ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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80.決めた

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2話投稿 2/2


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森に着いたら家の前にミカがいて、私を見て笑う。私も笑う。オリヴァにお礼を言って、また明日の約束をして帰った。

「ユウ、おかえり」
「ただいま、ミカ」

抱き合って笑う。ミカの笑顔に安心して、温かい腕の中でミカに体をあずけた。

「本当だ。俺のことすごく好きなままだ」
「そうだよ」
「家に入ろう。ユウは俺とベッドに行ってくれるんだよね?」
「いいよ。ねえ、看病のあいだ、ずっと仕事休んでた?大丈夫?」
「大丈夫だよ。ねえ、ユウ、お願い、今は俺だけ見てよ」

熱い手のひらで頬を挟まれ、真剣な目に見降ろされる。ミカの唇がそっと、そっと触れて、微かに食む。その密やかな触れ合いに息が零れ、湿ったまつ毛を開くと、潤んで揺れる目が私を見ていた。

大きな手が私の手を取り、家の中へ誘導する。服を脱いでベッドへ潜り込み抱き合った。ミカの大きくて温かい体が私を包み、肌が触れ合う心地よいぬくもりに安心する。気の緩んだ顔で笑いかけると、ミカも愛し気に笑った。

ミカの手が私の背中をそっと撫で、顔中を優しく啄んでいく。唇をそっとそっと食み、震える息を吐いてから濡れた熱い舌が唇の隙間から入り込む。
私はミカに掴まって足を絡ませながら、舌を迎え入れゆっくりと舐めまわした。二人の息が口から漏れる。ミカの優しい瞳が揺れてキラキラと私を見た。

「ユウ、ユウナギ、好きだよ、ユウ」
「嬉しい。ミカ、ミヒャエル、嬉しい。」

ミカの穏やかで優しい声音に、目が潤む。

「ずっとこうしてたい」
「ふふっ、ずっとはダメだよ。俺、ユウの中に入りたいもの。ねえユウ、俺、もっとくっつきたいんだ」

ミカの唇が首を小さく吸って、手が乳房の上で柔らかく動く。触れられる嬉しさに肌が粟立ち声が漏れた。優しく物足りない刺激に背中がしなって、突き出した乳首を厚ぼったい舌がくにゃくにゃと舐っては押し潰す。もっと欲しくて、くるくるした髪に指を通しながらミカの頭を抱き、乳首への刺激をねだった。
太く硬い指が乳首の先端を優しく引っ掻き、熱く濡れた舌が執拗に弾く。与えられる刺激に腰が持ち上がり、両足を突っ張らせてイってしまった。
大きく息をついていると力の抜けた腰を抱き、ミカが侵入してくる。切ない愛しい顔で私を見つめ、ギュッと抱きしめた。ミカの体は熱く、耳にかかる息はもっと熱かった。

「ユウ、ねえ、ユウの中、熱い。ユウナギ、俺、堪らない。ユウ、」
「ミカ、ミヒャエル、ああ」

ミカに打ちつけられ、先端が奥に届くたびに声が喉から押し出される。藻掻きながら組み敷かれることに喜び、ミカにしがみついた。

「ミカっ、あっ、ああ、離さ、ないで」
「離さない、ユウ、離さないっ、あああ、ユウッ、出るっ、うっ、ああぁぁっ」

抱きしめる腕に力が入り、私の中でミカが熱を放つ。ミカの絶頂が嬉しくて、喜びのままミカに追い縋って昇りつめる。ミカの律動と私の収縮が中で呼応して、大きな体にしがみ付き声を上げ続けた。

