強面騎士団長、異世界ギャルを嫁にもらう

さねうずる

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変な噂

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「おい、聞いたか?ランゲ団長の噂」

騎士団の訓練が終わりシャワーを浴びていると、隣で同じくシャワーを浴びていた同僚がそう声をかけてきた。

「噂って?」

頭をガシガシ拭きながら聞き返すと、同僚は申し訳程度に声を顰める。

ってこれ、デジャヴじゃねえか。

「この間、とんでもない美人とデートしてたらしいぞ。」

「はぁ?だって一ヶ月前に異世界の化け物女と結婚したって言ってたじゃねえか。」


「どうやら異世界女の容姿に耐えられなくて、外で浮気相手とよろしくしてるらしい。」

「……あのランゲ団長がかよ。」

ランゲ団長は般若のように恐ろしいが正義に背かない人だと思っていたから……かなりガッカリだ。
そしてあのランゲ団長ですら、浮気に走らせるほどの異世界女の容姿…………気になる。

みんなもそう思ってるのか、険しい顔をして話を聞いていた。





*+*+*+*+*+


「おいアレク、お前新婚早々浮気してるんだってw?」
 
「何の話だ……。」

三ヶ月に一度の騎士団総本部会議に出席するため、廊下を歩いていると、後ろからもう一つ足音が聞こえて来る。
ポンと肩を叩いてきたのは、ヴォルフだ。
同じ騎士団長の地位なので、いつも気安く話し掛けてくる。

「嫁を家に残して、すっげー美人と宜しくやってるって噂になってんぞ。」

「ハッ、馬鹿馬鹿しい。」

「だよなぁ~、アレクが結婚したってだけでも驚きなのに浮気までしてたら笑うわ。」

「……婚姻関係にない男女を同居させるわけにいかないと文官のジジイどもが騒ぐから、形式上しただけだ。」

「えー、でも、かなり強烈な見た目の女だって聞いたぞ。
お前よく娶ったな。
聖女様ならともかくよぉ。
昨日聖女様とお目通りしたんだが、ありゃ美人だな。黒髪ってのがやっぱいいよな。この国にはいねえしよ。」

椿の印象が強烈すぎて、正直聖女の顔を覚えていない。
が……、レオーンにひっついてメソメソしていたのだけは覚えている。
終始アホ面でポカンとしてた椿と違い、あれはかなり計算高い女だ。

その時の椿のアホ面を思い出し、つい口元が緩んでしまう。
椿に言ったら、「アホ面とかまじヒドいからっ」と言って肩パンしてきそうだ。
まぁ、全然痛くも痒くもないパンチだが。


「おい……アレク、お前まさか聖女様に惚れてんのか⁉︎お前のそんな顔初めて見たぞ‼︎てか、恐っ。お前笑うと更に顔恐いな。」

「馬鹿なことばかり言ってると、会議に遅れる。」

「あっ、待て待て。本題はそこじゃねえんだ。」

そこからのヴォルフの話によると、騎士団のトップ …司令官長殿であるベルナルド様主催のパーティーに出席しなければならないらしい。
……夫婦で。

毎年一年の終わりに開かれるそのパーティーは暗黙の了解で武官の上層部全員参加となっている。
しかし、俺の隊は毎年警備担当を志願していたので、ドアの前に張り付くことはあっても参加者として会場入りしたことはなかった。

今年は結婚したことによって出席せざるを得ない状況らしい。

「はぁー……分かった。」

「あっ、あと聖女のお披露目も兼ねるから、王族と文官どもも来るってよ。
かなり格式高くなるから、ダンスとマナーのおさらいでもしとけ。」

「チッ、めんどうな。」

椿の話し方と所作では完璧にアウトだ。
あと、あいつダンスは踊れるのか?
…………多分無理だな。
面倒だが教師をつけたほうがいいだろう。

くそっ、一ヶ月ではとても間に合わん。

「まっ、今回は俺んとこが警備担当だからお前は頑張れよっ!」


俺は完全に他人事として捉えているヴォルフを睨め付けた。

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