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1章 最強のウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「部屋番号とウィザード様」

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大灯魔台神館

マリアが神館を見上げて言う
「わぁ… 大灯魔台神館は 建物も大きいですね」
レイが言う
「マリアは 大灯魔台の灯魔儀式を見るのは 2回目だろ?」
マリアが言う
「あ、はい でも 以前 見た時は 私は まだ6歳程度でしたから 正直 何が何だか良く分からなくて 改めて見ると やっぱり凄いです…」
レイが言う
「それに今度は その時とは違って マリアは奉者として来たんだから 凄いよな?」
マリアが苦笑して言う
「何も分かって居ないのは 余り変わってない気もしますけど」
レイが言う
「今回は俺が 居るんだから 何も心配はないよ!」
レイが歩き出す マリアがハッとして言う
「あの…っ ウィザード様っ」
レイが立ち止まって言う
「ん?」
マリアが言う
「もし 万が一 この大灯魔台の灯魔儀式が失敗して 魔力が暴走したら… 私、ウィザード様に ”お願い”をしますから …その時は この神館に居る 皆を助ける為に 魔法を使って下さい」
レイが一瞬呆気に取られる マリアが真剣に見詰める レイが苦笑して言う
「分かってる けど 俺は そうはさせないから」
マリアが言う
「え?」
レイが微笑して言う
「言っただろ?俺に掛かれば 儀式の失敗なんて有り得ない ”マリアのウィザード様”は 最強のウィザードだからな?」
マリアが呆気に取られた後 苦笑して言う
「はい… そう信じています …行きましょう!」
レイが頷く マリアとレイが神館へ向かう

大灯魔台神館 受付

マリアが自動ドアを抜け入って来ると 先に 受付をしている奉者2が居る マリアが思わず声を出して反応する
「あ…っ」
マリアが奉者2の後ろに居る ウィザード2を見て思う
(初めて見る 他のウィザード様…っ)
レイがマリアに遅れて来て マリアの横に立つと ウィザード2が僅かに反応して振り返る マリアがハッとしてウィザード2を見る ウィザード2が視線を強める

受付を終えた奉者2が ウィザード2を見た後 レイとマリアを見る マリアが反応して言う
「あ、あの… こんにちは!」
マリアが微笑する ウィザード2が奉者2へ言葉を伝える マリアがそれを見て疑問すると 奉者2マリアへ向かって来る マリアが呆気に取られると 奉者2が微笑して言う
「こんにちは 初めまして 私はミレイ・クレシアと申します」
マリアが慌てて言う
「あっ マリア・ノーチスと申します 宜しくお願いします」
奉者2が言う
「こちらこそ 私のお仕えする ウィザード様からも 宜しくお伝えするようにと」
マリアが驚いて言う
「え…っ!?」
奉者2が一度レイを見てからマリアへ言う
「それでは また後ほど」
奉者2が礼をする マリアが慌てて言う
「あ、は、はいっ 後ほどっ!」
マリアが礼を返すと 奉者2がウィザード2と共に施設の奥へ向かう マリアが肩の力を抜いて言う
「びっくりした… まさか あちらのウィザード様から 宜しく伝えるようにだなんて…」
レイが言う
「マリアは 堂々としていれば良いよ」
マリアがレイを見上げて言う
「え?」
レイが言う
「行こう」
マリアが慌てて言う
「あ、はい…っ」
マリアが受付へ向かう

ホール

マリアがホールのドアを開けながら言う
「このホールが 控え室前の 集合場所だそうです」
マリアがドアを開け レイへ向けていた視線を正面へ向けると同時に驚いて言う
「わっ!?」
マリアの視線の先 ホール内に5人の奉者とウィザードが居る マリアが思う
(わ… わぁ…っ!す、凄い さっき 他のウィザード様を見ただけでも ビックリしたのに それが 5人もっ!)
レイがマリアに続いてホールに入る 途端にホール内に居たウィザードたちが 一斉にレイへ視線を向ける マリアが自分の後ろに居るレイに向けられた視線に一瞬驚き 間を置いてレイを見てから思う

