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【06 オブジェ+】
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・【06 オブジェ+】
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何だか壁太郎くんと打ち解けられた感じがして、すごく嬉しかったし、オブジェの方向性も完成して、超win-winってヤツだ。
触るとスベスベして気持ち良くて、あとちょっと冷たくて夏に良い感じ。
そして色も水色と青色のマーブルで、海底に沈んだ船から出てきた宝石のような輝きを持った感じ、という風に出来上がった設計図。
改めて言葉でもそうイメージを伝えると、壁太郎くんが間髪入れず、
「じゃあちょっとサンゴ礁のような雰囲気があるといいかもしれないべ」
と言ったので、私はサムズアップしながら、
「それだ!」
「イメージがここまでまとまれば作れるかもしれないべ」
そう言って壁太郎くんは中庭のスペースに手をかざし、そのオブジェを出現させたのだ。
そのオブジェが出現したその時だった。
「「「おー!」」」
小さな悪魔のようなあやかしたちが感嘆の息を漏らした。
何匹がすぐさまそのオブジェのほうへやって来て、ちゃんと濡れタオルで手を拭いてからペタペタと触り出した。
「「「これはこれは! すごいすごい!」」」
「「「こんなこんな! アートもありだよな!」」」
なかなか好感触な様子。
でも判定って誰がするんだろうと思っていると、他の小さな悪魔たちよりも一回り大きい悪魔がこう言った。
「同点決勝だ! 壁太郎! もう一枚壁を出せ! こっからマジの勝負だ!」
壁太郎くんは言われるがまま、また壁を出し、その一回り大きい悪魔がまたさっきと同じように絵の具のついた筆を振って壁に色を付け始めた。
さっきと一緒じゃん、と思っていたんだけども、使っている絵の具が黒や白、灰色などのモノクロのカラーだけで統一感があり、さらには色の飛び跳ねさせ方の技術というものが多分あって、それがすごく上手くて、何だか引き込まれそうな渦になっていた。
ヤバイ、負けるかも、そう思ったその時だった。
「じゃあ緋色さん、一緒に考えるべ、次の手を」
そう言われてハッとした。
そうだ、このまま圧倒されて負けちゃダメだと。
それに、それにだ。
私は今、壁太郎くんに頼られている。
この頼られているという感覚がすごく嬉しくて、すぐさまやる気が出てきた。
「壁太郎くん! 何か案はあるっ?」
私が壁太郎くんの肩を優しく叩きながらそう言うと、壁太郎くんは頷きながら、
「同じ土俵に立たないという緋色さんの案、すごく良いと思うべ。だからこっちは美しさと機能美でいくべ」
「機能美?」
「そうだべ、僕、今なら小屋程度だけども家が作れるような気がするべ。アーティスティックな小屋というか家を作るべ。そのまま楽しく住めるような家を作るべ」
「何それ! 楽しそう!」
私は壁の裏面にまた設計図を描き始めた。
何だかどんどん案が出てくる。
当たり前だ、二人で考えているんだから。
どうせならさっき作ったオブジェを庭に飾っているような家というコンセプトにして、夏っぽい家を二人で考えて作り出した。
壁は白い砂浜っぽくして四隅の柱はヤシの木ナイズ、外から見た屋根は新緑の山にして、家の中では星空にして、床は海辺っぽく、青と白が映えるように、窓は思い切って大きくして日の光がいっぱい入るように。
そんな設計図を作り、壁太郎くんに壁、いや家を出現させてもらった。
出現した直後、小さな悪魔たちがわいわい喜びながら、
「「「すごいすごい! これはこれは! 最高だ!」」」
と言って、ちゃんと手を拭いてから、家の中へ入っていった。
どんどん小さな悪魔たちがその家の中に入っていくもんだから、一回り大きい悪魔だけが壁の前にポツンと取り残された。
その一回り大きい悪魔と私は目が合い、一応会釈してから、
「この、さっき作ったオブジェを庭に飾っている家というコンセプトです」
と言うと、その悪魔は目を飛び出しながら、
「繋がってるのか! それはすごい! 負けだ!」
と言うと、その悪魔が段々薄くなっていき、何だか空気中に溶け込むように消えていった。
えっ、と思っていながら、家の中を見ると、小さな悪魔たちも嬉しそうな顔で消えていった。
「あの、どこ行ったの……?」
と私が壁太郎くんに聞くと、
「小さな思念体のあやかしは、満足すると天国に還るんだべ」
「あっ、天国に行ったんだ……それなら良かった……」
そう胸をなで下ろしたその時、私は思ったことがあったので、聞くことにした。
「壁太郎くんも満足すると天国に還るの?」
「それは、分からないべ……」
そう俯いた壁太郎くん。
何だか知っているような気がした。
でも言いたくないみたいな。
口にしたくはない、そんな感じだった。
じゃあ踏み込むことは止めよう、そう思っていると壁太郎くんがこう言った。
「思念体は、だべ、僕のような元・人間のあやかしじゃない、思念体は、だべ」
その言葉にビックリしてしまい、二人きりなのにちょっと大きな声で、