弛緩して荒い呼吸をしていると、顔中に優しいキスが降ってくる。ミカの優しさは私に幸福を呼び、ミカのゆっくり動く手は体に火を灯してゆく。炙られて悶える体は温かな腕の中にあって、私は少し乱れてみる。厚い胸板の下で藻掻いては捕まえられることを、安心して楽しんだ。ミカの腕の中で子供のように振る舞い、愛情の口付けと抱擁をもらって幸せに満たされた。
ミカは私を愛おしそうに見つめながら波を起こし、私は浅く深く揺らされて嬉しさに微笑む。私の中に精が放たれるたび喜びが湧いて、吸い付き蠕動した。

心地よい疲労に目を閉じ微睡んでいたと思ったら眠っていたようで、少し黄みが増した陽の光が窓から差し込んでいた。ベッドにミカがいなくて、部屋の中を目線で探すと竈で楽しそうにお鍋を掻き回している。
この静かで穏やかな光景の中に、私も居た。この幸福に私が含まれていることを、私がいて初めて完成するものだと感じた。
この家の中にミカと私がいて、それでこの幸福が出来上がってるんだと、いま初めて分かって、涙が溢れた。

私はここの住人で、もうこの国の人で、この人の妻で、笑っても怒っても泣いても逃げ出したくなっても、この人と一緒にいるんだと思った。ミカが私を迎えに来て連れて帰って、ちゃんと捕まえて腕の中に閉じ込めてくれた。
水滴で揺れる向こう側からミカがくる。ベッドに腰掛け、優しく私の頭を撫でて額にキスをした。私が体を起こしてミカの首に抱き付くと、ちゃんと抱きしめ返してくれる。この優しい人は、いつも抱きしめてくれるんだ。

「ユウ、どうしたの?」
「国には帰らない。ここに居る。ミカと居る」
「・・・ユウ、ユウナギ・・うん、一緒に居よう。俺と一緒に、ずっと」

ミカが強く抱きしめ、私を捕まえる。私もミカを捕まえる。この優しい人から離れないように。
鼻をすする音がしてミカを見たら、ぎゅっと眉を寄せたくしゃくしゃな顔に涙が流れていた。ミカの涙を吸い取り、顔中に口付ける。柔らかい唇にそっと触れると、後頭部に手が回って強引に引き寄せられた。ミカの舌が熱い息と一緒に割り入り、口中を舐め回していく。荒い息遣いが聞こえ、舌が絡んでもっと深くまで入ろうとする。腰に回された腕は私を拘束しながら、指先で甘い刺激を起こした。抱かれた余韻が残る寝起きの体は容易く刺激を拾い、強引さに腰が揺れて擦りついてしまう。

ミカが自分のズボンと下ばきを乱暴に脱ぎ去り、掛布に隠れた私を露わにして覆い被さった。精子の残滓と、新しく溢れた蜜でぬかるんだ膣にペニスを突き立てる。涙に濡れたまま私を組み敷き、ピッタリ抱き付いて夢中で腰を振り、耳元で熱い息を零し声を上げた。

「ユウ、ユウ、ユウナギ、ユウナギ、ああ、あっ、ユウ、俺のユウ、俺の、俺の、俺のだ」
「ミカ、あああ、あっ、ミヒャエル」
「ユウナギ、あああ、嬉しい、ユウ、嬉しい、俺を選んだ、ユウが俺を、ユウっ」
「うん、ミカといる、ミヒャエル」

息を切らしながら口付けし、ミカの舌に吸い付いて唾液をすする。もっと飲みたくてミカの口中を舐めてはすすった。もっと飲みたくなったのは初めてで、なんだか頭が痺れて、ミカと離れたくなくて、ミカをずっと咥えていたかった。ミカが私を穿つたびに気持ち良くて、蜜が湧き、ミカが吐精して、中で跳ねることに興奮して絶頂し、汁が溢れた。
もう、ぐしょぐしょで境目が良く分からないのに、ミカが動くたび気持ち良くてよがり続ける。ミカの荒く熱い息が耳元にかかり、名を呼ばれるたびに、震えるような喜びと、引き絞る様な疼きに悶えて体が何度も跳ねた。

