3 / 139
3.事情聴取
しおりを挟む
片付けが終わって、アルがお茶を出してくれた。お礼を言って一口飲む。ハーブティーかな、あったかくてホッとする。
あ、イベントでお菓子買ったんだ。ご飯のお礼にお茶うけだ。飴がけアーモンドだよ!うーん、三粒ずつでいいかな。みみっちいのよ、私。もう買えそうにないし。アルとベルの手に三粒ずつ乗せる。
「お菓子どうぞ。苦くないよ。口に合わなかったら私食べるし」
「・・・」
あら、疑ってる。思い切って食べると・・・テッテレー、うまい!まさにそんな感じの顔をして、驚いてる。
「美味しい!美味しいものもあるんだね!」
失礼だな、おい。あまりに嬉しそうなので、私の分から一粒ずつ追加で渡した。感謝していいよ!
一息ついてベルが私を見る。
「じゃあ、話そうか」
わあ~尋問開始~。
「えーと、住んでたのは遠い国で、気付いたら森の中にいて、知り合いも誰一人いない。話をした限りだと、この国のことも何も知らない、ってことかな?」
「うん」
「うーん、言葉は通じるしなあ」
「・・・遠い国だから違う言葉を使うと決まってるわけじゃない」
「まあ、そうか。で、暮らしていくために働きたい、と」
「知り合いいないと難しいかな?住む場所もないし住み込みで働けるところが希望」
「住み込みかー。ますますあれだよね。住み込むならそこの店主と結婚することになると思う」
「えっ、なんで?結婚?」
「女性が一人で歩いてたら攫われるよ。それで、誰かの結婚相手になるか娼館で働くか。女性は貴重だから」
「うーん?・・・女性は貴重って、少ないってこと?」
「そう。もともと少ないんだけど、何年か前に流行り病で結構死んじゃってさ。女性は必ず夫を持つようにって御触れが出てる。最低五人」
「えぇ・・・うーん、じゃあ、結婚でいいかな。娼館は嫌だし」
「うん、それがいいよ。夫の条件はある?条件が合えば知り合い紹介できるよ」
ベルがニコニコしながらうなずいてるけど、なんだかなー営業かけられてるみたいだわ。怪しい奴に後見人付けておこうってトコかな。変な人じゃないと良いんだけど。五人いるなら好みが一人くらい、いて、欲しい!どうなの、この国。おしり拭き葉っぱだしな、文化摩擦すごいかも。
「条件かぁ。優しくて静かで穏やかで、話し合いができる。あと、食事の仕方がきれいな方がいいな。思いつくのはこれくらい。でも実際に会って話さないとわかんないかも」
「・・・ユウの家は裕福なの?・・砂糖菓子持ってるし、スプーン使うし、服もキレイで、食事の仕方が条件とか」
「全然、普通だけど。私の国はこれが普通。それに、食事の仕方って言うけど、アルとベルの食べ方はきれいでしょ」
「俺達はある程度、教育受けてるからね。うーん・・・ユウはいくつ?子供いる?」
「あ、私、26歳。ベルは?えーと、それで、結婚と妊娠は経験なし、処女でもなし。これでも大丈夫かな?」
「そ、そっか。俺達は23だよ。26で妊娠出産ないと、貴族とか大店は難しいかな。そういうとこは、若いか子供できるか、どっちか必要だから。後妻なら大丈夫かも。ユウの国はユウみたいな人が多いの?」
「うーん、そうだね。10代で結婚する人は少ないし、30代で初婚も結構いる。死ぬまで結婚しない人もそこそこいるよ。一夫一妻制だし。こっちはいくつで成人して結婚するの?」
「女の人も結婚しないの?多いの?だいぶ違う。こっちは、成人は15で、女の子の結婚もほぼ同時だよ。成人を待って結婚するから。大体、20過ぎたら子供二人くらいはいるかな」
妊娠は必須かぁ。産めよ増やせよ政策実施してるしね、重要だよね。この国生きづらいかも。あ、違う国に行くという手もあるか!閃いてるね、私!
