僕のフェロモンでアルファが和んでしまいます

さねうずる

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俺の番になって?


「ハル・・・・ハル、こっち向いて。」

暫く黙っていたレオだが、シーツの下で微かに揺れるハルの肩に手を置く。
休ませてほしいと言う彼の言葉に一度は部屋を出ようと思ったが、何故か今ここで部屋を出たら永遠にハルを失うような気がした。

頑なに顔を出さないハルの、シーツを握りしめるその指の一本一本を丁寧に外しそっと捲った。

「・・・・泣いてるの?」

顔を見られないためか咄嗟に腕で顔を隠すハル。
一瞬見えたその顔は苦しそうに歪んでいて、音一つ立てず涙を零すその姿にレオの胸は締め付けられた。

「顔見せて?お願いだから一人で泣かないで?」

頑なに顔を隠すハルの髪に優しく指を通す。
少し癖のあるふわふわとした猫っ毛にさらに愛しさが募った。

「ハル……」

レオはハルの耳に唇を寄せる。
本当はもっとかっこよくロマンチックに決めたかったけど・・・・そんなことを惜しく思ってる余裕もない。

「怖かったよね・・・・。守ってあげられなくてごめん。」

そう言いながら、彼の腕を優しく外させると若草色の濡れた瞳と目が合う。
ぽろぽろ涙を溢すハルの頬を優しく包み込み、しっとり濡れたガーゼだらけの痛々しい頬を指でそっと撫でた。

「こんな情けない奴、嫌いになった?」

そんなことを聞く俺の顔はさぞや情けない顔をしているだろう。

彼は濡れた瞳を伏せ、ほんの少しだけ分かる程度に首を横に振った。

「す、好きな人がいるなら・・・・僕に優しくしないでください。」

「なんで?好きだから優しくしたいんだよ。俺が心を尽くしたいと思えるただ一人の人だから・・・・。」

レオの言葉に困惑したような表情を見せるハル。

こんなにあからさまにアプローチしてるのに、まだその相手が自分だと気付いていない。
鈍くて控えめで可愛いハル・・・・そういう君だからこそ俺は・・・・


「ハルを愛してる。

オメガだからでも、いい匂いがするからでもない。

優しくて可愛くて頑張り屋のハルだから愛してるんだ。」


溢れ出そうなほど想いを、ありきたりな言葉に乗せていく。

おかしいな。
スピーチは得意なはずなのに、ハルを前にすると気の利いた言葉一つ出てこない。
こんなカッコ悪い俺でも君は受け入れてくれるだろうか・・・・。

ハルはレオの言葉を聞くと途端に顔を歪ませた。

「・・・・嘘だ。」

「嘘じゃないよ。ハルには迷惑かもしれないけど。」

「嘘つき。だって・・・・だってあの時、僕のこと無視した。
リンダン様が来てから会ってもくれなかった・・・・。

だから・・・・諦めなきゃって・・・・
僕みたいなやつに勝ち目なんかある訳ないって・・・・
だからっ、僕・・・・」

大きな体を縮こめ、子供みたいに泣きじゃくるハルを優しく抱き寄せる。
レオのせいで泣いているのに縋るように体を預けてくれるハルに、レオは狂おしいほどの愛しさを感じた。

「うん。ごめん・・・・ごめんね、ハル。傷つけてごめん。ハルのこと守りたかったのに・・・・上手くできなくてごめん。本当はずっと会いたかったよ。会いたくて・・・・堪らなかった。」

レオはハルのこめかみに優しくキスを落とす。ハルを愛おしいと思う気持ちのかけらほどでもいいから伝わってほしい。

腕の中で少しだけ甘えるように擦り寄ってくるハルが可愛くて仕方ない。

「愛してる。
前、ハルに子供ができないから無理みたいなこと言っちゃったけど、子供ができなくったって構わない。ハルさえいればそれでいいんだ。

だから・・・・だから俺の番になって?」

ハルの顎を掬い、唇に「チュッ」とキスを落とす。
ほんのちょっとの血の味とハルのフェロモンの甘い甘い味がした。


「・・・・もいる。」
「ん?ハル、なに?」

「子供・・・・いる。」

「・・・・・・・・・・・・へっ?」

レオの今の顔はさぞや間抜けに見えるだろう。
でも、驚きすぎてそんなことを考えてる余裕もない。

「こ、子供って、ハルと・・・・俺の子?」

素っ頓狂な声を上げるレオに、真っ赤な顔でコクリと頷くハル。
レオはそれを呆然と眺めていたが、そのうちムクムクと喜びが湧き上がってきた。

「ほんとに?ハル、子供できたの??ほんとのほんと??」

「ほんとです。喜んで・・・・くれますか?」

「決まってる!!最高の気分だよ!!ここにハルと俺の子が・・・・嬉しいなぁ。早く会いたいよ」

ハルのお腹を愛し気に撫でながら、レオはニコニコと破顔した。

そのレオの様子にハルも嬉しさが込み上げてきて思わず泣き笑いしてしまう。

「さっきの答えですけど・・・・僕でよければ、王太子様の番にしてください。」

「レオ。レオって呼んで?」

「・・・・レオ様、愛してます。」

「俺も・・・・ハルの特殊フェロモン超えて発情しちゃうほど愛してるよ。」

互いに求め尽くすように唇を合わせる。
舌を絡ませ、何度も角度を変えて重ね合わせる。

お互いの甘い唾液を味わいながら、部屋には長い時間、口づけの艶っぽい音が響いていた――――――。

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