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【03 闇に引き込むあやかしとは】
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・【03 闇に引き込むあやかしとは】
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「まず第一に、七不思議を探ることはとても危険なことなんだべ」
「七不思議、やっぱり貴方は七不思議の壁のヤツなんだね!」
「まあそれはそうだべ、壁を増やす七不思議というのは僕のことだべ」
「というかそちら側も七不思議という意識を持っているんだね、これは参考になる」
私はメモ帳にこのことを書いていると、壁の七不思議である可能性の高い、その男子が、
「結構鋭いというか、そういうことを考えながら行動しているんだべね」
と言ってきたので、私はちょうどメモを書き終えたので、自信満々に胸を張りながら、
「そう! 私には高い理想があるから! そのためには完璧な自分でいるって決めたの!」
「それはとても立派だべね」
そう感心するように言ってくれたので、何だか嬉しかった。
この流れだと壁を作るイタズラみたいなことをやめてくれるかもしれない、そう思っていると、
「とは言え、七不思議を探ること、特に緋色さんが真っ先に行こうとしていた闇に引き込むあやかしは危険だからこれ以上詮索することは止めたほうがいいべ」
「闇に引き込むあやかしっ? やっぱりそういう存在がいるのっ? 勝手に周りがそう言っているんじゃなくて」
「そうだべ、実際にいるんだべ。そいつとは関わらないほうがいいべ。一人で敵うような相手じゃないべ」
「確かに一人だと心細いかもしれないなぁ、まずは仲間集めをしないとダメかも。じゃあ君、一緒に他の七不思議から解決しに行こう!」
私が力強く、そう言うと、男子は少し焦ったような声で、
「何でそうなるんだべっ」
「学校をみんな幸せの空間にしたいんだ! それが私の目標なんだ! そのためには七不思議なんてないほうがいいでしょ!」
「それを七不思議側のあやかしに言うって、変だべ」
「うん、変かもしれない。でも私は君と会話して君がただイタズラだけしているあやかし? あやかしには思えないんだ。本当にイタズラしたいだけなら、夜まで壁で閉じ込めていればいいだけだもん」
「だからそんな可哀想なことはできないべ」
と申し訳無さそうな声で言ったあやかしの男子に、私はもっと、巻き込むような感じに元気な声で、
「その考えが優しいんだって! そこがすごくいいよ! だから私の味方になって何かあったら壁で守ってよ!」
「壁で守る……べ……」
「そう! 壁で守って! だって壁って守るためのモノだもん! 壁にはいつも感謝しています!」
少し沈黙があってから、またあやかしの男子が喋り出した。
「何で緋色さんはそんなに学校をみんな幸せの空間にしたいんだべ?」
「ちょっと話長くなるけどもいい?」
「いいべよ」
私は廊下に座って窓の向こうに見える日差しを眺めながら喋り出した。
徐々に日は落ちてきて、夕暮れが近くなる。
私も今、そんな気持ちだ。
「私の幼馴染ね、学校のみんなからイジメられて転校しちゃったんだ。クラスが違って、幼馴染もあんまり弱音を吐くほうじゃなかったから知らなくて、気付いたら明日引っ越すとか言われちゃって……言ってほしかったんだ、私、私を頼ってほしかったんだ、でもきっと私は頼りがいが無かったんだろうな、だからもうそんなことはないように、私は何でも頑張るようになったよ、勉強も運動も係の仕事だって、リーダーシップを持って、だから班長にもなれたんだ! うちのクラスは元気いっぱい! でも他のクラスまでは届かないし、でもそれじゃ意味無いし、だから私は来年、小学六年生には小学校の生徒会長になって最高の小学校にしたいんだ」
「大変なことがあったんだべ……」
「大変なことはこれからだよ! これから七不思議を解決しないといけないんだから! 君と一緒にね!」
「それはもう確定だべ?」
「もう確定だね! 私は自分の決めたこと曲げないから! 私情報として、噂として知ってるよ! 君が時折廊下などに壁を作ってイタズラしてたこと! でもきっと違うことも知ってるよ! 何か理由があって壁を作っていたんじゃないかな? そんな気がする! 君ならそうしそう!」
あやかしの男子は壁からひょっこりと顔を出して、こう言った。
「僕は……僕も、誰かが悲しむことが嫌で、今のタイミングでその部屋に着いたら陰口叩かれていたことを知っちゃう時とかに、壁を作っていたんだべ、うん、イタズラじゃないべ、だって、悲しいことは悲しいべ……日本語上手くなくてゴメンだべ」
「そんなこと気にしなくていいよ! 私だって元気だけのバカだし! それよりも君のしていたことはすごく良いことだと思うよ! というかやっぱり壁で守っていたんじゃん! じゃあこれから私のことを壁で守ってね!」
「僕は君のやりたい通り、小学校を安全にしたほうがいいと思うべ」
「そうでしょ! じゃあ私の味方をしてよ! よろしくね!」
「僕はすぐ壁を作ってしまうけどもいいべ?」
「いいよ! その代わり私はその壁をすぐ通り抜けちゃうけどね! そうだ! 君の名前は何っ?」
あやかしの男子は俯きながらも、しっかりとした声で、
「壁太郎と呼ばれているべ」
「じゃあ壁太郎くん! これから一緒に頑張ろう!」
「頑張るべ」
味方もできたし、これからどんどん七不思議を解決していこう。
壁太郎くんの忠告通り、闇に引き込むあやかしというのは後回しにして、他の七不思議から行くことにしようっと。
だって壁太郎くん以外の味方ができるかもしれないからね!
