ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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92.信用されてない

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2話投稿 1/2


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体がくすぐったくて目を覚ますと、エーミールに悪戯されていた。
脇腹や乳房の下をそっと撫でている。
目が合うと悪戯っぽく笑って、ペロリと肩を舐めった。

「おはよう、エーミール」
「おはよう、ユウナギ」

頬杖をして穏やかに微笑む白い肌が朝の光の中、なめらかに映えて、生クリームみたい。柔らかな頬を優しく撫で、唇に軽く指でふれた。

「朝陽にも映えるね。綺麗」
「愛の言葉が増えたな」
「うん。誰も言ってくれないから自分で言うことにした」
「・・・」
「・・っふふっ、冗談。可愛い人に言いたいから言ってるだけ」

笑顔のまま固まったエーミールの手を取って、頬ずりをした。

「エーミール、昨日は足りた?指じゃ足りない?おもちゃが欲しい?それとも男の人がいい?」

急に抱きしめられて、エーミールの胸の中に包まれた。

「なぜそんなことを?」
「んー、エーミールは男も女も知ってるから、私だけじゃ物足りないかなと思って。愛情とは別に性的嗜好があるから、エーミールが満足できることを考えたいなと」
「・・・ありがとう。・・そんなふうに・・・」

頭に頬ずりして深い息を吐くと、エーミールの柔らかい指が私の背中を撫でさする。

「・・昨日は、足りたが、足りない。ユウナギにふれなかった。」
「そうだねぇ。でももうすぐ時間でしょ?すぐ終わる?」
「・・努力する。ユウナギはすぐ終わっても満足するのか?」
「エーミールが睦言くれたらね」
「・・・・・本当のことなど」
「嘘なら良いの?じゃあ、私も嘘を言おうかな」
「ダメだ」

顔をあげてエーミールを見ると、眉を寄せ口を結んで何かを飲み込むような困った顔をしている。なんだろね、この人は。困ったちゃんめ。両手で頬を挟み鼻を摺り寄せた。

「困った人。好きだよ、エーミール。・・私のこと好き?」
「ああ、ユウナギ」
「言わなくていいから、名を呼んで」

柔らかな唇に口付ける。二人で啄み合い、すぐに舌が絡まった。エーミールの舌が口中を撫でまわり、手は乳房を撫でまわす。指で乳首を摘まみ弾いて、官能を引き出してゆく。エーミールのお尻を揉むと、身じろぎし喘ぎが漏れた。
お互いの感じる部分を触り合って身を捩り、吐息が交わる。立ち上がったペニスを優しく擦りながら陰嚢を柔らかく指でくすぐると、太腿の筋肉が張り詰めて、びくついた。
エーミールの指が私の窪みにすべり込み、クリトリスまで滑りを塗り広げる。

「ユウナギ、あぁ、ユウナギ、私を入れてくれ」
「エーミール、きて。中に出して。エーミール、欲しい」

熱を持った潤んだ目で私を見つめ、ゆっくり入り込む。か細く呻きながら根元まで埋め込むと、震える息を吐き出した。

「ああ、ユウナギ、良い、すごく」
「嬉しい。エーミールが気持ち良くなると嬉しい」
「・・可愛いことを」

エーミールが動き出す。私を抱きしめて舌を絡ませながら。荒い息と肉を打つ音、快感に喘ぐ声、二人だけの世界で抱き合った。

「エーミール・レオン、ああっ、エーミール、ねっ、あっ、連れて、行って」
「ユウナギ、ああ、私の妻、あああ、ああっ、ユウナギ」

エーミールが動くたび擦れて、刺激が積み上がる。エーミールが力強く私の腰を掴んで、奥を穿つように刺激を打ち込み、腰が跳ね上がりしがみついた。

「ああっ、あっ、エーミールっ、もう、もう、っっあっくうぅぅっああ、アアアぁぁ」
「ユウ、ナギっ、ぅっぐぅっっ、ああぁっ」

足でしがみ付き、腕を掴かみながら仰け反った。
私のびくつきと中で跳ねるエーミールが落ち着くまで、体が痺れて動けなかった。
体の力が抜けて、くたりと横たわった私の上に温かな体があり、優しいキスを頬にくれる。静かな微笑みと一緒にそっと抱きしめられた。