(び、びっくりした…っ!殆ど全員同時に…っ 一瞬 私に視線が向いたのかと思って 心臓が止まるかと思った… でも?)
ウィザードたちの反応に 奉者たちが徐々に気付いて視線を向け始める マリアが疑問していると レイが言う
「マリア 控え室は?」
マリアが慌てて言う
「あ、は、はいっ!えっと… 控え室の番号は …1番です」
マリアが思う
(何で 寄りによって 1番なんだろう…っ?せめて 5とか6とか… 7番があるなら そこで良いのに…っ)
レイが先行する マリアが慌てて追って行き 部屋の鍵を開け レイとマリアが部屋へ入る

控え室

レイが進み入り マリアが扉を閉めると言う
「はぁ… 緊張した…」
レイがソファに座ると微笑して言う
「マリアが緊張しなくても良いだろ?」
マリアがレイの下へ向かいながら言う
「そうは言いましても 私は ウィザード様以外のウィザード様を見るのは 14年振りで… それも あんなに大勢居ると… 物凄い迫力で」
レイが言う
「14年前だって 6人のウィザードが 儀式をやったはずだけど?」
マリアが言う
「私の記憶にあるのは 1人だけです お母さんのウィザード様だけで…」
レイが言う
「そうなのか」
マリアが言う
「あの時は とっても怖い思いをしたので それ以外の事は 殆ど覚えて居なくて…」
レイが沈黙する マリアが時計を見てから言う
「早めに来たのは良かったですが 時間までどうしましょう?やっぱり 皆さんに ちゃんとご挨拶した方が 良いですよね?皆さんはホールにいらっしゃいますし 一息吐いたら 私たちも ホールへ出た方が…」
レイが言う
「マリアの好きで良いよ?疲れるんなら ここに居た方が良いだろ?」
マリアがホッと微笑した後 ハッとして言う
「い、いえっ!いけませんっ!」
レイが呆気に取られて言う
「え?」
マリアが言う
「こう言う時こそ!積極的に ご挨拶してこそっ!後の成績に繋がる物です!」
レイが疑問して言う
「成績?」
マリアがレイへ向いて言う
「行きましょうっ!ウィザード様っ!皆さんに ご挨拶をしましょうっ!」
レイが言う
「あ、うん?マリアがそうしたいなら 俺は別に?」
マリアが言う
「別に じゃありません!ウィザード様のお好きな 奉者の女の子たちだって 一杯居ますよ!?」
レイが疑問して言う
「え?」
マリアがレイの腕を掴んで言う
「え?じゃ ありませんっ この際ですから許します!さあ!皆さんと違って 黒っぽい法衣でも 堂々と行きましょう!」
レイが疑問して言う
「え、えーっと?マリア?」
マリアが言う
「はいっ マリアです!行きますよ!ウィザード様っ!」
マリアがレイの腕を引く レイが慌てて言う
「わ、分かったからっ!?」
マリアがハッとして言う
「ああっ すみませんっ 思わず気合がっ」

ホール

マリアがドアを開けると ホールに居た10人の視線が再び集まる マリアが身を強張らせて思う
(う…っ 何でこんなに 視線が集まるの…?)
マリアが自分の後ろに立ったレイを横目に見てから思う
(う~ん… もしかして…?灯魔儀式を終えていない町の ウィザードだって事が 分かるのかな…?何で…?あ?ひょっとして?)
マリアがウィザードたちを一瞥してから思う
(法衣の色?でも ウィザード様は 法衣の色は 魔力の強さだって言っていたから だとしたら ウィザード様の法衣の色は一番暗い色で… それで逆に 視線を集めてるのかな?)

奉者たちが自分のウィザードから言葉を受けている

マリアが気を取り直して思う
(ううんっ?怖気ていては駄目!こう言う時は 声を掛けた者勝ちってものだからっ 思い切ってご挨拶に行こう!…それで、誰から行くべきかな?やっぱり 法衣の色が明るい人から? …え?)

マリアが向かおうと顔を上げた先 奉者3が言う
「初めまして  リア・サインと申します 3番の控え室を使用している ウィザード様の奉者をしております」
マリアがハッとして 3番の控え室を見る ウィザード3がマリアを見てからレイを見て視線を逸らす 奉者3が言う
「本日は宜しくお願い致します」
マリアがハッとして 慌てて言う
「あ、失礼しました 私はマリア・ノーチスと申します」
奉者3が微笑してからレイを見る マリアが奉者3の視線を確認しつつ言う
「こちらこそ 宜しくお願いします」
奉者3が微笑し 礼をしてから立ち去る マリアが向かおうとすると 次々に奉者たちが挨拶に来る マリアが慌てて応対する

