107 / 139
106.愛しいあなたへ Side エーミール
2話投稿 2/2
____________
Side エーミール
初めての恋人について聞かれ、答えた。
優しく、愛情深かったと。
優しい手つきを思い出してみると、ユウナギに重なった。私を愛し気に見る目を、触れ合った肌も、あの温度も、思い出そうとすると、ユウナギに変わる。
抱きしめられたことも、ふれるだけの口付けも、甘やかな微笑みも、ユウナギのものに変わった。
愛情の記憶が変わるほど、私はもうずっと愛され慈しまれていた。甘やかされ大事にされていた。
私の望みはすべて叶えられ、与えられていた。
私のために身を捧げ、羞恥に顔を隠す、可愛らしい人。
私の腕の中で震えることしかできない、愛しい妻。
頼りなげに腕の中で丸まり、私の手を待つだけのユウナギを抱きしめた。
私の望みを叶えるために、おののきながら身をゆだねている。
私にすべてをゆだねる、いたいけな体を抱きしめて、大人である自分を自覚した。
私は愛されることを待つだけの子供ではなく、愛するものを慈しむことができる大人だった。
あなたの愛を、慈しみを受け取り、愛に飢えた子供はようやく大人になった。
あなたの献身を受け取った。あなたの脆さも、柔らかさも。楽しさを、軽やかさを。
幼い部分を残して、いとけない優しさで私を包み、甘やかした。ただ優しいだけの優しさが私を癒す甘露だった。
私は大人になった。あれは懐かしい子供時代の思い出。
私は愛する人を抱きしめ、口付けをする。
もう、待つ必要はない。私が手を伸ばし抱きしめるのだから。そして、妻はいつだって、私を抱きしめ返す。愛し気な目をして。からかうように笑って、私を受け止める。
あなたは幻ではなく、生身で温度を持ち、笑い泣き怒り楽しむ。
ただ愛を乞うのではない。私が愛しむのだ。私が手を掛け、大事に手入れし、慈しむ、愛する人。
あなたを愛することができる。あなたを包むことが、守ることが、可愛がることも、甘やかすこともできる。
腕の中で守られているだけでは満足しないのだろう?では、いつでも避難できるようにしておこう。あなたの羽を休める場所になろう。
濡れた目で私を求める愛しい人、サラリと私をいなす軽やかな人、柔らかくふれる唇の優しい人。
私の愛しい妻、ユウナギ。私を愛しく思う妻。これからも、あなたとともにあることを女神に感謝する。
____________
Side エーミール
初めての恋人について聞かれ、答えた。
優しく、愛情深かったと。
優しい手つきを思い出してみると、ユウナギに重なった。私を愛し気に見る目を、触れ合った肌も、あの温度も、思い出そうとすると、ユウナギに変わる。
抱きしめられたことも、ふれるだけの口付けも、甘やかな微笑みも、ユウナギのものに変わった。
愛情の記憶が変わるほど、私はもうずっと愛され慈しまれていた。甘やかされ大事にされていた。
私の望みはすべて叶えられ、与えられていた。
私のために身を捧げ、羞恥に顔を隠す、可愛らしい人。
私の腕の中で震えることしかできない、愛しい妻。
頼りなげに腕の中で丸まり、私の手を待つだけのユウナギを抱きしめた。
私の望みを叶えるために、おののきながら身をゆだねている。
私にすべてをゆだねる、いたいけな体を抱きしめて、大人である自分を自覚した。
私は愛されることを待つだけの子供ではなく、愛するものを慈しむことができる大人だった。
あなたの愛を、慈しみを受け取り、愛に飢えた子供はようやく大人になった。
あなたの献身を受け取った。あなたの脆さも、柔らかさも。楽しさを、軽やかさを。
幼い部分を残して、いとけない優しさで私を包み、甘やかした。ただ優しいだけの優しさが私を癒す甘露だった。
私は大人になった。あれは懐かしい子供時代の思い出。
私は愛する人を抱きしめ、口付けをする。
もう、待つ必要はない。私が手を伸ばし抱きしめるのだから。そして、妻はいつだって、私を抱きしめ返す。愛し気な目をして。からかうように笑って、私を受け止める。
あなたは幻ではなく、生身で温度を持ち、笑い泣き怒り楽しむ。
ただ愛を乞うのではない。私が愛しむのだ。私が手を掛け、大事に手入れし、慈しむ、愛する人。
あなたを愛することができる。あなたを包むことが、守ることが、可愛がることも、甘やかすこともできる。
腕の中で守られているだけでは満足しないのだろう?では、いつでも避難できるようにしておこう。あなたの羽を休める場所になろう。
濡れた目で私を求める愛しい人、サラリと私をいなす軽やかな人、柔らかくふれる唇の優しい人。
私の愛しい妻、ユウナギ。私を愛しく思う妻。これからも、あなたとともにあることを女神に感謝する。
あなたにおすすめの小説
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。