暴言クソ野郎に婚約を申し込まれている? らしいので、暴言を返すことにした

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
7 / 11

ああ、素晴らしい日々よ続け♪

しおりを挟む


 それから――――葬式があった後のように静かな数日を過ごした後。

 両親にも謝られたけど……なにに対する謝罪なのか、全く要領を得なかった。

 両親はわたしのことを、『ブス』や『不細工』だなんて思っていないそうで。わたしの幸せを願っているのだとか。

 まぁ、今更釈明されてもねぇ?

 お見合いの席で暴言を吐き続けていた彼を、暴言を掛けられて続けていたわたしを、怒りもせずに、微笑ましそうな顔で笑って見ていて?

 あのクソガキに嫁いで、わたしが幸せになれるとでも?

 本当、白々しい。

 当然ながら、お見合いの話は最初から無かったことになった。

 それと同時に、奴の家から丁寧な謝罪文と結構な慰謝料がわたし宛に届けられた。

「もっと早く、暴力を受けていたことを相談してくれれば、あの縁談を断ったのに」

 と、恨めしげな顔で両親に言われた。

 けれど、わたしは以前に彼のことを相談した。そのときの答えはこうだった。

「前にわたしが彼に怪我をさせられたと言ったときには、『お友達と仲がいいのはわかるけど、お転婆も程々になさい』って、そう言ったでしょう? まぁ、お父様とお母様が、わたしへの関心が薄いことはずっと前から判っていましたし。相談するだけ無駄だと気付きました」

「そんなことは……」

「それに、お父様とお母様は、わたしが馬鹿にされても笑って見ていましたが。もし、お兄様が馬鹿にされたら、同じように笑って見ていられましたか? もし、妹が馬鹿にされたら、笑って見ていましたか?」

 ばつの悪そうな顔で黙る二人。それが答えだ。

「お父様もお母様も、問題を起こさなければ、わたしのことなどどうでもいいのでしょう? そして、わたしの問題など、煩わしいだけなのでしょう? わたしのことなど、できれば構いたくないのでしょう? お父様とお母様にとって、『都合の良い子』じゃないわたしに、価値なんて無いのでしょう? わたしのことは今まで通り、放置してください。ああ、いえ……無視してくれても構いませんので」

 そう言うと、父親は絶句。母親は泣いた。

 それからのわたしは・・・家で腫物に触るような扱いをされるようになった。

 父も母も、ビクビクと怯えるような視線でわたしを窺う。兄と妹は、わたしの婚約が破談になったから両親が気を遣っているのだと思っているようだ。

 まぁ、そんなことどうでもいいけど。

 学園では――――

 あのお見合いの後から、嘘のように彼がわたしへ絡むことをやめた。

 偶に顔を合わせると、泣きそうな顔で、震える足でどこかへ向かう。

 自分はわたしに長年酷い言動を取って、間接的な暴力まで振るっていたクセに。あの、お見合いの席で、ほんの少しわたしが言い返しただけで、心が折れたらしい。

 どうやら、わたしのことがトラウマになったようだ。メンタル弱いな?

 まぁ、いい気味だと思うけど。

 結局、彼がわたしを好きだったのかは不明だ。彼の母親がそう言っていただけで、わたしは彼に暴言しか吐かれた覚えが無い。彼からの好意を感じた瞬間など、一度も無い。

 万が一、彼がわたしのことを好きで、照れ隠しとして暴言や酷い態度を取っていたとして、だ。自分に危害を加えてばかりの男を好きになるはずが無い。

 それにしても――――ウザ絡みをするクソガキがいない日々って、なんて平和で快適なのかしら♪

 ああ、素晴らしい日々よ続け♪

 ・・・とは思うけど、偶に視界に入る人達が不快だ。けれど、ここに暮らしていると、どうしても目に入ってしまう。わたしは、嫌いなモノとはなるべく関りたくないのに。

 ああでも、それなら・・・

 わたしの方が、どこかへ行こうかな?  慰謝料は、わたし個人の名義で銀行に預けてあるし。結構な額だけど、使う予定も無い。嫌な奴らのいない場所……そうだ、どうせなら外国にでも永住しようかしら?

 目の前でわたしへ暴言を吐き続けていたあのクソガキに、積極的にわたしを嫁がせようとした両親とは縁を切って・・・

 一人で、生きて行く。

 うん。いい考えかも♪

 一応わたしはまだ未成年で、親の庇護下にいないといけない。けれど、離れる手段が無いワケじゃない。ということで、まずは留学の準備かしら。

 両親はきっと聞いてくれるわよね? だって、『わたしの幸せを願っている』と言ったのだから。

 それじゃあ、早速学園に申し込みをして・・・

 持って行く大事な物と、要らないモノを選り分けなきゃ。もう、二度とこの家に帰るつもりは無いのだから――――

 ――おしまい――

__________


 というワケで、出奔エンドです。

 主人公両親は、主人公にポイされました。

 兄と妹は、主人公への態度次第で対応が変わるかな? まぁ、両親との仲を取り持とうとしたら、おそらくはその時点でスパッと切られるでしょうけど。

 なんだか、真ん中っ子の悲哀と逆襲的な話になっているかも? ですね。(笑)

 多分、こうやってストレスを溜め続けた真ん中っ子は、ある日突然爆発したように見えるんだろうなぁ……と、思いました。(  ̄- ̄)

 大人しくしているからと言って、なにも言わないからと言って、不平や不満が無いワケではない。けれど、言っても無駄だから言わないだけ。言う意味があるのなら、きっとバンバン喋るよなぁ、と。(*`艸´)

 この主人公は強かで適応力も高いので、留学をもぎ取ったら上手くやると思います。(*´∀`*)尸"

 途中、あのクソガキが主人公に罵倒されている場面で新しい扉が開いちゃったら、もしかしたらコメディーになったかも? なんて思っちゃいました。「も、もっと俺を罵倒してくださいっ!」とか言ってハァハァしたりとか?(笑)

 それだと、主人公が逃げ切れないかも。(((*≧艸≦)ププッ

 以上、最後まで読んでくださりありがとうございました♪(*´∇`*)

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました

miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。 婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。 お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。 ※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。 ※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

そんな事も分からないから婚約破棄になるんです。仕方無いですよね?

ノ木瀬 優
恋愛
事あるごとに人前で私を追及するリチャード殿下。 「私は何もしておりません! 信じてください!」 婚約者を信じられなかった者の末路は……

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?

恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢 この婚約破棄はどうなる? ザッ思いつき作品 恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。

処理中です...