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69.衝撃 Side アルとベル
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Side アル
ユウが変わった。
おかえりなさい、と言った柔らかな微笑みは、花がほころんだようで、すごく綺麗だった。
頭を殴られた気分だった。
魔法使いのところから帰ってきて、変わった。あんなに柔らかく、幸せそうな顔を見たことがなかった。俺達じゃない、ユウが幸せなのは魔法使いが夫になったからだ。
筆頭魔法使いのところに行っても変わらず帰ってきたから安心していた。一人だから求婚を受けると言っていたから同情だと思っていた。だから同じだろうと。
違った。ユウは魔法使いを受け入れた。心に。
俺達が受け入れられたと、そう思っていた。でも、違った。あんなふうに笑うなんて知らなかった。
胸が焼けて息が苦しかった。ユウの顔が見れなかった。ユウが伸ばした手を避けてしまった。
悲しそうな顔を見て、汚れているからと誤魔化した。あんな悲しそうな顔をさせてしまった。幸せにもできないのに。
裏切られていたのかもしれない。魔法使いが好きだったのかも。送り迎えをしてもらっていた。俺達の知らないあいだに、何かあったのかも。
苦しい。
もう、俺達のユウじゃない。俺のユウじゃない。
もう、俺のことを見ていないかも。もう、見てくれないかも。愛してると言っていたのに。同情相手は俺達だった?
吐きそうだ。
ユウに魔法使いのところで暮らした方が良いと言った。耐えられなかった。笑顔を見るたびに魔法使いへの愛を見せつけられているようで、酷い気分だった。優しさが、ただの同情に思えて、胸を掻き毟りたくなった。
ユウにとってその方が良いと、そう説明したが、俺が耐えられなかった。一緒にいることに。
ユウは反論しなかった。俺達が望むならそうすると、言った。
魔法使いと住むほうが幸せだろ、と大声で叫びたかった。魔法使いを愛してるんだろう、と責めたかった。なんで?となじりたかった。
喉に重い塊が詰まって、言葉が何も出ない。
片付けるから今日は泊めて欲しいと言った。諦めた顔で笑って。
また、そんな顔をさせた。俺が。
泊めて欲しいと言った。俺達の家はもう、ユウの家じゃない。三人の家だったのに。俺がいなくなって欲しいと望んだ。
ユウを見たくないのに、苦しかった。ユウが居なくなったら、見えなくなったら、少しは楽になるかもしれない。
このままだと、壊れてしまう。ユウを傷つけたくないのに傷つけたい。俺と同じぐらい傷ついて欲しい。真っ暗な気持ちだった。
_________
Side ベル
ユウが変わってた。
ユウはすごく楽しそうに笑った。磨いたみたくキラキラしてた。何かが変わって、違うユウになって帰って来た。いつもの様に迎えてくれたけど違った。アルも凄く驚いた顔をしてた。
魔法使いのところが凄く楽しかったのかもしれない。
ユウはいつもより笑って楽しそうだったけど、俺とアルが戸惑ってるのに気づくと心配した。アルに手を伸ばしたら、アルがユウの手を避けた。
一度もそんなことなかったのに。驚いてアルを見たら、気不味そうに言い訳をした。
アルは気分が悪いような顔をして、凄く苦しそうだった。ユウの方をあまり見ないで俯いていた。傷ついたんだ。ユウが変わっちゃったから。
アルを傷つけたユウに腹が立った。苦しめるなんて。なんで変わっちゃったんだ。ユウのバカ。
アルが魔法使いのところで住んだ方が良いって言った。
なんで?ユウと婚姻したがったのはアルなのに。そんなに傷ついたの?
また、ユウに腹が立ったけどユウも悲しそうな顔したから、少し可哀想に思った。
俺にも聞きたそうにしてたけど何も言わなかった。俺は大抵アルに賛成するし、反対の時はすぐ言うから聞いても無駄だと分かったのかもしれない。ユウは変なところだけ察しが良い。
アルはよく分からない理由を言って、ユウはそれを受け入れた。理由は何だってよくて、ただユウを遠ざけたいんだって分かるから。
ユウは笑いながら受け入れた。アルと俺の我儘は大抵聞いてくれるから。自分が悲しくてもやっぱりそうした。
それだけ話して、ユウは体を洗いに行った。アルは酷い顔色でベッドに入って丸まった。俺は、俺はよく分からなかった。アルが傷ついて、ユウを遠ざけたいのも、ユウがそれに傷ついたのも分かる。でも、自分がどうしたいのかが分からなかった。俺はどうしたいんだろう?