「ねぇ、結婚しなくてもいい国ってあるかな?女の人多くて」
「え、他の国?うーん、ここいらはどこも女の人は少ないかな。多く生まれる国もあるけど、そういうとこは輸出品にされるし」
わーお、人身売買。
・・・あーなんで、なんでこんな所に飛ばされて。一人じゃ暮らせないなんて酷過ぎない?悔しい。辛い。キツイ。悲しい。俯いてたら鼻の奥がツンとして涙が出てきた。バカバカしい、泣いたってどうにもならない。涙を拭いて歯を食いしばって口の端を上げる。
「・・・ごめん。話の続きはまた明日でいいかな?」
「そうだね。また明日にしよう」
「あの、寝る前に体拭きたいからお湯貰っていい?」
「・・ああ。用意する」
アルが竈にかかったままの鍋をつかみ、お湯を桶に注ぐ。桶を奥の部屋に運ぼうとした所で声をかける。
「アル、部屋の中だとお湯をこぼしそうだから、外で拭きたいんだけどいいかな?」
「・・・わかった」
桶を外に出すアルを見てから自分の用意をする。手ぬぐいをカバンから出そうと開けたら、イベントの戦利品も目に入った。そういえば手作り石鹸とオイルも買ったんだっけ。バラ、ジャスミン、ゼラニウム。使うか。いや、石鹸はすすぎ用のお湯も必要。顔だけ石鹸でいくか。葉っぱ入りの水をもらおう。
アルにお礼を言って外にでる。
サッサと服を脱ぎ、頭を桶に突っ込み、悔しさでを込めてザブザブ洗う。手ぬぐいをお湯に浸しながら体を拭った。顔を石鹸で洗ってお湯でゆすぎ、葉っぱの水で再度ゆすぐ。
あ、歯ブラシないぜ。手ぬぐいを指に巻いて歯をこする。最後に手ぬぐいと下着を洗う。ああ、替えのパンツがない。服もないからこれを着るしかない。歯ブラシもない。クソ、クソだな!
オイルを顔と髪に塗ってから服を着た。あーもう嫌だ。疲れた。寝たい。
怒りと苛立ちがジリジリと胸の内を焦がす感情のままに、お湯をぶちまけた。
「お湯どうもありがとうございました。桶はどこにしまえばいいかな?」
家の中に戻ってにっこり笑いながらお礼を言う。忘れずに言うよ。知らない山の中で反感買うとか恐ろしすぎだろ。にっこり。
「・・・そのまま乾かすから、竈の近くに置いておいて」
「はい」
ベルにいい返事をして桶を竈の近くに置いた。苛立ちは隠せるかわかんないけど、表面上だけでも友好的に行かないと。
「どこで寝たらいいかな?外でも床でも、邪魔にならない場所を教えてくださいな」
「・・・俺達と一緒で良ければベッドで。嫌だったら、ベッドのそばの床に毛皮を敷く」
「ベッドを借りるのは申し訳ないので、床で寝ます」
「ああ、こっちだ」
アルがベッドの足元に毛皮を敷いて、掛布を渡してくれた。毛皮だってー、猟師かよっ!頭の中でツッコミつつ、アルにお礼を言ってから横になって、掛布の中で蹲った。この中では泣いていい。隠れたから大丈夫。
・・・なんで、なんでなんで、何なの。なんで、こんなことになってんの。押し殺した声の代わりに涙が流れる。噛み締め過ぎた奥歯が痛むころ、緞帳が降りてきて意識は暗闇に溶けた。
あ、イベントでお菓子買ったんだ。ご飯のお礼にお茶うけだ。飴がけアーモンドだよ!うーん、三粒ずつでいいかな。みみっちいのよ、私。もう買えそうにないし。アルとベルの手に三粒ずつ乗せる。
「お菓子どうぞ。苦くないよ。口に合わなかったら私食べるし」
「・・・」
あら、疑ってる。思い切って食べると・・・テッテレー、うまい!まさにそんな感じの顔をして、驚いてる。
「美味しい!美味しいものもあるんだね!」
失礼だな、おい。あまりに嬉しそうなので、私の分から一粒ずつ追加で渡した。感謝していいよ!
一息ついてベルが私を見る。
「じゃあ、話そうか」
わあ~尋問開始~。
「えーと、住んでたのは遠い国で、気付いたら森の中にいて、知り合いも誰一人いない。話をした限りだと、この国のことも何も知らない、ってことかな?」
「うん」
「うーん、言葉は通じるしなあ」
「・・・遠い国だから違う言葉を使うと決まってるわけじゃない」
「まあ、そうか。で、暮らしていくために働きたい、と」
「知り合いいないと難しいかな?住む場所もないし住み込みで働けるところが希望」
「住み込みかー。ますますあれだよね。住み込むならそこの店主と結婚することになると思う」
「えっ、なんで?結婚?」
「女性が一人で歩いてたら攫われるよ。それで、誰かの結婚相手になるか娼館で働くか。女性は貴重だから」
「うーん?・・・女性は貴重って、少ないってこと?」
「そう。もともと少ないんだけど、何年か前に流行り病で結構死んじゃってさ。女性は必ず夫を持つようにって御触れが出てる。最低五人」
「えぇ・・・うーん、じゃあ、結婚でいいかな。娼館は嫌だし」
「うん、それがいいよ。夫の条件はある?条件が合えば知り合い紹介できるよ」
ベルがニコニコしながらうなずいてるけど、なんだかなー営業かけられてるみたいだわ。怪しい奴に後見人付けておこうってトコかな。変な人じゃないと良いんだけど。五人いるなら好みが一人くらい、いて、欲しい!どうなの、この国。おしり拭き葉っぱだしな、文化摩擦すごいかも。
「条件かぁ。優しくて静かで穏やかで、話し合いができる。あと、食事の仕方がきれいな方がいいな。思いつくのはこれくらい。でも実際に会って話さないとわかんないかも」
「・・・ユウの家は裕福なの?・・砂糖菓子持ってるし、スプーン使うし、服もキレイで、食事の仕方が条件とか」
「全然、普通だけど。私の国はこれが普通。それに、食事の仕方って言うけど、アルとベルの食べ方はきれいでしょ」
「俺達はある程度、教育受けてるからね。うーん・・・ユウはいくつ?子供いる?」
「あ、私、26歳。ベルは?えーと、それで、結婚と妊娠は経験なし、処女でもなし。これでも大丈夫かな?」
「そ、そっか。俺達は23だよ。26で妊娠出産ないと、貴族とか大店は難しいかな。そういうとこは、若いか子供できるか、どっちか必要だから。後妻なら大丈夫かも。ユウの国はユウみたいな人が多いの?」
「うーん、そうだね。10代で結婚する人は少ないし、30代で初婚も結構いる。死ぬまで結婚しない人もそこそこいるよ。一夫一妻制だし。こっちはいくつで成人して結婚するの?」
「女の人も結婚しないの?多いの?だいぶ違う。こっちは、成人は15で、女の子の結婚もほぼ同時だよ。成人を待って結婚するから。大体、20過ぎたら子供二人くらいはいるかな」
妊娠は必須かぁ。産めよ増やせよ政策実施してるしね、重要だよね。この国生きづらいかも。あ、違う国に行くという手もあるか!閃いてるね、私!