「壁太郎くん、まずどの七不思議から行ったほうがいいかな?」
「落書きと飼育室がいいと思うべ。強いあやかしはいないから、経験を積むにはちょうどいいと思うべ」
「というか他の七不思議って強いあやかしがいるのっ?」
「まあそれなりにいるべ、僕もたまにちょっかいを出されるべ……」
「何か嫌な感じ! でも大丈夫! 今から私がいるから! 二人で考えればきっと大丈夫!」
壁太郎くんはフフッと優しく笑ってから、
「緋色さんは明るくて少し安心するべ」
「少しじゃなくて全部安心していいよ!」
「全部ってなんだべ、安心は量じゃないべ」
そんな会話をしながら、まず旧校舎を出て行こうとしたその時だった。
日はどんどん落ちていき、外は夕暮れになっていた。
「そうだ! 私家に帰らないといけないから! 一旦解決GOはここでおしまいだ!」
「解決GOってなんだべ、そんな日本語と英語の絡まりはないべ」
「でも分かるでしょ! 大体! 言葉って分かればいいの!」
「まあそうかもしれないべ、もし時間が無いなら僕が正のリズムに壁を作って、正の世界の時間を止めるべ?」
私は小首を傾げて、
「正の世界の時間を止めるってどういうこと?」
と聞くと、壁太郎くんが、
「簡単に言うとあやかしと僕が決めた人間だけが動けるようにして、他の時間を止めてしまうことだべ。太陽光も夕暮れのままであとは自由に動くことができるべ。動けなくなった生き物や無機物もそのまま固まって誰の干渉も受けないべ。僕がまた魔力を解くか、三時間経つかでまた動き出すべ」
「そんな強力な魔法が使えるのっ? すごい!」
「その分、三時間経ったあとは何もできなくなって動けなくなるべ。その魔法というか能力は使用した時と使用を終えた時に体力を使うんだべ」
ということは、と、自分の中で言葉をしっかり咀嚼してから、私は、
「つまり時間制限があるということね、その時間内にやるべきことを終わらせないといけないということね!」
「とは言え三時間は長いべ、そんな気にすることは無いべ」
「いやすごいよ、何でそんな能力が使えるの?」
「何でって、まあ、いろいろあるべ、でもできることはできるべ」
「それやって! それやってもらって三時間で解決しちゃおう!」
「じゃあそうするべ、無理なら諦めればいいだけだべ」
そう壁太郎くんが言うと、両手を天にかざし、何か言葉を小声で唱え始めた。
いや私は全然諦める気は無いし、一気に終わらせようと思っているけども。
そんなことを壁太郎くんの詠唱を聞きながら思っていると、急に壁太郎くんが、
「ハッ!」
と力強い言葉を出すと、何だか、何かが止まったような感じがした。
まるで目の前の空気すら止まっているような感覚。
でもさすが太陽というかなんというか、太陽光は燦燦と照りつけてくる。
「これでいいべ」
そう言って歩き出した壁太郎くんに私は何だか興奮してしまい、改めて、
「何で! 何でこんなことができるの! オーバーテクノロジーじゃない!」
と大きな声で話しかけてしまうと、
「とにかく気にすることはないべ、ただテクノロジーじゃないべ」
壁太郎くんは何か少し壁を作っているな、とは思った。
でもまあそんな簡単に全部話してくれないか、とも思った。
これから壁太郎くんとの親密度を上げて、何でも話してくれる仲になるんだから!
