最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

地下迷宮

僕達は玄関ホールに集まっていた。

そして騎士の一人が大声で話しかけた。

「悪天候のため本日はこのテレイヤ城に泊まる事とする。それで各自使う部屋を後で相談して決めるように。それとこの後、お前達に各部屋の掃除と、夕食の準備及び片付けをやって貰う。あともう一つ言っておく事がある。」

すると騎士は玄関ホールから、城の奥へと続いている左側の通路を指さした。

そして再び大声で話し始めた。

「この通路を進んだ先に、下の階への大きな階段があるが、絶対に下の階に行ってはならんぞ。」

気になって僕はその騎士に尋ねた。

「なぜ下の階に行っては駄目なんですか？」

その騎士が答えてくれた。

「それは地下の階層はとても入り組んでいるんだ。一旦迷うと二度と出てこれないかもしれない。」

僕は更に尋ねた。

「なんでそんなものがこの城の地下にあるんですか？」

騎士は引き続き、答えてくれた。

「この城を建てた貴族は少し変わった御仁でな。迷宮が好きだったらしい。それでこの城を建てる時に一緒に地下に迷宮を造ったらしい。まあそれは建前で、本当の所はこの城からの脱出口を敵から隠す為だと思うがな。」

敵が攻め込んできた時に、脱出口のカモフラージュの為か、確かに有りそうな話だ。

更に騎士が続けた。

「地下の階層はとても複雑で、地下迷宮と言ってもいいだろう。とても危険だから近づくなという事だ。分かったか？」

僕達ははい！と返事をした。

掃除をするチームと、夕食の準備のチームの二つに分かれる事になり、チーム分けが行われた。

僕は掃除をするチームとなった。

バルガスとオーエンは夕食を作るチームだ。

玄関ホールに備えられた時計は午後五時を指していた。

僕は玄関ホールから一番離れた部屋から、数えて四つの部屋を担当する事になった。

僕は早速部屋の扉を開けて、部屋の中に入る。

部屋はかなり広く大きな窓が二つあり、室内の壁は金箔をあしらった豪華な造りになっていた。

室内には高級そうなベッドやソファー以外にも、大きな鏡や絵画等が置かれていた。

早速部屋の中を片付け始めた。

室内はそれほど汚れていなかったので、掃除はすぐに終わった。

他の部屋も基本的には同じ造りで、それほど汚れていなかった。

午後六時過ぎには担当の部屋の掃除を終わらせた。

他の人達もそれほどかからなかったらしく、一緒に玄関ホールへと戻った。

そして午後七時になろうかという時に、夕食が出来上がったとバルガスが知らせに来てくれた。

僕達はそのまま食堂へと向かった。