「ユウ、可愛い、俺にくっついて、ユウナギ、ああ、気持ち良い、イイ、すごく、あっ、あああっ」
「ミカ、・・っぅくっうっ、ああっ、あ、ミカっミカっ、またっ、あっ、アアアアアぁ」
「ユウナギ、俺も、っくぅっ、あああっあっああっ」

二人で何度も果てて、そのたびに気持ち良くて離れられなかった。何度目かで、くっついたまま顔を見合わせキスしながら笑った。
もう薄暗く、虫の声が聞こえる。

「俺、スープ作ってたんだ。ユウを太らせなきゃいけないのに、ご飯食べてないよ」
「うん、お腹減ったみたい。食べよう」
「ユウは体洗ったら?その間に用意するよ」
「やだ。離れない。くっついてる」
「・・くふっふふ、ユウ、ふふっ、ユウが可愛いこと言う」
「ミカも一緒に洗う。それからご飯食べて眠る」

ミカに抱き付いて甘え、子供のように我儘を言った。ミカは笑って私を抱きしめ、撫でながら、そうしようか、と言って起き上がった。
なんて幸せで安心するんだろう。受け止めてもらえる安心感に任せて、我儘を言うのは。こんなことあったっけ? 
ミカに抱き付いたまま歩こうとしたけど、お湯がこぼれそうだからしぶしぶ離れた。甘えてくっつきながら体を洗ってもらい、二人でさっぱりする。
一緒に食事の支度をして席についた。ミカのスープはそんなに色んなハーブは入らない。でも、豆が多いのでモタッとする。たんぱく質多いからガタイが良いんだろうか。
普通におとなしく食事をすると、さっきまで子供のフリして甘えていたのがおかしくて笑ってしまう。子供のフリするって楽しい。ミカと目が合うとミカも笑った。

「ユウ、楽しそう」
「ふふっ、楽しい。ご飯作ってくれてありがとう」
「うん、たくさん食べて太って。ふふ、俺も楽しい」

楽しく食事をして、一緒に後片付けをした。だいぶ遅い時間になったので、寝る準備をして早々にベッドに入る。ミカと向かい合って手を握り、軽いキスをして微笑み合う。ミカの肌は温かく私を包んだ。
私はミカの家にいて、とても幸せで笑ってる。アルとベルはどうしてる?笑ってる?笑っていてほしい。傷つけておいて自分勝手だけど。

「・・ミカ、私がアル達の家から出た後で、アルとベルに会ったよね?二人は元気そう?」
「・・・・・なんでそんなこと聞くの?」
「私、ミカといて楽しいから、二人も楽しかったら良いと思って」
「・・・ユウが熱出して寝てるときに、一度きたよ。家に入れなかったけど」

握る手を強張らせ固くて怖い声で話す。私の自業自得なのに心配かけたんだろうか。どこまでも厄介かけてしまう。

「ミカ、私が悪いの。ミカの家に行こうと思ったんだけど、なんか怖くて迷ってたら熱が出たの。だから二人のせいじゃないよ」
「・・・・・俺、俺、ユウを追い出さないよ。ユウを待ってたのに」
「うん、今は分かる。あのとき怖かっただけ。ありがとう、ミカ」

悲しそうなミカの手を力を込めて握ると、しっかり抱きしめられ額に鼻を擦りつけられる。

「二人はミカに何て話したの?」
「・・・ユウは魔法使いが一番好きだから、魔法使いのところに住んだほうがいいって・・」
「・・・・・そっか」
「ユウは俺の家の子になったんだから、俺は家から出さないよ」
「うん、ミカの家にいる。離さないって言った」

嬉しそうに名前を呟きながら、ぎゅうぎゅう抱きしめるミカを抱きしめ返す。
ミカの愛情と束縛が嬉しく幸せを感じながら、ふたりに対する物凄い罪悪感に襲われた。


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