アルに賛成して、ユウが家からいなくなるのは寂しい。アルに反対して、ユウが家に残ったとしてもアルは苦しみ続ける。それなら、ユウは家にいないほうがいい。ユウは他に行けるところがあるけど、俺達はこの家だけだから。
アルとユウと俺の三人で楽しめないのは凄く残念だけど、アルがこのままでいる限り無理だから。ユウが変わらなかったら今まで通りだったのに。
寂しくて、悲しかった。一緒に居るって言ったのに。愛してるって言ったのに。変ってしまった。
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Side アル
ユウが変わった。
おかえりなさい、と言った柔らかな微笑みは、花がほころんだようで、すごく綺麗だった。
頭を殴られた気分だった。
魔法使いのところから帰ってきて、変わった。あんなに柔らかく、幸せそうな顔を見たことがなかった。俺達じゃない、ユウが幸せなのは魔法使いが夫になったからだ。
筆頭魔法使いのところに行っても変わらず帰ってきたから安心していた。一人だから求婚を受けると言っていたから同情だと思っていた。だから同じだろうと。
違った。ユウは魔法使いを受け入れた。心に。
俺達が受け入れられたと、そう思っていた。でも、違った。あんなふうに笑うなんて知らなかった。
胸が焼けて息が苦しかった。ユウの顔が見れなかった。ユウが伸ばした手を避けてしまった。
悲しそうな顔を見て、汚れているからと誤魔化した。あんな悲しそうな顔をさせてしまった。幸せにもできないのに。
裏切られていたのかもしれない。魔法使いが好きだったのかも。送り迎えをしてもらっていた。俺達の知らないあいだに、何かあったのかも。
苦しい。
もう、俺達のユウじゃない。俺のユウじゃない。
もう、俺のことを見ていないかも。もう、見てくれないかも。愛してると言っていたのに。同情相手は俺達だった?
吐きそうだ。
ユウに魔法使いのところで暮らした方が良いと言った。耐えられなかった。笑顔を見るたびに魔法使いへの愛を見せつけられているようで、酷い気分だった。優しさが、ただの同情に思えて、胸を掻き毟りたくなった。
ユウにとってその方が良いと、そう説明したが、俺が耐えられなかった。一緒にいることに。
ユウは反論しなかった。俺達が望むならそうすると、言った。
魔法使いと住むほうが幸せだろ、と大声で叫びたかった。魔法使いを愛してるんだろう、と責めたかった。なんで?となじりたかった。
喉に重い塊が詰まって、言葉が何も出ない。
片付けるから今日は泊めて欲しいと言った。諦めた顔で笑って。
また、そんな顔をさせた。俺が。
泊めて欲しいと言った。俺達の家はもう、ユウの家じゃない。三人の家だったのに。俺がいなくなって欲しいと望んだ。
ユウを見たくないのに、苦しかった。ユウが居なくなったら、見えなくなったら、少しは楽になるかもしれない。
このままだと、壊れてしまう。ユウを傷つけたくないのに傷つけたい。俺と同じぐらい傷ついて欲しい。真っ暗な気持ちだった。
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Side ベル
ユウが変わってた。
ユウはすごく楽しそうに笑った。磨いたみたくキラキラしてた。何かが変わって、違うユウになって帰って来た。いつもの様に迎えてくれたけど違った。アルも凄く驚いた顔をしてた。
魔法使いのところが凄く楽しかったのかもしれない。
ユウはいつもより笑って楽しそうだったけど、俺とアルが戸惑ってるのに気づくと心配した。アルに手を伸ばしたら、アルがユウの手を避けた。
一度もそんなことなかったのに。驚いてアルを見たら、気不味そうに言い訳をした。
アルは気分が悪いような顔をして、凄く苦しそうだった。ユウの方をあまり見ないで俯いていた。傷ついたんだ。ユウが変わっちゃったから。
アルを傷つけたユウに腹が立った。苦しめるなんて。なんで変わっちゃったんだ。ユウのバカ。
アルが魔法使いのところで住んだ方が良いって言った。
なんで?ユウと婚姻したがったのはアルなのに。そんなに傷ついたの?
また、ユウに腹が立ったけどユウも悲しそうな顔したから、少し可哀想に思った。
俺にも聞きたそうにしてたけど何も言わなかった。俺は大抵アルに賛成するし、反対の時はすぐ言うから聞いても無駄だと分かったのかもしれない。ユウは変なところだけ察しが良い。
アルはよく分からない理由を言って、ユウはそれを受け入れた。理由は何だってよくて、ただユウを遠ざけたいんだって分かるから。
ユウは笑いながら受け入れた。アルと俺の我儘は大抵聞いてくれるから。自分が悲しくてもやっぱりそうした。
それだけ話して、ユウは体を洗いに行った。アルは酷い顔色でベッドに入って丸まった。俺は、俺はよく分からなかった。アルが傷ついて、ユウを遠ざけたいのも、ユウがそれに傷ついたのも分かる。でも、自分がどうしたいのかが分からなかった。俺はどうしたいんだろう?
アルに賛成して、ユウが家からいなくなるのは寂しい。アルに反対して、ユウが家に残ったとしてもアルは苦しみ続ける。それなら、ユウは家にいないほうがいい。ユウは他に行けるところがあるけど、俺達はこの家だけだから。
アルとユウと俺の三人で楽しめないのは凄く残念だけど、アルがこのままでいる限り無理だから。ユウが変わらなかったら今まで通りだったのに。
寂しくて、悲しかった。一緒に居るって言ったのに。愛してるって言ったのに。変ってしまった。
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