別に関係なく結婚するようになった世界。 ファーマ王国のアレン=ファーメット公爵令息は、白銀に近い髪に真っ赤な瞳、真っ白な肌を持つ。 神秘的で美しい姿に王子に見初められた彼は公爵家の長男でありながら唯一の王子の婚約者に選ばれてしまった。どこに行くにも欠かせない大きな日傘。日に焼けると爛れてしまいかねない皮膚。 公爵家は両親とも黒髪黒目であるが、彼一人が色が違う。 それは彼が全てアルビノだったからなのに、成長した教養のない王子は、アレンを魔女扱いした上、聖女らしき男爵令嬢に現を抜かして婚約破棄の上スラム街に追放してしまう。 だが、王子は知らない。 アレンにも王位継承権があることを。 従者を一人連れてスラムに行ったアレンは、イケメンでスパダリな従者に溺愛されながらスラムを改革していって……!? *誤字報告ありがとうございます! *カエサル=プレート 修正しました。

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

王子殿下が恋した人は誰ですか

月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。 ――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。 「私の結婚相手は、彼しかいない」 一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。 仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。 「当たりが出るまで、抱いてみる」 優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。 ※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

僕の事を嫌いな騎士の一途すぎる最愛は…

BL
記憶喪失の中目覚めると、知らない騎士の家で寝ていた。だけど騎士は受けを酷く嫌っているらしい。 騎士×???

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。