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番外編1)君の想い。*(遊眞✕奏一郎)

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注)こちらは奏一郎と遊眞の過去のお話になります。
 主人公の攻守が変わり、本編で攻めだった奏一郎が、こちらでは受けになります。
 苦手な方は番外編1を飛ばして、番外編2にお進み下さい。









***






「遊眞。今日また放課後、家に行っていいか?」


 秋も深まるある日。
 ここはどこにでもある高校の昼休みだ。

 普通科三年の俺、蒼井奏一郎あおいそういちろうは、従兄弟である英語科一年の蒼井遊眞あおいあすまの教室を訪ねていた。


「……イイケド。奏一郎、また失恋したの?」


 この頃の遊眞はまだ俺より十センチ以上背も小さく、着崩した制服に、色素の薄い長い髪。耳にはピアスをジャラジャラつけていた。パッと見はどう見てもヤンキーだが、そんな遊眞が飲んでいるのは紙パックのいちご・オレで、周りにいるのは可愛い女のコ達というアンバランスなやつだった。


「うっさいな。あんま、でかい声で言うなよ。とにかく放課後な」


 ムッとした顔でそれだけ言うと、俺はさっさと自分の教室に戻った。
 あの頃の俺は、恋愛感情と性欲のコントロールがなかなかうまく行かなくて、いつでも何かが不安定で。こうしてしょっちゅう遊眞の所に通っていた。








 放課後。


「んで? 今度は誰に振られたわけ?」


 ここは遊眞の部屋のベットで、遊眞は慣れた手付きで俺の制服のブレザーとワイシャツを脱がせていた。脱がせたネクタイで俺の手首を縛りながら、面倒臭そうにそう聞いてくる。


「さ、笹崎……。直接フラれてはないけど……」


 俺はムスッとした表情で、答える。


「ふぅん。ああ、バスケ部の。笹崎先輩、最近彼女できたらしいって、クラスの女子が騒いでたっけ。そもそも奏一郎に同性に告る勇気なんて無いもんねー? 笹崎先輩、明らかにノンケだし」


 遊眞は自分から聞いてきたくせに、俺の話に興味なさげだ。
 遊眞は俺の顔に手際よくアイマスクをはめさせて、隙間を塞ぐようにタオルを巻く。


「ほら、下も脱がすよ。腰上げて」


 そう言って、遊眞は慣れた手付きで俺の制服のズボンを脱がせにかかる。俺は素直に従って、されるがままにズボンを脱がされた。


「奏一郎、もう勃ってるね」


 遊眞はなんの躊躇いもなく、俺の性器を握った。


「う……っ、いきなりかよ……」


 遊眞はそのままゆるゆるとそれを扱いたかと思うと、突然俺をベットに突き飛ばす。


「っ………、おい、遊眞っ! 危ないだろ」


 下がマットレスなので痛みはないが、俺は遊眞に文句を言う。俺は今アイマスクのせいで何も見えていない訳で、下手をしたらベットの縁や壁に頭をぶつけかねないからだ。


「えー? 奏一郎、自分の立場わかってる? 僕に文句が言える立場なんだっけ?」
「うっ……」


 パシンっ、と不意にむき出しのペニスを軽くはたかれる。


「っ、……ってぇ……」


 俺はペニスの痛みに背中を丸めて耐えた。タマほどのダメージはないにせよ、敏感なそこに無体を働かれ、俺の体の芯にはズキンズキンと衝撃と痛みが走る。


「やなこと忘れさせてほしいんでしょう? いつもみたいに、滅茶苦茶にしてほしくてウチに来たくせに」


 ベッドで丸まったままの俺の脇腹に、遊眞の舌が触れる。シングルベッドがきしみ、ベッドに膝をつかれる感覚がある。ペロリとわき腹を大きく舐められると、ヒクンと俺の体が跳ねた。


「相変わらず、奏一郎は感度イイねー。今日、奏一郎に試したいものがあるんだけどイイ?」


 そう言いながら、遊眞の手は俺のペニスを握ってゆるゆると扱く。そこから俺は遊眞に覆いかぶさられるような体勢になって、乳首を舐められた。遊眞が舌を動かすたび、遊眞の柔らかい髪が揺れて、俺の鎖骨をくすぐる。


