ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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1.プロローグ

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ハンドメイドイベントで色々買い漁り、戦利品広げるでーと勢い良く玄関に入ったら、知らない場所だった。
目の前はよくわかんない山の森の中、振り向いても玄関は無し。

ここはどこ?日本の山中?外国だったらどうしよう。言葉通じないとか最悪じゃん。
・・・水音?川に沿って歩けば迷わないかも。

音のする方へしばらく歩くと川が見える。そのままつかず離れず下流へ向かうが、息が上がってきた。木に背中をあずけて座り込み、カバンからペットボトルとカカオ70%チョコを出して口に入れる。

疲れた。イベントで散々歩き回って、追加で山歩きとかきつ過ぎる。休憩休憩。山歩きはこまめに休憩が必要なはず。はーしんど。こんなことなら、もっと甘いチョコ買っておけば良かった。震災対策の非常食は日の目を見たけどもさ。

ぼへーっとしていると視界の隅でチラチラ動くものがある。目を向けてみれば、下流からくる二人組がいた。
向こうも気付いたようでこちらに向かってくる。

おおっ、ここがどこか聞ける!普通の山登りの人だよね?山に死体埋めに来た人じゃないよね?死体が入ってそうな、でかい荷物はないな。良かった。ていうかなんか外国人?薄茶の髪と彫り深顔。そっくりの二人。マント着て弓持って、って、コスプレ?・・・と、とにかく、まずは挨拶!

「こんにちはー」
「・・こんにちは」
返事日本語じゃん!滅茶苦茶、緊張したけど、言葉が通じる!良かったああああああ!!
 
「あのーここはどこでしょう?」
「え?」
「気が付いたらここに居て、家に帰りたいんですけど、ここがどこかわからないんです」
「・・・ここはベルディント領内のベルディントの森」
「・・・ええーと、国の名前は・・?」
「ボーヴァイン王国。あなたの国は?」

聞いたこと、なあああああー!!!全部の国知ってるわけじゃねーけどもさ、大使館とかあんのか????

「日本です」
「・・聞いたことないな。近くじゃない。ここに来るまでどれくらい掛かった?」
「いえ、家のドアを開けたらここに居たので・・なぜか、全然わからないんですが・・・」
「!それって、魔法使いのいたずら?ほら、魔法使いはあちこちに飛ばせるらしいし。それでここに飛ばされたんじゃない?」
「魔法使い??魔法って魔法?何する人?」
「何って、魔法を使える人だよ。すごく離れた場所に一瞬で人を送ったり、結界作ったり、婚姻の結びをしたり。えーと、あと魔力紋を入れたりとか」

今までじっと話を聞いていたもう片方が口を開いた。こっちはおしゃべりなんか。
・・じゃねええええええ!!魔法使いかよ!日本どころか異世界でした。もう、異世界で決まり!はい、決まった!
それよかさあ、いきなり知らん場所に飛ばすとか、いたずらじゃすまねーだろ!犯罪だろ!なんじゃ、いたずらって。テヘペロで済む話じゃねーぞ!

「あー・・・・・私のいた世界では魔法がないので、よくわかんないけど、簡単に戻れそうじゃないですね・・・」
「・・世界?国じゃなくて?」
「そうです。どこの国にも魔法はなく。・・・魔法使えなくても、働く場所はありますか?」
「魔法はほとんどの人は使えないから大丈夫だけど、女の人は働かないよね?旦那さんは・・遠い場所なんだっけ。家族とか婚約者も?」
「家族も旦那も婚約者も恋人もいませんが・・・働けない?どうやって暮らすんです?」
「ええっ!いないのっ?なんで?成人過ぎたら五人はいるはずでしょ!決まりだし!」
「ええっ!なにそれっ!逆ハーかよっ!五人て、ハード過ぎる!」

思わず叫んだ。26のアラサーにはキツイ!体力面で!つか、決まりって、逆ハーは政策なのか。

「・・・ぎゃくはー?・・・つまり、あなたは成人女性で、まったくの独身で、家がどこにあるかもわからない、そして生活の為に働きたい、ということか?」
「そうです、そうです」
「・・・俺達はここの森番です。あなたを保護します。これから家に帰るので、今後のことはそこで考えましょう」
「そうそう、もうすぐ暮れてくるし。夜の森は怖いからね」
「・・・はい、お願いします」


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