「完結」ゾンビと片腕少女はどのように死んだのか特殊部隊員は語る

leon

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第二章 生存者たち

第十三話 全滅

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前回のゾンビ襲撃から数日、立て直したばかりの拠点は再び静寂に包まれている。自衛隊員約25名と生存者7名が残り、バリケードは補強されたが、俺の胸には不安が渦巻く。前回の群れを退けたとはいえ、北西方向の脅威が消えた保証はない。詩織やスーパーの仲間を救うため、この部隊との連携が不可欠だ。俺は89式を手に、田島に近づく。

田島が肩の包帯を押さえ、「お前、また出るのか?」と問う。顔に深い疲労が刻まれている。

「北西をもう一度確認する。前回の群れが最後とは思えない。」俺が地図を手に、北西を指す。「何か見逃してるかもしれない。」

田島が目を細める。「危険だぞ。だが、お前がそう言うなら止めない。気をつけろ。」彼が鉄パイプを手に持つ。

「すぐ戻る。」俺が89式を肩に掛け、ナイフを腰に確認する。キャンプを出て、北西の森へ向かう。風が冷たく、木々が不気味に揺れる。


森を抜け、山の斜面を登る。夕陽が沈み、闇が広がる中、俺は双眼鏡を手に谷間を見下ろす。すると、視界に異様な光景が飛び込む。ゾンビの群れだ。数百体、数え切れないほどの黒い影が蠢いている。通常種が大半だが、変異種が20体以上混じる。北西方向からキャンプへ向かうように動いている。前回の50体とは比べ物にならない規模だ。

「何だ、これは…」俺が呟く。心臓が締め付けられる。キャンプの補強も、この数には無意味だ。せっかく見つけた部隊、詩織やスーパーとの未来が、この群れに飲み込まれる。俺は急いでキャンプへ戻る。足が震え、汗が冷たく流れる。

キャンプに着く頃、夜が深まっていた。俺が田島に駆け寄り、「群れだ。数百体だ。今すぐ準備しろ」と告げる。声が震える。

田島が顔を強張らせる。「数百体?冗談だろ…」彼が自衛隊員に叫ぶ。「全員、武装しろ!ゾンビが来る、数百体だ!」キャンプが混乱に包まれる。自衛隊員が銃を手に、生存者が鉄パイプや棒を握る。だが、皆の顔に絶望が広がる。


うなり声が近づき、北西の闇からゾンビの群れが現れる。数百体の黒い波がキャンプに押し寄せる。通常種が無数にうごめき、変異種が鋭い爪を振り上げる。田島が叫ぶ。「撃て、撃ちまくれ!」自衛隊員が一斉に発砲し、銃声が響くが、ゾンビの数が多すぎて効果は薄い。

俺が89式を構え、変異種1体の頭を撃つ。倒れるが、次から次へとゾンビが押し寄せる。バリケードが一瞬で崩れ、鉄板がひしゃげる。生存者が棒で応戦するが、1人が通常種に埋もれ、肉が引き裂かれる音が響く。俺がナイフでゾンビの首を刺すが、群れが止まらない。

変異種10体がキャンプ内に突入。自衛隊員が迎え撃つが、1秒で3人が倒される。首が飛び、血が噴き出す。俺がナイフで変異種の背を刺し、頭を撃つが、別の変異種が自衛隊員を次々と屠る。田島が鉄パイプでゾンビを叩くが、変異種に腹を刺され、血を吐いて崩れる。「逃げ…ろ…」と呻き、息絶える。

ゾンビがテントを踏み潰し、生存者が逃げ惑う。子供を抱いた女性が変異種に引き倒され、2人とも肉塊と化す。俺が89式で変異種2体を撃つが、弾が尽きる。自衛隊員は10名以下に減り、生存者は全滅。キャンプは血と死体に埋もれる。

ゾンビがキャンプを蹂躙する。数百体の群れが全てを飲み込む。焚き火が倒れ、炎がテントに燃え移る。俺がナイフで通常種3体を刺すが、変異種が背後から襲う。爪が肩を切り裂き、俺が横に飛び、ナイフを投げて目に刺す。近づき、首を切り裂くが、別の変異種が俺を地面に押し倒す。爪が胸を切り、血が流れ、俺がナイフで腹を刺して蹴り飛ばす。

立ち上がるが、キャンプは壊滅だ。自衛隊員は全滅し、俺以外誰も生きていない。変異種が20体以上、通常種が数百体残る。炎がキャンプを包み、煙が視界を遮る。「せっかく見つけた部隊が…こんな…」と呟く。詩織、美奈子、スーパーの仲間が頭をよぎるが、全てが無に帰した。絶望が全身を支配する。田島の死体、子供の血、燃えるテント。希望は灰と化した。

ゾンビが俺を囲む。変異種が飛びかかり、俺がナイフで首を刺すが、別のゾンビが背後から腕を掴む。爪が肩に食い込み、俺がナイフで腕を切り落とし、振りほどく。だが、数が多すぎる。数百体のうなり声が耳を劈く。俺は立ち尽くし、力が抜ける。「何も…守れなかった…」と呟く。涙が溢れるが、拭う気力もない。

ゾンビが俺を包囲する。俺がナイフで変異種1体の首を刺し、通常種2体を切り裂くが、無意味だ。炎がキャンプを飲み込み、煙が肺を焼く。俺が咳き込みながら、木々の中へ逃げる。ゾンビが追うが、俺は走るしかない。振り返ると、キャンプは炎とゾンビの海だ。田島の死体、自衛隊員の残骸、生存者の血。全てが失われた。

「詩織…美奈子…すまない…俺は何もできなかった…」と呟き、俺は闇の中を走る。ゾンビのうなり声が背後で響き、絶望が俺を追い詰める。せっかく見つけた部隊が一瞬で消え、希望は完全に潰えた。俺の足音だけが虚しく響く。
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