最強勇者の物語

しまうま弁当

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2章 目を覚ましたらそこは異世界でした

終焉の魔女

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三人共黙ってうつ向いていた。

少しの沈黙が続いた。

一番先にティアが顔をあげた。

ティアが詠唱のような言葉を喋った。

「懐深き神々達よ、かの者をありし姿へと還したまえ、リラウ。」

更にローラとクロエも顔をあげると、ティアと同じ詠唱を始めた。

「懐深き神々達よ、かの者をありし姿へと還したまえ、リラウ。」

するとティアは剣を、クロエとローラは大きなナイフをどこからともなく出した。

更にクロエは別の詠唱を始めた。

「神々に愛されし守り手たちよ、縁と縁、心と心を結ばん、ハーティフ。」

そして詠唱を終えたクロエが僕を直視すると、喋り始めた。

「まさか私達の計画が看破されてしまうとは、こんな事は初めてですよ。」

僕はクロエに尋ねた。

「君達何も持って無かったのに、どこにその武器を隠し持っていたの?」

クロエが僕に視線を向けながら答えた。

「武器を隠し持つ事ができる魔法があるんです。それを事前にかけておいて、先ほどの魔法で解除しただけですよ。」

僕はクロエに言った。

「なるほどね。」

するとティアが僕に話かけてきた。

「いやー、でも終焉の魔女の作戦を見抜くなんて、勇者にしてはやるじゃん。前に来た奴なんて気づきもしてなかったよ。」

するとクロエがティアに話しかける。

「ちょっとティアその呼び名はやめてといつも言ってるでしょう。」

ティアはクロエに言った。

「なんでそんな嫌がるの?かっこいいと思うけどな。私なんて異名無いんだよ。羨ましいぐらいだし。」

僕はティアに尋ねた。

「ちょっと待ってティア、前に来た奴ってどういう事?」

ティアが僕に言った。

「前に来た奴の名前は確か安井良夫とか言ったかな。でそいつもあなたみたいに勇者だったの。自分から勇者ですって言ってくれたから、油断させてから殺したのよ。」

そこにローラが続けて僕に言った。

「そうそれで夜中なってから、外から催眠魔法を何度もかけてから、三人で中に入って、今私達が持ってるナイフでめった刺しにしたんだよ。」

あまりの事に僕は言葉を失った。

そんな惨たらしいことをこの子達がしたというのか?

ローラが僕に話してきた。

「あっ多和田さん、もしかして私達が地も涙も無い殺人者みたいに思ってないですか?」

僕はローラに言った。

「そりゃ思うよ、君達がそんなひどい殺し方をするなんて。」



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