惑星F冒険譚

伊藤テル

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【01 柿島譲(かきじま・ゆずる)】


・【01 柿島譲(かきじま・ゆずる)】


 人生はユーモアが無ければ生きていけない。
 それが俺の持論だ。
 実際の喋りは勿論、脳内でも俺はずっとボケ続けている(終わらない巻き寿司みたいな、嘘、ゴメン、食べ切れない恵方巻で最終調整入ってます)。
 そんな人間だったからか、俺はどんな時でも自分を保ち、ついにタイムリープする宇宙船の船長になることができた。
 でもそれは運の要素が大きく、二十五歳という脂が乗りつつも若さのある中で、一番優秀なのは誰だみたいなところだった。
 つまり二十五歳-1グランプリを制しただけみたいなところで(でも運も実力のうち)(スポーツ選手が引く笑み籤を制したんだよ)(何でいつもスポーツ選手が引くの?)。
 とは言え、俺もただの運の良い二十五歳じゃない。何故ならこれは国家、否、世界をあげた一大プロジェクトなのだから(一台プロジェクトなら、地下室に設置したデカいプロジェクターだよね)。
 要は日本一の二十五歳ではなくて、世界一の二十五歳といったところだ。それが俺(才能溢るる優秀な二十五歳過ぎてスマンね)。
 さて、その一大プロジェクトというのは銀河系の外にある、惑星Fという惑星には(FってファイトのFかな?)過去に膨大なレアメタルがあったという試算が出た。
 というわけでこのタイムリープする宇宙船に乗って惑星Fに行き(FってファイトマネーのFかな?)惑星に着き次第、過去にタイムリープしてそのレアメタルを採取しようじゃないか(そうだそうだ)(それがいいぞ!)(頑張れ!)(骨肉の争い!)ということらしい(骨肉の争いとは?)。
 ただしこの事業はなかなか上手くいかなかった。
 主にタイムリープ反対派が阻止していたのだ(ブロック崩しの絶対壊れないブロックって大体灰色ですよね)。
 まあ俺も理屈も思想も理解できるが、今はそれ以上に世界がもっと豊かになることが大切だと思うし、そのためにはやっぱりあのレアメタルは必要なわけで(レアメタルってカッコイイ言い方だよね、昔の人、名前決めた昔の人、マジサンキュー)。
 そのタイムリープ反対派とは別に、そもそもパラレルワールド論というものがあり、余計なことをすると違う世界、つまりパラレルワールドに行くことになるらしいが、活動する惑星が違うため、惑星Fでいくらタイムリープしても、俺たちの現在の地球は関係無いという試算も出た(要は俺らがどんなに惑星Fでタイムリープしてもパラレルワールドにはならず、地球にはそのままの地球に戻って来れるということらしい)(ボケない時もあるんだよね、これが俺の魔術)。
 さて、脳内で楽しい反芻も終えたところで、今日は一緒に旅するクルーとの顔合わせの日だ(顔見せ巡業)。
 一体どんな連中なのか、初っ端からボケてやろうかなと思いながら、顔を合わせる会議室に入っていった。
 するとそこには既に全員揃っていたみたいで、女子が三人……女子が三人? って! おい!
「譲! 私もメンバーに入ったんだよ!」
 なんと俺の幼馴染、関谷寧々がいたのだ。同じく二十五歳だ。というか多分他のメンバーもほとんど二十五歳だろう(二十五歳のリアリティーショー?)。
 いやいやでも、メカニック役は他の男子だったはず。でも関谷寧々は絶対にメカニックで。
 俺は訳が分からず、あわあわしていると(泡を口からじっくり出すイメージ)、白衣の恰好をした多分医者の女子が喋り出した。
「マジで世界政府もさ、ウチらのこと舐めてるよな。ナナロロよ」
 するとナナロロと呼ばれた黒い服の、何かスパイみたいなヤツがコクリと頷いてから、
「男二人が結託すると制圧されるから男一人の女三人に直前で変えるなんて。ボディガードとしてのわたしのことをなんだと思っているんだ」
 どうやら何かこの三人はもう状況が分かっているようで、俺は静かに席に着くと(マリオのドッスンが結婚報告に訪れたバージョンの優しい座り方)、寧々が、
「じゃあ譲にも説明するね!」
 と言ったところで医者の女子が少し不快そうに、
「勝手に仕切るなや」
「えっ! でも!」
 自分でボディガードと言ったナナロロも嫌悪感を示している。
 ここはあれだ、ボケるしかないな、と思って、
「まあま宴もたけなわですけども」
 と言ってみると、医者の女子が、
「何だよ、それ、そんなわけねぇだろ、ふざけんじゃねぇよ」
 と言ってきたので、俺は自信満々に、
「いいや人生はユーモアだ! 俺はどんな時もふざける!」
 と胸を張ると、医者の女子はハッと鼻で笑ってから、
「まあ思想は勝手だから勝手にしてろ」