「アア……あ、ん。ふ、ん……」


 俺の頭は既にふわふわととろけるような快感が支配し始めていた。普段とは違う、甘ったるい声が、俺の意思に反して口から漏れ出る。


「奏一郎、ホントに感度イイよね。ある意味羨ましいよ」


 そう言って、遊眞は乳首に歯を立てる。そのまま歯で軽く挟むようにしながら、先端の敏感な部分だけを舌でしつこく嬲った。背筋にゾクゾクと、くすぐったさにも似た特有の快楽が走る。


「うあ、あ……それヤメ……」
「やだよ。の時は好きに抱いていーって約束だし」


 そう言われて、遊眞に散々乳首を嬲られる。しつこく擦られてぷっくりと膨らんで赤くなってしまった乳首に、遊眞が何か固い冷たいものをくっつけてきた。乳首に触れるか触れないかの位置に、テープで止めている。


「ほら。奏一郎のダイスキなやつ、行くよー」


 遊眞は楽しそうにそう言って、パチンと何かのスイッチを入れた。


「は、ああッ……!!」


 途端に乳首にビリビリと強烈な快楽が走った。この行為は何度かされているので、何をされたかは分かっている。
 けれど、初めてされた時より、今の方がずっと耐え難い快楽が俺の乳首を蝕む。ゾクゾクとくすぐったいのに、強烈に気持ち良くてぞわぞわする。手首を縛られている俺は、くねくねと身を捩って耐える。


「あ、ひあ……、あっ、ああ……う……っ」


 乳首の快楽には耐えられていても、くすぐったさには小さな声が漏れ出る。まだ理性の残るうちに声を出すのは凄く恥ずかしい。

 くそっ。早く、理性なんてなくなれ……。


「ふふ、気持ち良さそうだね。ほら、もっと乳首に押し当ててあげるね?」


 遊眞は容赦なくローターの振動を乳首に押し当てて、ベッド上でくねくね逃げ惑う俺で遊んでいた。


「あはは。奏一郎ってホントに可愛い。もっともっと、気持ち良くしてあげる」


 そう言って、遊眞はベッドの下の段ボール箱からローションを取り出し、慣れた手付きで手に絡めた。その手を更に俺の性器に絡めて、ローションを塗りつけるように俺の性器を捏ねる。
 先端の敏感な部分を掴まれて、親指の腹でグリグリと撫でられると、俺は堪らずに鳴き声を上げた。 


「ひっ……ああ……! あ、あ……」


 そこは本当に俺が弱い所で、そこばかりをされると簡単にイッてしまう。


「あっ、まだイかないでね?」


 俺を見透かすように、遊眞はそう言った。
 けれど、手は勿論止めてくれない。

 遊眞は反対の手にもローションを出して、俺のペニスの先端にたっぷりと塗りつける。そこに手のひらをあてがって、反対の手で陰茎を掴むと、そのまま手のひら全体に円を描くように、俺の敏感な先端を擦り付けて強く刺激した。


「ああーッ、あー! ……ッ、それはダメッ! ……っま、遊眞っ無理、無理ぃ…!!」


 思わず声を上げて、強い刺激からなんとか逃れようと俺はくねくねと腰を動かす。


「やだな、奏一郎。そんなんで逃げられると思ってるの?」
 

 明るく笑い飛ばす遊眞によって、弱いその部分を散々嬲られる。
 けれど、イカせてはもらえない。
 俺がイキそうになると、見透かしたように遊眞が刺激をやめてしまうからだ。
 今イッたら俺が冷静になってしまうことを、遊眞は本当によく理解している。


「さて。そろそろ後ろも行っとこうかなー」


 既にグッタリと脱力している俺に、遊眞はそんな声をかける。
 珍しく行為の途中で手首の拘束を外されたと思ったら、右足首と右手首、左足首と右手首を、それぞれ手錠のようなもので繋がれる。