「エーミール」

覗き込んだエーミールの頬にキスをして抱きしめ、笑う。

「呼んだだけ。さあ、身支度しないと」
「・・ああ」

浴室で身支度をして、テーブルでお茶を飲んでいるとオリヴァがやや不機嫌でやってきた。

「おはよう、オリヴァ、座って。ここで編むよ」
「・・なぜ?」
「二人に話があるから」

訝し気な二人に笑い掛けた。
オリヴァに座ってもらい、頭にキスをして梳かし始める。

「あのねえ、何も言わなかったのは、言いたくなくて言えなかったの。認められなくて。嫌われたと思ってたから。熱が出たときも、寝てれば治ると思ってたの。私、国では一人暮らししてて、熱出しても一人でしばらく寝てれば治ってたから。だから、頼りないとか思ってないよ」
「一人暮らしって、家だろう?外じゃない」
「うん。冷静に考えればそうなんだけど、そのときは気付かなくて。すでに判断がおかしくなってたのかもしれない」

オリヴァの髪を結んだ。オリヴァが立ち上がってため息をつき、私を抱きしめる。

「ユウナギの判断に任すのは危ないということだな。次、何かあればユウナギの同意を取らずに私が判断する」

エーミールが厳かに宣言した。

「もう、大丈夫だと思うけどさ」
「ユウナギの大丈夫は信用できん」
「あー、言われてしまった」
「その通りだ」
「オリヴァまで言う。・・・二人とも大事な夫だよ。大事に思ってることは伝わってる?」
「ああ」
「どうだかな」

片眉を上げて面白くなさそうな顔をしてる。
あれー、めっちゃ信用されてない。昨日から可愛がってるのに。なぜだ。

「まあ、エーミールさんてば疑り深いのね」
「隠し事ばかりする妻に散々振り回されたんだ。疑り深くもなる」
「えー、隠し事するのと大事にするのは別の話じゃない?」
「別ではない。大体ユウナギは夫のことを何だと思っているんだ」
「ええ、難しいことを。・・・これからずっと一緒に過ごす人?かな」
「・・・これからずっと一緒に過ごす相手に隠し事ばかりだと、上手くいくものも上手くいかなくなるぞ」
「・・・はい、ごめんなさい。でも、隠し事は一つだけだよね?」
「その一つが大きすぎるんだ」
「・・はい、ごめんなさい。・・・ごめんね」

私を抱きしめているオリヴァの胸に顔を埋めてしっかり抱きしめた。オリヴァが頭を撫で、額にキスをし『心配した』と囁いた。ごめん、ごめんね、と何度も呟いて抱きしめた。

「私には?」

エーミールの声に顔を上げるとムスッとして私を見てる。
オリヴァから離れてエーミールをギュッと抱きしめると、しっかり抱きしめ返された。ごめんね、と呟いて顔を擦りつけると、顎を掬い上げられ唇が触れる。触れるだけと思いきや舌が侵入してくるので離れようとしたら、頭をがっちり抑えられて逃げられない。
また舌を吸ったら満足するかと思って、吸い付いたら、逆にしつこく吸い付かれて困惑する。諦めてエーミールの舌の動きを享受した。
エーミールが息を吐いたところで顔を押さえる。

「どうしたの?」
「・・・このまま、押し倒したい」
「・・仕事でしょ?可愛い人」

髪を撫でて頭を抱き、耳元で『私も』と小さく囁いて耳にキスをした。笑って体を離し、手を握って挨拶をする。少し潤んだ目で見送られオリヴァと帰る。
森と思ったらオリヴァの部屋だった。戸惑っていると抱きすくめられ強引にキスをされる。頭を押さえられて口中全部を乱暴に犯された。
荒い息をするオリヴァの唾液を飲み込む。

「はぁっ・・ユウナギ、私の前でヘルブラオと・・」
「押さえられて動かせなかったの、今みたいに。・・・二人とも強引過ぎる」
「最後は優しかった」
「・・うん、甘えたいのかと思って優しくした。オリヴァにも優しくしてると思うんだけど」
「・・している」
「じゃあ、今度エーミールがおいたしたら、お仕置きしますか。手伝ってね」
「??どんな?」
「オリヴァの前でエーミールをひん剥いて恥ずかしい目に合わせる」
「・・・私はそれを見なくてはいけないのか?」
「目をつぶってて。音は聞こえるけど」
「・・・・・余計に」

滅茶苦茶に嫌そうなオリヴァの顔を見ると、あまりに嫌そうなので笑える。初めて見る顔だ。

「嫌ならエーミールを縛りつけてから、バレないように消えてていいよ。オリヴァの前だよって脅すだけにするから」
「縛る??」
「・・手を動かせないようにするだけだよ。大丈夫。さあ、今日は帰ろうかな」

笑って言うと、物凄く複雑そうな顔をした。


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