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「まず第一に、七不思議を探ることはとても危険なことなんだべ」
「七不思議、やっぱり貴方は七不思議の壁のヤツなんだね!」
「まあそれはそうだべ、壁を増やす七不思議というのは僕のことだべ」
「というかそちら側も七不思議という意識を持っているんだね、これは参考になる」
私はメモ帳にこのことを書いていると、壁の七不思議である可能性の高い、その男子が、
「結構鋭いというか、そういうことを考えながら行動しているんだべね」
と言ってきたので、私はちょうどメモを書き終えたので、自信満々に胸を張りながら、
「そう! 私には高い理想があるから! そのためには完璧な自分でいるって決めたの!」
「それはとても立派だべね」
そう感心するように言ってくれたので、何だか嬉しかった。
この流れだと壁を作るイタズラみたいなことをやめてくれるかもしれない、そう思っていると、
「とは言え、七不思議を探ること、特に緋色さんが真っ先に行こうとしていた闇に引き込むあやかしは危険だからこれ以上詮索することは止めたほうがいいべ」
「闇に引き込むあやかしっ? やっぱりそういう存在がいるのっ? 勝手に周りがそう言っているんじゃなくて」
「そうだべ、実際にいるんだべ。そいつとは関わらないほうがいいべ。一人で敵うような相手じゃないべ」
「確かに一人だと心細いかもしれないなぁ、まずは仲間集めをしないとダメかも。じゃあ君、一緒に他の七不思議から解決しに行こう!」
私が力強く、そう言うと、男子は少し焦ったような声で、
「何でそうなるんだべっ」
「学校をみんな幸せの空間にしたいんだ! それが私の目標なんだ! そのためには七不思議なんてないほうがいいでしょ!」
「それを七不思議側のあやかしに言うって、変だべ」
「うん、変かもしれない。でも私は君と会話して君がただイタズラだけしているあやかし? あやかしには思えないんだ。本当にイタズラしたいだけなら、夜まで壁で閉じ込めていればいいだけだもん」
「だからそんな可哀想なことはできないべ」
と申し訳無さそうな声で言ったあやかしの男子に、私はもっと、巻き込むような感じに元気な声で、
「その考えが優しいんだって! そこがすごくいいよ! だから私の味方になって何かあったら壁で守ってよ!」
「壁で守る……べ……」
「そう! 壁で守って! だって壁って守るためのモノだもん! 壁にはいつも感謝しています!」
少し沈黙があってから、またあやかしの男子が喋り出した。
「何で緋色さんはそんなに学校をみんな幸せの空間にしたいんだべ?」
「ちょっと話長くなるけどもいい?」
「いいべよ」
私は廊下に座って窓の向こうに見える日差しを眺めながら喋り出した。
徐々に日は落ちてきて、夕暮れが近くなる。
私も今、そんな気持ちだ。
「私の幼馴染ね、学校のみんなからイジメられて転校しちゃったんだ。クラスが違って、幼馴染もあんまり弱音を吐くほうじゃなかったから知らなくて、気付いたら明日引っ越すとか言われちゃって……言ってほしかったんだ、私、私を頼ってほしかったんだ、でもきっと私は頼りがいが無かったんだろうな、だからもうそんなことはないように、私は何でも頑張るようになったよ、勉強も運動も係の仕事だって、リーダーシップを持って、だから班長にもなれたんだ! うちのクラスは元気いっぱい! でも他のクラスまでは届かないし、でもそれじゃ意味無いし、だから私は来年、小学六年生には小学校の生徒会長になって最高の小学校にしたいんだ」
「大変なことがあったんだべ……」
「大変なことはこれからだよ! これから七不思議を解決しないといけないんだから! 君と一緒にね!」
「それはもう確定だべ?」
「もう確定だね! 私は自分の決めたこと曲げないから! 私情報として、噂として知ってるよ! 君が時折廊下などに壁を作ってイタズラしてたこと! でもきっと違うことも知ってるよ! 何か理由があって壁を作っていたんじゃないかな? そんな気がする! 君ならそうしそう!」
あやかしの男子は壁からひょっこりと顔を出して、こう言った。
「僕は……僕も、誰かが悲しむことが嫌で、今のタイミングでその部屋に着いたら陰口叩かれていたことを知っちゃう時とかに、壁を作っていたんだべ、うん、イタズラじゃないべ、だって、悲しいことは悲しいべ……日本語上手くなくてゴメンだべ」
「そんなこと気にしなくていいよ! 私だって元気だけのバカだし! それよりも君のしていたことはすごく良いことだと思うよ! というかやっぱり壁で守っていたんじゃん! じゃあこれから私のことを壁で守ってね!」
「僕は君のやりたい通り、小学校を安全にしたほうがいいと思うべ」
「そうでしょ! じゃあ私の味方をしてよ! よろしくね!」
「僕はすぐ壁を作ってしまうけどもいいべ?」
「いいよ! その代わり私はその壁をすぐ通り抜けちゃうけどね! そうだ! 君の名前は何っ?」
あやかしの男子は俯きながらも、しっかりとした声で、
「壁太郎と呼ばれているべ」
「じゃあ壁太郎くん! これから一緒に頑張ろう!」
「頑張るべ」
味方もできたし、これからどんどん七不思議を解決していこう。
壁太郎くんの忠告通り、闇に引き込むあやかしというのは後回しにして、他の七不思議から行くことにしようっと。
だって壁太郎くん以外の味方ができるかもしれないからね!
