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レオの誕生日翌日(裏では)
レオの誕生日翌日、3人はサロンに集まっていた。
「…………疲れた。」
「だな。」「ですね。」
3人の疲労はレオの誕生日パーティーの準備というより名目上レオのお祝いのため来訪したリリアナ王国のリンダン王子が原因である。
彼はレオに相当惚れ込んでいるらしく四六時中引っ付いて離れないばかりか、その傍若無人ぶりで周りを振り回している。
レオの側近たちはみな疲弊していたが、誰よりレオが一番疲れた顔をしていた。
「今日はあの人をどうやって引き離してきたんです?」
「買い物がしたいというから商人を山ほど呼んだんだ。今頃あれこれ見てるんじゃないかな。」
オリバーに至っては既に名前を口にしたくないほどリンダンを苦手としていた。
レオもそれを知っているため苦笑いしている。
「いつリリアナ王国に帰るんだ?」
「どうかな?父上から正式に向こうの国王に断りの連絡を入れてもらってるんだけど、まだ返事が来ないらしいんだ。
多分来週中には知らせが届くと思うけど。
これがひと段落したらやっとハルに会えるよ。」
「あの人がいる間にハルを呼んでいることがバレたら何をされるか分かりませんからね。」
「そうだね。リンダンは少し過激はところがあるから。」
「少しか?この間なんか侍従が泣きながら部屋から出てきたぞ。俺の部下もリンダンの護衛中、熱い茶を掛けられて火傷したんだ。奴のは度を越している。」
部下を傷つけられて怒り心頭のゼノウは、眉根に皺を寄せてそう言い募る。
「ごめん。一緒にいる時はできるだけ目を離さないように気をつけてるんだけど。」
「いや、別にレオのせいってわけじゃ・・・・」
「そうですよ。一番の被害者はレオじゃないですか。最近だってよく眠れてないんじゃないですか?」
「・・・・最近、ハルからもらったタオルの匂いが薄くなってきたから。
それにリンダンは特にオメガのフェロモンが濃いから、どうしてもね。」
困ったように笑うレオの顔にはハルと出会ってから見かけなくなった隈が再び現れていた。
オメガの匂いが苦手なレオにはリンダンの強烈なオメガフェロモンは、近くにいて苦痛にさえ感じる。
たびたびハルのハンカチの匂いを嗅いで平常を保っていたが、匂いが薄くなりそれも難しい。
ハルに早く会いたい・・・・。
あの何とも形容し難いハルの甘やかなフェロモンの匂いが恋しい。
ハルと一夜を過ごしたとき、自分の中にあれ程狂おしい欲望があるなんて想像もしてなかった。
ハルのヒートを共に過ごせたことが嬉しかった。
だけど、乱暴に抱いてしまったことに対しての申し訳なさや罪悪感があり、ヒートの後は恥ずかしさや申し訳なさであまり会話らしい会話もできていない。
リンダンの件が片付いたら、ハルに番になって欲しいと頼むつもりだ。
あんな本能に任せた言葉ではなく、今度はうんとロマンチックにしよう。ハルが感動で泣いちゃうくらい・・・・。
レオは密かにほくそ笑んだ。
「そう言えば、昨日ハルがうちの屋敷に来た時、上着を忘れていったと父上が言っていたな。持ってこようか?」
レオもオリバーも驚いてゼノウを見る。
「なぜハルがヘンリクソン家にいたんです?」
「昨日、闘技場で体調崩したらしくて父上がうちで看病してたんだと。」
昨日ハルがいた……?
それに体調を崩したって・・・・。
「ハルは大丈夫なの?」
「あぁ、父上が言うには少し寝たらよくなったらしい。」
「そっか・・・・。それなら安心したよ。
それで?なんでハルは闘技場にいたの?」
「えっ?俺が呼んだからだが。知らなかったか?」
レオの黒い笑みに気付かずゼノウはあっけらかんと言う。察しのいいオリバーはとばっちりが来ないよう黙って空気に徹していた。
「ハルが来ているなんて俺は聞いてないよ?リンダンがいたからハルには敢えて声を掛けなかったんだ。そうじゃなかったら俺から声を掛けてるよ。」
「えっ!?あーーーー、すまん。
でも、ハルはヘンリンソン家の特別席に父上といたからリンダンにはバレてないと思うぞ。
下から見てたが、ハルも父上と話しながら楽しそうに観覧してた。アミーが雪の魔法使ってるときなんか目をキラキラさせて、手叩いて喜んでたな。
父上もハルのことえらく気に入ったらしくて嫁に貰おうかな?なんて冗談まで言ってたし。」
ハハッと笑うゼノウの言葉を受けて、レオの額に青筋が走る。
ゼノウの父、ゼリウスはゼノウが産まれた後すぐに妻と離縁した。ゼノウの母とは番契約を交わしていなかったにも関わらず、それ以来ずっと独身を貫いている。
社交界では難攻不落の騎士団長様などと有名だ。
本当に冗談なのだろうか。
ゼノウのさっぱりした物言いは彼の長所でもあるが、レオは今だけ違う感情を持った。
「でも俺に一声あってもよかったんじゃないかな?俺の誕生祝いの演舞だったわけだし。」
「悪かったって。てっきりオリバーがレオに伝えてるもんだと。」
結局お鉢が回ってきたオリバーは余計な一言を添えるゼノウに対し「チッ」と舌打ちをした。
「私だってゼノウが伝えてると思ってましたよ。それに私はあの人の我儘聞くので手一杯でしたし。
まぁ、ハルが楽しめたならよかったじゃないですか。」
「・・・・そうだね。ところでゼノウ、ハルの上着だけどいつ持ってきてもらえるかな?」
有無を言わせぬその笑顔にゼノウの頬は軽く引き攣る。
「今から帰ってモッテコヨウカ?」
「そう?悪いね。じゃあ、よろしく。」
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