「壁太郎くんって元・人間なのっ?」
と言ってしまうと、壁太郎くんは中庭のベンチに座ったので、私も隣に座った。
すると壁太郎くんはゆっくりと語り出した。
・【06 オブジェ+】
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何だか壁太郎くんと打ち解けられた感じがして、すごく嬉しかったし、オブジェの方向性も完成して、超win-winってヤツだ。
触るとスベスベして気持ち良くて、あとちょっと冷たくて夏に良い感じ。
そして色も水色と青色のマーブルで、海底に沈んだ船から出てきた宝石のような輝きを持った感じ、という風に出来上がった設計図。
改めて言葉でもそうイメージを伝えると、壁太郎くんが間髪入れず、
「じゃあちょっとサンゴ礁のような雰囲気があるといいかもしれないべ」
と言ったので、私はサムズアップしながら、
「それだ!」
「イメージがここまでまとまれば作れるかもしれないべ」
そう言って壁太郎くんは中庭のスペースに手をかざし、そのオブジェを出現させたのだ。
そのオブジェが出現したその時だった。
「「「おー!」」」
小さな悪魔のようなあやかしたちが感嘆の息を漏らした。
何匹がすぐさまそのオブジェのほうへやって来て、ちゃんと濡れタオルで手を拭いてからペタペタと触り出した。
「「「これはこれは! すごいすごい!」」」
「「「こんなこんな! アートもありだよな!」」」
なかなか好感触な様子。
でも判定って誰がするんだろうと思っていると、他の小さな悪魔たちよりも一回り大きい悪魔がこう言った。
「同点決勝だ! 壁太郎! もう一枚壁を出せ! こっからマジの勝負だ!」
壁太郎くんは言われるがまま、また壁を出し、その一回り大きい悪魔がまたさっきと同じように絵の具のついた筆を振って壁に色を付け始めた。
さっきと一緒じゃん、と思っていたんだけども、使っている絵の具が黒や白、灰色などのモノクロのカラーだけで統一感があり、さらには色の飛び跳ねさせ方の技術というものが多分あって、それがすごく上手くて、何だか引き込まれそうな渦になっていた。
ヤバイ、負けるかも、そう思ったその時だった。
「じゃあ緋色さん、一緒に考えるべ、次の手を」
そう言われてハッとした。
そうだ、このまま圧倒されて負けちゃダメだと。
それに、それにだ。
私は今、壁太郎くんに頼られている。
この頼られているという感覚がすごく嬉しくて、すぐさまやる気が出てきた。
「壁太郎くん! 何か案はあるっ?」
私が壁太郎くんの肩を優しく叩きながらそう言うと、壁太郎くんは頷きながら、
「同じ土俵に立たないという緋色さんの案、すごく良いと思うべ。だからこっちは美しさと機能美でいくべ」
「機能美?」
「そうだべ、僕、今なら小屋程度だけども家が作れるような気がするべ。アーティスティックな小屋というか家を作るべ。そのまま楽しく住めるような家を作るべ」
「何それ! 楽しそう!」
私は壁の裏面にまた設計図を描き始めた。
何だかどんどん案が出てくる。
当たり前だ、二人で考えているんだから。
どうせならさっき作ったオブジェを庭に飾っているような家というコンセプトにして、夏っぽい家を二人で考えて作り出した。
壁は白い砂浜っぽくして四隅の柱はヤシの木ナイズ、外から見た屋根は新緑の山にして、家の中では星空にして、床は海辺っぽく、青と白が映えるように、窓は思い切って大きくして日の光がいっぱい入るように。
そんな設計図を作り、壁太郎くんに壁、いや家を出現させてもらった。
出現した直後、小さな悪魔たちがわいわい喜びながら、
「「「すごいすごい! これはこれは! 最高だ!」」」
と言って、ちゃんと手を拭いてから、家の中へ入っていった。
どんどん小さな悪魔たちがその家の中に入っていくもんだから、一回り大きい悪魔だけが壁の前にポツンと取り残された。
その一回り大きい悪魔と私は目が合い、一応会釈してから、
「この、さっき作ったオブジェを庭に飾っている家というコンセプトです」
と言うと、その悪魔は目を飛び出しながら、
「繋がってるのか! それはすごい! 負けだ!」
と言うと、その悪魔が段々薄くなっていき、何だか空気中に溶け込むように消えていった。
えっ、と思っていながら、家の中を見ると、小さな悪魔たちも嬉しそうな顔で消えていった。
「あの、どこ行ったの……?」
と私が壁太郎くんに聞くと、
「小さな思念体のあやかしは、満足すると天国に還るんだべ」
「あっ、天国に行ったんだ……それなら良かった……」
そう胸をなで下ろしたその時、私は思ったことがあったので、聞くことにした。
「壁太郎くんも満足すると天国に還るの?」
「それは、分からないべ……」
そう俯いた壁太郎くん。
何だか知っているような気がした。
でも言いたくないみたいな。
口にしたくはない、そんな感じだった。
じゃあ踏み込むことは止めよう、そう思っていると壁太郎くんがこう言った。
「思念体は、だべ、僕のような元・人間のあやかしじゃない、思念体は、だべ」
その言葉にビックリしてしまい、二人きりなのにちょっと大きな声で、
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