「壁太郎くん、まずどの七不思議から行ったほうがいいかな?」
「落書きと飼育室がいいと思うべ。強いあやかしはいないから、経験を積むにはちょうどいいと思うべ」
「というか他の七不思議って強いあやかしがいるのっ?」
「まあそれなりにいるべ、僕もたまにちょっかいを出されるべ……」
「何か嫌な感じ! でも大丈夫! 今から私がいるから! 二人で考えればきっと大丈夫!」
壁太郎くんはフフッと優しく笑ってから、
「緋色さんは明るくて少し安心するべ」
「少しじゃなくて全部安心していいよ!」
「全部ってなんだべ、安心は量じゃないべ」
そんな会話をしながら、まず旧校舎を出て行こうとしたその時だった。
日はどんどん落ちていき、外は夕暮れになっていた。
「そうだ! 私家に帰らないといけないから! 一旦解決GOはここでおしまいだ!」
「解決GOってなんだべ、そんな日本語と英語の絡まりはないべ」
「でも分かるでしょ! 大体! 言葉って分かればいいの!」
「まあそうかもしれないべ、もし時間が無いなら僕が正のリズムに壁を作って、正の世界の時間を止めるべ?」
私は小首を傾げて、
「正の世界の時間を止めるってどういうこと?」
と聞くと、壁太郎くんが、
「簡単に言うとあやかしと僕が決めた人間だけが動けるようにして、他の時間を止めてしまうことだべ。太陽光も夕暮れのままであとは自由に動くことができるべ。動けなくなった生き物や無機物もそのまま固まって誰の干渉も受けないべ。僕がまた魔力を解くか、三時間経つかでまた動き出すべ」
「そんな強力な魔法が使えるのっ? すごい!」
「その分、三時間経ったあとは何もできなくなって動けなくなるべ。その魔法というか能力は使用した時と使用を終えた時に体力を使うんだべ」
ということは、と、自分の中で言葉をしっかり咀嚼してから、私は、
「つまり時間制限があるということね、その時間内にやるべきことを終わらせないといけないということね!」
「とは言え三時間は長いべ、そんな気にすることは無いべ」
「いやすごいよ、何でそんな能力が使えるの?」
「何でって、まあ、いろいろあるべ、でもできることはできるべ」
「それやって! それやってもらって三時間で解決しちゃおう!」
「じゃあそうするべ、無理なら諦めればいいだけだべ」
そう壁太郎くんが言うと、両手を天にかざし、何か言葉を小声で唱え始めた。
いや私は全然諦める気は無いし、一気に終わらせようと思っているけども。
そんなことを壁太郎くんの詠唱を聞きながら思っていると、急に壁太郎くんが、
「ハッ!」
と力強い言葉を出すと、何だか、何かが止まったような感じがした。
まるで目の前の空気すら止まっているような感覚。
でもさすが太陽というかなんというか、太陽光は燦燦と照りつけてくる。
「これでいいべ」
そう言って歩き出した壁太郎くんに私は何だか興奮してしまい、改めて、
「何で! 何でこんなことができるの! オーバーテクノロジーじゃない!」
と大きな声で話しかけてしまうと、
「とにかく気にすることはないべ、ただテクノロジーじゃないべ」
壁太郎くんは何か少し壁を作っているな、とは思った。
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これから壁太郎くんとの親密度を上げて、何でも話してくれる仲になるんだから!
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