 と言うと俺は満面の笑みで、
「優しいな! 医者女子!」
 と答えると、医者の女子はムッとしてから、
「リリ・ムーアな、リリでいい。医療のことは任せてほしい」
 と言ってくれて、さすが宇宙船に乗るクルーだけあって、基本的に常識人だなぁ、と思った(常識人の焼き魚定食・常識焼き魚定食だ)。
 ボディガードと名乗っていたナナロロは軽く挙手して、
「わたしはボディガードのナナロロだ。ハンドガンを扱う。まあ基本的には何も危険が無い旅らしいから、わたしが不要だな」
「だといいな!」
 と俺は返事をした。
 その次に寧々がビシッと学校のような挙手をして、
「私は関谷寧々(せきや・ねね)ね! メカニックで何でも作っちゃうからよろしくね!」
 最後に俺は会釈しながら立ち上がり、
「俺は柿島譲(かきじま・ゆずる)だ。船長でしかないのである意味一番無能だが、鍛えてはいるし、判断も悪くないと自負しています。二十五歳! よろしくお願い致します!」
 そう言って頭を下げると(二十五歳ということ押していこうかな)、リリが、
「判断が悪くない程度じゃダメだけどなっ」
 と笑った。
「善処します」
 と矢継ぎ早に答えると、リリが、
「しないヤツの言い回しじゃん」
 とすぐにツッコんでくれて、何だかんだでノリがいいなぁ、と思った(レゲエのリズムかもしれない)。
 (腹太鼓のリズムかもしれない)
 (腹太鼓というユーモア、面白過ぎるのなんなんだ)
 (喝だ、面白過ぎて喝だ)
 と考えたところで、リリが、
「何か余計なこと考えてるって顔だな、あんまスケベなこと考えないほうがいいぞ、今後のキャリアとしてもな」
 と言ってきたので、俺は今考えていたことをそのまま伝えると(腹太鼓のくだりは二割増しで)、リリは頬を人差し指で搔きながら、
「何か、悪かったな……全部言わせるようなことを言って……」
 と反省したような顔をしたので、俺はこう言うことにした。
「お笑いが発表できて良かったよ」
「オマエ、人格者なのかただの変人なのかどっちなんだよ」
「船長任せられるくらいの人格者で、変人なだけだよ。人生はユーモアが無ければ生きていけない! 二十五歳だ!」
「まあ勝手にしろよ、あんま押し付けるなよ」
 と言ったところで寧々が、
「譲くんは本当壁打ちボーイだから大丈夫だよね!」
 と言ったんだけども、今の俺としては、
「いや、他者にツッコんでほしい気持ちも今はある」
 と正直に、正面切って言うと、ナナロロが、
「わたしは面倒だと思う」
 矢継ぎ早にリリも、
「アタシも面倒だって思う派」
 と言ったところで寧々が、
「じゃあしょうがないねぇ! 幼馴染の私がいっぱいツッコんであげる!」
 と言ってくれたので、俺は心が踊り、
「じゃあ寧々が楽しめるようなボケをメインで頑張るよ!」
 と言うと、寧々が俺を見ながら、
「まず自分ファーストでボケなよ! ボケって!」
「ありがとう、寧々っ」
 俺は目頭が熱くなった(のり弁並に)。
 (いや腹太鼓ってユーモアが面白過ぎるのマジでなんなんだ)
 (あれ考えたヤツに殊勲賞あげたい)
 (国民栄誉賞はまだ早い)
 (ユーロビートの腹太鼓考えたヤツには国民栄誉賞なんだろうけどさ)
 (ユーロビートってちょっとダサくて面白いよな)
 (ユーロビートの軽度のダサさ、一体なんなんだ)
 そんなこんなで初対面式は終了して、それぞれのホテルの部屋へ戻った(足早に)。
 (そそくさと)
 (そそくさって言葉、ちょっとオシッコ我慢している感じがする)
 (股を大きく動かさないように歩いている感じがするというか)
 (目線は妙に先のほうを向いてさ、トイレのほうだけを向いている感じがする)
 (俺はもっと”そそくさ”って言うべきなんだと思う)
 (そそくさという言葉をもっと言うことにより、豊かになる人生もあると思う)
 (俺にはそれが足りていない可能性がある)
 (大事なことはもっと思考することだと思う)
 (思考っていこう)
 (思考っていこう、始皇帝)
 (思考っていこう、始皇帝、って言うだけの曲作ろうかな)
 (そういうテクノポップユニットやろうかな)
 (船長の任務が終わったら寧々を誘おうかな)
 (寧々はメカニックだからテクノポップくらい作れるだろ)
 (リリは医者だから尖ったMV作れるかもしれない、医者にはセンスというモノを感じるから)
 (ナナロロはボディガードだからボディガードができるだろうし、最高だな)
 (テクノポップグループ結成するかもしれない相手として接していこうかな)
 (何かテンション上がってきたな)
 (コンソメ飲もうっと)
 (二十五歳だから)
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