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聖女パニック
しおりを挟む暫くアッくんにギュッとしてもらって落ち着いた頃に体を離す。
「……それで椿に大事な話がある。」
「ん。なに?」
「お前は聖女だ。」
「……ん?なに?もっかい言って?」
「お前が本当の聖女だ。」
「ん?ん?何言ってるかちょっと分からない。」
アッくんあたしの心配しすぎて頭イカれたかな?
「聖女の特徴は黒髪黒目だ。
お前は最初目の色が灰色がかっていたし、髪色も違う。だから、もう一人が聖女だと俺たちは勘違いした。」
自分の髪を触って確かめるとピンクの毛先が視界に入る。
「お前……地毛は黒だろ。上の方は暗めの茶色だから分かり辛いが。」
確かにここに来てから3ヶ月経ち、染め直していないため根本に黒色が出てきている。
確かにあたしは黒髪黒目の純日本人で間違いない。
最近アッくんがやたらと出掛ける時、フードか帽子を被れとしつこかったのは髪色を隠すためだったのだと漸く気づく。
「まじ……?もしあたしが聖女だったらどうなるの?てか聖女ってそもそも何するの?王宮住まないといけないの?あたしアッくんとここにいたい。」
色々な想像が頭を駆け巡る。
一番最悪なのは、アッくんと離されるやつだ。
「……お前はここでいいのか?王宮に行けば今より贅沢できるし、望めば次の王妃にもなれると思う。
俺は……ほんとはもっと早くに椿が聖女だと気付いていた。
気付いたうえで黙っていたんだ……。」
少しだけ顔を歪ませたアッくん……それでもあたしから目は離さない。
何を言われても受け止めるという信念を感じる強い眼差しだった。
「別に貧乏でもあばら屋暮らしでもアッくんと一緒ならなんでもいいよ。
王妃になんかなりたくないし、宝石も綺麗なドレスも欲しくない。
ここでアッくんと一緒に暮らして行きたいよ。」
あたしがそう言い切ると、アッくんは「はぁー」と溜息を吐き、頭をガシガシと掻きむしった。
「……お前はバカだな。…………でもバカでよかった。王太子より俺がいいなんて言うのお前くらいだしな。」
「みんな見る目ないからね。」
アッくんは少し笑うと、愛おしそうに抱きしめてくれる。
あたしも大きな体に腕を回してぎゅーって力一杯抱きしめ返した。
あー幸せ……。
聖女とかよく分からないけど、このままずっとずっとこうしていたい……。
なんて思ってたら、背中を撫でていたアッくんの手が怪しい動きを始めた……ので体を離す。
いつものニヒルな笑みを浮かべたアッくんに顎を掬われて、濃厚なキスが降ってくる。
「んっ……もう。せっかくいい雰囲気だったのに‼︎」
「いい雰囲気だからだろ?口で愛を確かめあったあとは体でも確かめないと……な?」
「もうっ、あたしはもっとギュッて……ちょっ、服の中に手入れちゃダメっ。
ん……//もうまだ話のとちゅ……あっ、だってば//」
「いいぜ?話せよ。」
キスが段々下へと降りてきて、体をベッドに押し倒される。
話させる気ないじゃん‼︎
「んっ。もう手止めて……くれないとっ……話せないってばぁ」
「それじゃ、話は後な。お前はこっちに集中してろ。」
「あっ、アッくん……そこダメっ」
いつものごとくまんまと美味しく食べられてしまった…………。
けど、あたしもなんか盛り上がっていつもより感じちゃったし、文句言えないのが悔しい……。
アッくんの野獣め。
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