最後に挨拶をした奉者とウィザードが去ると マリアがホッと息を吐く レイが言う
「大丈夫か?マリア?」
マリアが苦笑して言う
「は、はい… 私から行くつもりが あっという間に来られてしまって 心の準備が出来ていなかったせいもあって しっかりご挨拶 出来なかったです」
レイが言う
「ああ あいつらは 俺たちが出てくるのを 待っていただろうからな?」
マリアが言う
「待っていた?では 来たのが遅過ぎたのでしょうか?…でも?」
マリアが周囲を見る 周囲では挨拶を行っている マリアが思う
(挨拶はまだ 終わってなかったみたい)
マリアが周囲を確認しつつ思う
(良く見れば 法衣の一番明るいウィザード様が2番の控え室だわ?そこからどんどん暗い色に…?)
マリアがハッとして思う
(それじゃっ まさかっ!?)

控え室

レイが奥へ向かって行く マリアがドアを閉め レイへ向き直って言う
「あ、あの… ウィザード様?」
レイが言う
「ん?何だ?マリア」
マリアが言う
「もしかして ですけど… この部屋割りって」
レイが言う
「ああ、魔力順だよ?」
マリアが思う
(やっぱりっ!!)
マリアがレイを見て言う
「あの… つかぬ事をお伺いしますが」
レイが言う
「ん?どうした?マリア?」
マリアが言う
「ウィザード様は 私たちとは違って 魔力の強い弱いが分かるんですよね?って事は もしかして あのウィザード様たちの奉者への耳打ちって ひょっとして?」
レイが言う
「ああ、ウィザードたちが自分の奉者に 教えてるんだろう?マリアのウィザード様である俺がすげぇ強いって!」
マリアが思う
(やっぱり そうなんだっ!?)
レイが微笑して言う
「けど ここまで来ちゃえば 魔力の分からない奉者でも 部屋番号を見れば分かるからさ?マリアも気分良いだろ?俺としては 白い法衣を着てれば 儀式の時も マリアのウィザードが一番強いって 巡礼者や見学者にも分かるから 良いと思ったんだけどな?」
マリアが言う
「え?あ…」
マリアが思う
(なんだ… そう言う意味だったんだ)
レイが言う
「それにしても 6番の奴まで 割と明るい色だったな?」
マリアがハッとしてから 困って言う
「あ… ごめんなさい… 私が」
レイが言う
「あ、いや?そうじゃなくてさ?マリアじゃないけど もう少し謙虚な色で来て欲しかったよな?これじゃ 多分 俺だけだと思うんだよ 7番目の奴と 同じ色なの」
マリアが一瞬驚いて言う
「え?7番目って…?それは」
レイが言う
「ここには 昔の通り6番までしか控え室が無いけど 何処かに居るだろ?もう1人」
マリアが言う
「つまり もしここに7番目の 控え室があったら そちらを使われる予定のウィザード様… ですね?」
レイが言う
「うん こっちは良いとしても あっちの奉者が 気にするかもな?」
マリアが苦笑して言う
「それに、他のウィザード様の感じですと 7番目の方まで ウィザード様より 明るい色の可能性も ありますよね…?」
レイが言う
「いや、それは無いよ 以前より 明るくするって事は無いと思う」
マリアが言う
「以前より…?え?それはどう言う?」
館内放送が流れる
『間もなく 大灯魔台 灯魔儀式を開始致します ウィザード様 共に奉者様方は 大灯魔台 控え出口まで お越し下さい 繰り返します…』
マリアが言う
「あ、お、お時間ですね …あら?奉者も台座へ?」
レイが言う
「ああ、灯魔儀式では 奉者の力も大切だからな?」
マリアが驚いて言う
「えっ!?奉者の力っ!?」
レイが言う
「うん!期待してるからな!マリア!」
レイが部屋の出口へ向かう マリアが慌てて言う
「え?え!?そ、それは どう言う意味ですかっ!?ウィザード様っ!?」
マリアが慌ててレイを追う マリアとレイがホールへ出ると 係員が言う
「それでは 大灯魔台 控え出口の方へ ご案内致します」
係員が歩き出すと 皆の視線がレイへ向く レイが係員に続く マリアが視線をめぐらせた後レイに続くと 2番の控え室前からウィザード2が続く


続く
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