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顔合わせ

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「やぁボーイ。君が私の護衛を担ってくれる冒険者かい? 」

扉を開いてそうそう、顔を合わせるなり髪をかきあげながら言う目の前の男に、早くも扉を閉めて引き返してしまいたい衝動に駆られた。

なんと言うキャラの香ばしさだろうか。

「え、えぇ」

思わず、苦笑いで対応してしまう。どうやら、本能的に色々な意味での敗北を感じ取ったようだ。

「そうかいそうかい。私は護衛なんぞ必要ないと言ったのだがな、お父上がそうはいかぬとしつこいのだよ」

まぁ座りたまえと、そう言われた俺は男の前の椅子に腰掛ける。
そして、その後ろにはシャルロットが立って控えた。

「おや、そこのガールは座らないのかい?  」
「妾は主の配下故、横に座るなど恐れ多く不躾に値します」
「そうだったのか。失礼、ガール」

特に悪びれた様子もなくそう言うと、髪を大きなモーションでかき上げ、ドッサリと足を組み椅子に座った。
その大きな態度からは、己への自身が有り余っていることが見て取れる。

「ところで、ボーイの冒険者ランクはいくらだい? 」
「ついこの間、冒険者になったばかりです」
「という事は、Eか。そのようなもの、護衛になるのかい。ギルドマスター? 」

男は、俺の横に座っているギルドマスターに視線をむける。

「えぇ、実力はしかとこの目で見ておりますよ。なんせ、Bランクパーティーを瞬殺したのだから」
「ほぉう」

と言っても、それを行ったのはシャルロットであるが。
どうやらギルドマスターは、俺の実力を把握しているらしい。
俺をターゲットにしたのは、恐らく城に通ずる者がいるのだろう。

そうでなければ、俺なんかを監視するはずもない。

「であれば、私の護衛付きを承諾しようではないか。宜しく頼むよ、えーと……」
「ソウです」
「ソウボーイ」

何故ボーイを付けるのか。本当に、キャラが濃ゆい。

「貴方の名前は? 」
「私か? 私は、アンドリュー・アール。アール商会の後継者さ! 」

そう言って、また髪の毛をかき上げる。
それほどまでに髪が気になるのだろうか。

「それと、私のことはアンドリューと呼びたまえ。それに、敬語も不要だ」
「そうか、よろしくなアンドリュー」
「そちらのガールのお名前は? 」
「こっちはシャルロットだ」
「シャルロットガール。よろしく頼む」

シャルロットは、小さく頭を下げる。

こうして、依頼主――アンドリューとの顔合わせが終了した。
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