 こうされると、俺は足を開かざるを得ない。抵抗もほとんどできなくなる形だ。俺は思わず、ゴクリとつばを飲み込む。
 遊眞のことだから、酷いことにはならないとは思う。思いはすれど、何かあっても抵抗できないと思うと、なんだかソワソワしてしまう。


「これ、いいでしょー? こないだ教えてもらったんだ」


 誰に、とは聞かない。聞いてもきっと遊眞は答えないし、遊眞はそもそも謎が多い。


「後ろ、入れるよー」


 言い終わるとほぼ同時に、俺の中に遊眞の指が一気に二本入ってくる。たっぷりとローションを絡められた指は、なんの抵抗もなく二本共根本まで入ってしまった。


「ちゃんと中、洗ってきたんだね。最近する回数も多いから、二本くらいならもうすぐにでも入れられちゃうくらい、ゆるゆる」


 そう言って、遊眞の指が中をかき回すように動く。すぐに三本目の指が入れられると、その指は俺の弱い所を的確に突くように抜き差しを始めた。


「い、きなりかよ……う、ああ、ん、あっ、あ、あんまソコばっか突くな……ん、は……」


 悪態をつこうと思ったが、体の中心に走る強烈な快楽に流されてアッサリとそれは嬌声に変わる。


「ココばっか突くと、奏一郎はどうなるんだっけね?」


 クスクスと笑って、遊眞がそんなことを言う。


「う、っさい……やめ……ろっ……やめ、……ッッ!」
「えー? 奏一郎、それは明らかにだよねぇ? お笑い芸人的な」


 遊眞はそう言って、一度指を抜き、段ボールから細長い玩具を出した。その玩具ににコンドームをつけると、ローションを絡める。


「試してみようか。ココばっかり突いたら、どうなるのか」
「遊眞……や、やめ……ッ!!」


 俺の願いは届かず、容赦なくそれは尻の穴の入り口に付き立てられる。
 細くて丸い球体が連なる形のそれは、遊眞が少し力を込めただけで、すんなりと奏一郎のそこに潜り込んでしまった。

 慣らすようにぐるぐると中を掻き回されてから、先程の場所をグイグイと突かれる。


「あっ、あっ、やめ、あす、あすまぁ……ッッ!」


 ソコを突かれる度に、俺の口からは切なく甘い声が止めどなく漏れた。
 一定のリズムで弱い所を突かれ、俺は逃げ惑うように腰を振った。けれど、遊眞は逃してくれるはずもない。

 容赦なく襲い来る快楽の波に蝕まれた肉体を脱ぎ捨てることは当然出来なくて、俺は涙を流しながら強烈な快楽に耐えるしかない。


「今日は後ろだけでイッてみてよ、奏一郎」
「あっ、あっ、やだ、もう無理、無理だからぁ……っ。遊眞っイカせて、イキたい……前、触ってよぉ……」
「えー。練習しないと、トコロテンできるようにならないでしょー?」


 耳元で声が聞こえるが、快楽に蝕まれすぎた俺の頭では、もう理解できない。ただただ恥ずかしい言葉を遊眞にぶつけて、快楽をねだる。


「前……、前に欲し……、もっと、遊眞……ぁ、もっと……前ぇ……」
「えー? じゃあ、こういうのはどう? 最近出たらしいんだけど」


 そう言って、遊眞は手を止めて箱から何かを取り出す。フィルムを剥がす音がしたと思うと、ペニスに何かを装着された。


「テンガって言うらしいよ。えー、ここの穴を押さえて、ピストンする、と……」

 説明書を読んでいるのか、遊眞はブツブツ喋りながら手を動かした。


「っ、な、なに? ……あ、すごい、なに……、ああっ……!?」


 遊眞がその玩具を掴み、上下にピストンするように動かす。
 すると、ヌルリとしたローションの刺激とともに、玩具のぬめった壁がペニスに吸い付くように強烈に絡みつき、既に限界間近の奏一郎に耐え難い刺激を与えた。


「あーっ、あっ、ダメ、これ、あっ、ダメっ…すぐイク……イッちゃう……イッちゃうからぁ……!」
「えー? 駄目はないでしょ? 奏一郎が『前も触って』って言ったから、してあげたのに。あ、ごめんごめん。勿論後ろも、ちゃんとしてあげるね」
「ヒッ! ダメ、やめ……後ろ、だめ……両方、したらっ、おかし……なるから、やだ……ぁ、やだ、……ひッ……!!」