「ねぇ、結婚しなくてもいい国ってあるかな?女の人多くて」
「え、他の国?うーん、ここいらはどこも女の人は少ないかな。多く生まれる国もあるけど、そういうとこは輸出品にされるし」
わーお、人身売買。
・・・あーなんで、なんでこんな所に飛ばされて。一人じゃ暮らせないなんて酷過ぎない?悔しい。辛い。キツイ。悲しい。俯いてたら鼻の奥がツンとして涙が出てきた。バカバカしい、泣いたってどうにもならない。涙を拭いて歯を食いしばって口の端を上げる。
「・・・ごめん。話の続きはまた明日でいいかな?」
「そうだね。また明日にしよう」
「あの、寝る前に体拭きたいからお湯貰っていい?」
「・・ああ。用意する」
アルが竈にかかったままの鍋をつかみ、お湯を桶に注ぐ。桶を奥の部屋に運ぼうとした所で声をかける。
「アル、部屋の中だとお湯をこぼしそうだから、外で拭きたいんだけどいいかな?」
「・・・わかった」
桶を外に出すアルを見てから自分の用意をする。手ぬぐいをカバンから出そうと開けたら、イベントの戦利品も目に入った。そういえば手作り石鹸とオイルも買ったんだっけ。バラ、ジャスミン、ゼラニウム。使うか。いや、石鹸はすすぎ用のお湯も必要。顔だけ石鹸でいくか。葉っぱ入りの水をもらおう。
アルにお礼を言って外にでる。
サッサと服を脱ぎ、頭を桶に突っ込み、悔しさでを込めてザブザブ洗う。手ぬぐいをお湯に浸しながら体を拭った。顔を石鹸で洗ってお湯でゆすぎ、葉っぱの水で再度ゆすぐ。
あ、歯ブラシないぜ。手ぬぐいを指に巻いて歯をこする。最後に手ぬぐいと下着を洗う。ああ、替えのパンツがない。服もないからこれを着るしかない。歯ブラシもない。クソ、クソだな!
オイルを顔と髪に塗ってから服を着た。あーもう嫌だ。疲れた。寝たい。
怒りと苛立ちがジリジリと胸の内を焦がす感情のままに、お湯をぶちまけた。
「お湯どうもありがとうございました。桶はどこにしまえばいいかな?」
家の中に戻ってにっこり笑いながらお礼を言う。忘れずに言うよ。知らない山の中で反感買うとか恐ろしすぎだろ。にっこり。
「・・・そのまま乾かすから、竈の近くに置いておいて」
「はい」
ベルにいい返事をして桶を竈の近くに置いた。苛立ちは隠せるかわかんないけど、表面上だけでも友好的に行かないと。
「どこで寝たらいいかな?外でも床でも、邪魔にならない場所を教えてくださいな」
「・・・俺達と一緒で良ければベッドで。嫌だったら、ベッドのそばの床に毛皮を敷く」
「ベッドを借りるのは申し訳ないので、床で寝ます」
「ああ、こっちだ」
アルがベッドの足元に毛皮を敷いて、掛布を渡してくれた。毛皮だってー、猟師かよっ!頭の中でツッコミつつ、アルにお礼を言ってから横になって、掛布の中で蹲った。この中では泣いていい。隠れたから大丈夫。
・・・なんで、なんでなんで、何なの。なんで、こんなことになってんの。押し殺した声の代わりに涙が流れる。噛み締め過ぎた奥歯が痛むころ、緞帳が降りてきて意識は暗闇に溶けた。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる