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第35話 ダークエルフの里へ、途中商人が襲われていた③

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「娘の怪我までなおしてもろて、ほんまありがとさんですわ。」
「それでこれからどうするんだ?エリス神殿街に向かうのか?」
「いや、馬車はまあ無事でしたんやけど、馬がやられてしもてな。馬を調達するんにダークエルフの里に一旦戻りたいんやけど、どないしまひょ。」
「ウチの馬車で牽引して、ダークエルフの里に行くくらいなら可能だが。」
「じゃあすんませんけど、お言葉に甘えさせてもろてよろしいでっか?」
「アメシスト、アクアマリン、話は聞いたな?牽引の手配だ。」
「「畏まりました。ソウシ様。」」

アメシストとアクアマリンは、テキパキと商人の幌馬車をかぼちゃの馬車の後ろに連結している。

「ところでだんさん、そのオークはどないしはりますのん?」
「オークだったのかこれ?豚獣人じゃなくて?」
「さいです、そこに魔石転がっとりますやん。」
「そうかこれはオークなのか。腐ったらバッチいし燃やしとくか。アメシ・・」
「ちょちょ、まっとくんなはれ。燃やしてしまうなんてもったいないことせんといてや。」
「いや、こんなばばっちい豚なんか俺いらないし。ほっとけば疫病流行るから燃やすのがベストだろう。」

アキンドが手揉みすりすりで寄ってきた。

「えへへっ。だんさん一つ相談なんやけど、いらないならこのオーク達、ワテてにくださりまへんか?」
「あなた!厚かまし過ぎますよ。」
「あつかやしー。」
「なに眠たいこと言うとんねん、こんなお宝目の前で燃やすの指くわえてみとったら商売の神さんに叱られまんがな。お天道さんが許してもワテがゆるしまへんでぇ。」
「俺は別にかまいませんよ奥さん。お好きなだけどうぞ。残りは燃やしますので。」
「だんさんほんま良い人やなあ、ありがとさんどす。」

サカイアキンドどか言う怪しげな関西弁をあやつる商人は、ホクホク顔でオークどもの死体を自分の幌馬車に積み込んでいる。いやまったく商人の鏡だね。

俺達は手伝わんよ、あんなきったねえ豚、俺の大事なかわいいドールに指一本触れさせん。

「ソウシ様、私が異空・・。」
「シーッ!」
「アリスはいい子だけど、あの豚野郎だけはダメだ、絶対に嫌だ。」
「うふふ。はい、ソウシ様。」

アリスを撫でていると、どうやら詰め込み終わったようだ。行くか。

「だんさん、オーク10匹詰め込みましたんやけど、ギュウギュウでカミさんたちが乗るところがあらしまへん。どないしまひょ?」
「ならウチの馬車に乗ればいい、後2人までなら乗れるから。あんたは豚の見張りに御者席にでも居ればいいだろ。」
「何から何までありがとうございます。」
「こおかぼちゃー、きえいー。」

そして俺たちはダークエルフ里に向かったのだった。
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