僕のフェロモンでアルファが和んでしまいます

さねうずる

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みんなからのプレゼント


「ところで、そちらの方はどちら様でしょうか?」

一通り料理も食べ終わり、そろそろケーキでも切るか。というところでハルがイヴァンを見て言った。

「えっ?今更ですか?」
「というかハル、イヴァンのこと見たことなかったのか?」

かっこいい人が増えている。とは思ったけど、面識はない。
だが、ハルは中隊長様から彼の名前が出た瞬間目を剥いた。

「自己紹介が遅れてすまない。私はイヴァン•クロニクルだ。よろしく、ハル。」

ハルと変わらないくらいの上背だが、ハルより少しガタイがいい。
そして、なによりイヴァン様も他の3人に負けず劣らず男前だ。
爽やかさで言えば一番だろう。


「イ、イイ、イヴァン様!?ほ、本物ですか!?ほ、本物のイヴァン様が僕の目の前に……」

一瞬で耳まで真っ赤に染め上げたハルは蒸気でも噴き出すんじゃ無いかと心配になるほど茹でだこ状態だ。
しどろもどろとよく分からない動きをし、イヴァンの顔をちらちら見ては、さらに顔を赤くする。



「ハル、イヴァンのファンだって言ってただろ?せっかくだから呼んだんだ。俺からの誕生日プレゼントだな。」

ハルがあまりにいい反応をするので気をよくしたゼノウがニカっと笑う。


「あぁ、私もハルには会ってみたかったから図々しくもお邪魔させてもらった。
ゼノウから分けて貰った梅蜜茶が美味しくてな。君が漬けたものだと聞いたからお礼を言いたかったんだ。」


ゼノウはハルと目が合うと今度はバツが悪そうに頭を掻いた。

「悪い。俺だけあのお茶を飲むのはフェアじゃない気がしてイヴァンにも同じものをやったんだ。」

「あぁ、本当に美味しかったよ。今までで一番だな。

ハルは『クロニクルの騎士団物語』を読んでファンになってくれたのかな?」

「はい。僕のお気に入りの本です。図書館で何度も借りて読みました。後書きに主人公ヴァンの元になった人物が実在するって書いてあってずっと憧れてました。だから、ほ、本当に会えるなんて、イヴァン様、ゼノウ様もありがとうございます。」


未だかつてハルのこんなにキラキラ輝く少年のようや瞳を見たことがあっただろうか……。
いや、ない。ハルは基本物静かで表情もあまり崩さないので、笑った顔はかなりレアである。


「どういたしまして。」

「私のほうこそありがとう、ハル。
私の父は度を越した親バカでな。私をモデルにした小説を書くと聞いた時には気恥ずかしさから抵抗があったのだが……こうして好きだと言ってくれる人がいるというのは嬉しいものだな。」



イヴァンが持ってきてくれた新品の『クロニクルの騎士団物語』にサインをもらい、ハルはホクホク顔で本を抱えている。

次のプレゼントはオリバーからだ。装飾の綺麗な服と王都で有名な焼き菓子だ。
「レオの一件で服が一着ダメになったと聞いたので、新しいものを。あと菓子はフレッドからです。」

「フレッドさんが?仲直りしたんですか?」

「いや、まぁ、別に喧嘩していたわけではないので。
両親と折り合いが悪いからといって弟まで遠ざけるのは間違っていた、とハルと話していて思いました。
あの後、弟とも話をしまして……まぁ最近はよく会ったりもします。」

そう言うオリバーは照れながらも嬉しそうだ。

ハルもそんなオリバーを見て、思わず嬉しくなる。


「俺からはこれ……。イヴァンのサインには敵わないかもしれないけど。」


レオが差し出したプレゼント。
ハルは綺麗に包装されたそれを丁寧に開く。出てきたのは一冊の本だ。

「ブエナサン旅行記……」

「ハル、前にブエナサン王国に行ってみたい。って言ってたから。
今は取り敢えず本だけ。
時間ができたら一緒に旅行にでも行こうか。」


あんなちょっとしたハルとの会話を覚えていてくれるなんて・・・・。
昔から行ってみたかったって
話の流れで一度口に出しただけなのに。

黙りこくるハルの顔をレオは少し困った顔で覗き込んだ。


「違うやつのがよかったかな?」

まさかっ!ハルは首を横に振る。
取れてしまうんじゃ……と不安になる程ブンブン振る。

「僕、この本ずっと読んでみたかったから嬉しくて・・・・。
図書館には置いてないし、買うには高くて。
だから、すごく嬉しいです。
大事にします。」


ハルは思わず涙ぐんでいた。
しかも貴重な初版本。
王太子様が覚えていてくれただけでも充分嬉しいのに。

「借り物じゃない僕だけの本……」そう言って、ハルは本当に大事そうに本の表紙を優しく撫でた。


「僕、誕生日なんて祝ってもらったことなくて……別にそれを悲しいとも思ったことなかったんですけど。でも、誕生日を祝ってもらうってこんなに幸せなことなんですね。なんだか胸がいっぱいです。
僕なんかのためにありがとうございます。」

そう言って、ハルはみんなに向かって深く深くお辞儀をした。

「僕なんかじゃない。ハル だから・・・だよ。」

レオに優しく頭を撫でられたとき、ハルは自分が今どんな顔をしているのかすぐに分かった。
頬が熱い。
ハルの魔法でもその熱は下げることができなかった。

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