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第18話 状況確認②

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アリスにもう少し詳しく状況を聞いておく。

「通貨はどんな感じなんだ?」
「はい、通貨は統一通貨でゴルドと言います。1ゴルドはソウシ様の居られた世界での100円程度に相当します。1ゴルドが銅貨1枚、100枚で銀貨1枚、10000枚で金貨1枚となっております。その上にプラチナ金貨と言う金貨100枚相当の貨幣がございますが、大口や特殊な取引にのみ使われ一般流通はしておりません。」

金貨1枚100万円とか分かり易くていいな。俺達にはあまり必要ではないが、現地人であるエルリーナにはタダ働きはさせないよ。

「ギルドや組合なんかはあるのか?」
「はい、商工組合と冒険者ギルドがございます。商工組合は商人、鍛冶、大工、魔道具、等、部門ごとに細部化されております。冒険者ギルドはいわゆるなんでも屋で冒険者にはランクがございます。魔物ハンター、護衛や傭兵など、お抱えの兵士以外の戦闘職はだいたいここに所属しております。その他非公式に闇ギルドがあり、人身売買、強盗、殺人等あらゆる犯罪を斡旋しております。」

商工組合はだいたい想像はつくが、冒険者ギルドは異世界ならではだな、後で覗いてみるか。しかし犯罪がある限り地下組織ってのはどこにでも沸くものだな。

「ところで魔石とは何だ?何に使う?」
「はい、魔石とは魔力結晶の事で、魔素が強い所には鉱物として自然発生しており採掘されております。また、魔物の体内に存在し魔石があるかないかで魔物かそうでないか判断されます。用途は魔道具をはじめとして各種動力源となっております。」

エネルギー資源として自然に産出するのか、石油みたいなものだな。

「宗教関係はどうなっている?」
宗教は中央山脈北部に総本山を構えるゴルドステ教なる邪教が蔓延っております。後は少数の精霊信仰等の土着信仰です。」
「邪教確定なのか?」

「はい、かの邪教はゴルドを教団に喜捨すればするほど神のおわす極楽天国なるところに行けると、教団に都合よく嘘八百を教義で説いておりまして、帝国の国教でもあり貴族と結託して餓死者が出るほど民から搾取しております。また戦災孤児などを教団の孤児院に引き取っては、見目麗しい少年少女を教団幹部の慰み者にし、その他の者は虐め殺したり奴隷に売り飛ばしたりしておりとても悪辣です。」
「民衆はそんなのに唯々諾々としているのか?」

「はい、貴族が後ろについていて逆らうと処罰されることと、教団の聖女が各地を巡回していて、怪しげな薬を勿体ぶって霊薬と称してばらまいており、それを飲むと皆聖女の言いなりになるようです。」
「まさに絵に描いたような邪教集団だな。」
「はい。」

エリス様の言っていた荒廃した世界と言うのはこの事か。それにしても怪しすぎる薬だな、調べておくか。

「ダイヤ、居るか?」
「・・はぃここに。」
「その聖女とやらを探し居場所を捕捉し、件の薬を入手して来てくれ。」
「・・ソウシ様。・・承知。」

ダイヤモンドは煙のように現れて、透明化してスッと俺の前から消えて行った。まさしく忍だ、クノイチかっこかわいい。

さて、それでは診療所に行くか。
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