 俺の懇願なんぞを遊眞が聞くはずもない。容赦なく後ろの穴から差し込まれた玩具で、前立腺をズンズンと突かれる。


「あぐ……ぅっ。が、あっ……あっ、は……だめ、おれ、それ以上したら……死んじゃうよぉ……すまぁ……あすまぁ…!!」
「ふふっ。奏一郎は感度が良すぎるんだよ。大丈夫。セックスが気持ち良過ぎて死んだって人の話は、今のとこ聞かないから」


 そう言って、遊眞は無邪気に笑った。
 前と後ろからの強烈な快楽を与えられて、俺は狂ってしまいそうだった。
 俺の意志に反して腰が勝手に動く。涙や唾液、カウパーにローション。体中のあらゆる穴から、色々な液体がだらし無くこぼれ落ちた。

 頭が、真っ白になる――――。


「ふ……そろそろ、僕も限界。奏一郎。ナカ、入るよ?」


 唐突に尻の穴の玩具を抜かれ、代わりにもっと重量のある温かいものが入ってくる。無機質な機械と違うそれは、深く差し込まれたかと思うと、再び俺の前立腺をグンと突いた。


「いっ、いいっ。んん、あっ、あっ。あすまぁ、あすま、そこ、もっと、もっとぉ……!!」


 あまりの刺激と辛さに、俺は更にボロボロと涙を零しながら、体はいやらしく貪欲に、快楽を求める。


「ったく、奏一郎はここまでしないと素直になれないんだから。ホントに困ったチャンだねぇ?」


 やれやれ、と言うふうにそう言ってから、遊眞は激しく腰を振る。えぐるように深く俺の中を突いて、その動きに合わせて前につけていたテンガを激しく動かした。


「ん、僕も気持ちいいや……。ねぇ、奏一郎。僕のこと、好き?」
「ん、好き、好きぃ! あすまぁ、もっとぉ、好きだからぁ、……好き、そこもっと……ぉ!!」
「そう。ありがとう。僕も……だよ」
「ひぃっ!? ああ、んんん、イイッ、そこは、あっ、い、イクぅッッ…!」
「っ……! 僕も、もう……!」
「あ、あーっ…ああ…ッッ!!!」


 俺は頭の中が真っ白になって、パチパチ火花が散るように弾ける。
 感電したかのように、ビクンビクンと体が痙攣して、濃い白濁がポタポタと零れた。同時に遊眞のペニスが中で弾ける感覚がある。


 俺はもう、気持ちいいこと以外、何も考えられない……。






 

 ズルリとペニスが尻から抜かれると、目隠しや拘束具が遊眞によって外される。

 俺は脱力したまま遊眞のベッドに寝転んで、ハァハァと浅い呼吸を繰り返していた。


「奏一郎、オツカレー。どう? 笹崎先輩はもう忘れられた?」


 遊眞が使用済みのゴムの口を縛りながら、ニコニコと話しかけてくる。


「まぁ、な……」


 さすがに少し気まずくて、俺は話題をそらす。


「っていうか、あの新しい玩具ナニ? あれ、まじてヤバいんだけど」
「あー、テンガ? そんなに良かったの?」


 遊眞は縛ったゴムをゴミ箱に放りながら俺に問う。


「なんか、すっごい吸われながら舐められてるみたいな」
「へー! 今度僕も試そうかな」
「おま、自分で試してないやつ俺に使うなよ」
「えー? 気持ちよかったんだから、良いじゃーん」






 あの日から十数年。
 心と体のバランスが取れるようになった今、遊眞がアメリカに行ってしまったこともあり、俺はいつの間にか遊眞とそういうコトをする事はなくなった。けれど。

 遊眞はなぜだかいつも、ここぞというときにアメリカから帰ってくる。



『奏一郎が困ってたら、僕がいつだって助けるのに』


 昔からの遊眞の口癖は、今も変わっていない。
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